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パネルディスカッション「秋美のききめ 〜感性で地域は変わる〜」

パネリスト
◼︎柴田誠(秋田公立美術大学副理事長)
早稲田大学政治経済学部卒業。前秋田商工会議所専務理事、元秋田県企画振興部長、同産業労働部長。県職員として商工業、観光振興、地域プロジェクト、財政などを担当。元能代市助役。
◼︎藤浩志(秋田公立美術大学副学長)
京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。パプアニューギニア国立芸術学校講師、都市計画事務所勤務を経て美術作家として活動。地域をフィールドに新しいプロジェクトを模索。www.fujistudio.co
◼︎水田圭(コミュニケーションデザイン専攻准教授)
東京藝術大学大学院修了。フランス国立高等装飾美術学校(ENSAD)招聘教官(2000-04)。カンヌ国際広告祭デザイン部門銀賞など。
◼︎山路康文(ものづくりデザイン専攻准教授)Skype参加
東京藝術大学大学院修了。製品のプロダクトデザイン及びカラー戦略、新デザイン言語開発、チームマネジメントを担当。グッドデザイン賞best100選出、サステイナブルデザイン賞受賞「sony家庭用蓄電池」

モデレーター
◼︎三富章恵(NPO法人アーツセンターあきた 事務長)

地域社会と大学のミスマッチ

柴田:地域の方は秋美を本当に理解してくれているのかと思うことがあります。我々としても、PR不足なのでしょう。秋美の資源そのものに対して期待してもらっているとは思えないこともある。地域と結びついていくには、お互いに理解し合わなければいけないのではないでしょうか。

藤:美術に対する誤解が大きいんだと思います。大学時代の同級生はほとんどが企業に勤め、企画をやり、新規事業開拓をやり、新しい製品をつくっている。ぼくらの特技って何なのかというと、皆が「これ違うな?」と違和感を抱いていることに対して、次に何かを始めるときに絵が描けるということ。その能力はすごく必要。それを教えているのが美術大学なんだろうと思います。

水田:企業からのご依頼は、社会的な意義があるかどうか、やることによって新しい契機ができるかどうかが重要です。例えば今年度、学生と取り組んだ秋田赤十字乳児院さんのポスターは里親制度の普及という目的もあり、社会に貢献しながら自分たちも能力を上げていくものでした。コミュニケーションというのは、「なんだろう?」というところから始まっていく。そうすると社会が変わっていく。だから秋田の方は、居心地の悪いものもぜひ受け入れてほしい。そこから始まることはすごく大きい。感性は理性と結びついて初めて効果が出るんです。

THINK LOCAL,ACT GLOBAL

山路:今後、全国各地で迎えるであろう高齢化、人口減少、経済衰退などに対して、そういった課題が集中している秋田の解決に向けた取り組みは先例になります。秋田で暮らす人々が感じている超ドメスティックな価値観を世界が共鳴する形で発信すれば、大きなムーブメントにつながるのではないかと感じています。

藤:集中して何かをつくり出すときは必ず閉じていないといけない。僕自身、ひらく活動、流通させることが目的になっていますがそれはある種、つくれなくなっている環境にもあるのではないか。東北に来てひとつの可能性として感じているのは、環境的にも閉じることができる、だからこそひらくことができるということ。東京など常にひらかれた環境にいると、それ以前に何かをつくることや考えることが少なく、理性を育むことはできないのではないか。そこに危機感を感じています。

三富:課題先進県といわれている秋田で、アートやデザイン、ものづくりを使ってその課題を少しでも和らげ、解決につなげるモデルができればそれは秋田だけでなく、日本全国、あるいは同じ課題を抱える世界の地域にも応用できるはず。そんな最先端の社会のラボラトリーが、アーツセンターの活動によって実現できるのではないかと信じています。

新しい活動を模索し、未知に向かっていく

柴田:アーツセンターができたことは、秋美にとって大きな変化だと思います。以前、県庁職員のときにこのももさだに産業デザイン支援センターをつくった。短大時代の先生方にはデザインに関して多くの支援をしてもらいました。アーツセンターができたことで、これまで時間のない状況で先生たちだけでやってきたことがコーディネーターの専門集団ができたことで、大学にとっても企業にとっても、資源を活かせる環境が整ったと思う。ぜひ期待してもらいたいと思います。

左から三富章恵、柴田誠副理事長、水田圭准教授、藤浩志副学長

藤:秋田市のいろいろなところにおもしろい過ごし方のできる空間が増えて、人が増えて、クリエイティブな仕事が増えて、ここにくれば自己実現できるんじゃないかと集まってきたり、ここで過ごしたらどんなに素敵なんだろうと思うような風景が広がっていく。常にチャレンジできて、失敗もしていく。そういう地域社会がこの延長にあるんじゃないかと思います。

これまでの価値観にとらわれず、常に新しい価値観ややり方に妄想を広げていく。それを現実に当てはめるにはコーディネーターが必要。秋美には素晴らしい人たちがいて、この状況でしかできない、つくり出す力がある。未知に向かっていきたい。