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君の想いをのせて、卒業メモリアルトレインが運行開始ものづくりデザイン専攻が協力

卒業シーズンを控えた2月下旬。全国から集まった、たくさんの「感謝の気持ち」や「新しい門出に向けたエール」をのせて、秋田公立美術大学の教員や助手、学生が協力した特別列車「卒業メモリアルトレイン」が運行を開始しました。

(撮影:草彅裕)

駅を中心としたまちづくりや、沿線の活性化など、包括連携に関する協定を締結しているJR秋田支社と秋田公立美術大学。その一環として、ものづくりデザイン専攻の教員らが中心となって、車両のラッピングデザインや駅の装飾に協力しました。

テーマは「卒業」。
男鹿線を走る蓄電池駆動電車ACCUMには、2両編成の車両の外側と内側に桜を散りばめた「卒業メモリアルトレイン」をデザイン。外装は助手で写真家の草彅裕の作品を用い、ACCUMのイメージカラーの赤と青に、桜の花々が青空にむかって咲き誇る様子をイメージしています。

秋田駅に停車する卒業メモリアルトレイン
車体には写真家・草彅裕の作品をあしらった(撮影:草彅裕)

一歩車内に足を踏み入れると、桜の空間が広がります。学生たちが一つ一つ手描きした桜の花びらが床面を埋め尽くし、まるで満開の桜の下に降り立った気分に。見上げると目に留まるメッセージは、全国からJR秋田支社に寄せられた、大切な人に宛てた「卒業メッセージ」の数々です。両親への感謝の言葉や、後輩から先輩へのはなむけの言葉など、想いのこもったメッセージの一つ一つを手書きで書き起こし、車内のポスターにレイアウトしています。なかには秋田出身のシンガーソングライター高橋優さんによる手書きメッセージも。

乗るだけで嬉しくなる桜一面の車内
シンガーソングライター 高橋優さんのメッセージも

卒業メモリアルトレインは、4月5日(日)までの期間中、奥羽本線・男鹿線の秋田駅と男鹿駅間を運行します。運行スケジュールは、JR秋田支社のウェブサイトをご確認ください。

男鹿駅に設置された黒板アート

卒業生を見送る2つの駅に、黒板アートを設置

卒業メモリアルトレインが運行する男鹿線を結ぶ2つの駅、秋田駅と男鹿駅には、卒業をテーマにした黒板アートを設置しています。制作には、秋田公立美術大学の学生に加え、秋田公立美術大学附属高等学院の生徒16人が協力。

制作は1月に始まりました。週末を利用し、秋田公立美術大学内の工房で、直前まで技法を色々研究したという大学生が手本を見せながら、カラフルなチョークを用いて桜と菜の花、チューリップが咲き誇る風景を描き上げました。

「遠く離れても、」
「ずっとつながっている。」

秋田駅と男鹿駅に設置された2枚の黒板アートに施された言葉は、卒業で友人や家族、ふるさとと離れてもつながっているというメッセージとともに、電車によってつながる2つの駅の関係性をも暗示しているようです。

黒板アートの公開は、3月31日(火)まで。秋田駅中央改札口内と男鹿駅の待合室内の2カ所に設置されています。

Information

卒業メモリアルトレインのデザインと黒板アートの制作事業

■ 監修:秋田公立美術大学 今中隆介、柚木恵介
■ 写真:秋田公立美術大学 草彅裕
■ 制作:
秋田公立美術大学
2年生 五十嵐柚/坂井美結/中村沙弥香/藤原未弥/村田葵
秋田公立美術大学附属高等学院
1年生 五十嵐蘭/小助川葵/小松明日香/根田紗那/近藤可歩/近藤萌/金野香凜/斎藤姫和/柴田愛優菜/2年生 高橋ひより/三浦鮎美/三浦音羽/和田瑞生/工藤美羽/嵯峨拓途/三浦仲人

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた 事務局長

三富章恵

静岡県生まれ。名古屋大学大学院国際開発研究科修了。2006年より、独立行政法人国際交流基金に勤務し、東京およびマニラ(フィリピン)において青少年交流や芸術文化交流、日本語教育の普及事業等に従事。
東日本大震災で被災経験をもつ青少年や児童養護施設に暮らす高校生のリーダーシップ研修や奨学事業を行う一般財団法人教育支援グローバル基金での勤務を経て、2018年4月より現職。

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