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第3弾「粘菌研究」で身体を使って表現した「ススホコリ」

ビジュアル的な色の鮮やかさや動きの面白さに注目

ーー第3弾「粘菌研究」を監督した山田汐音さんは、第1弾からすべての映像に関わってきました。粘菌との出会いは何がきっかけでしたか?

「粘菌」について知ったのは、大森山アートプロジェクト2020の映像制作チームに参加したことがきっかけです。粘菌研究クラブのミーティングにお邪魔して唐澤先生のレクチャーを聞くうちに、「たしかに面白い」と思いました。第2弾では、高橋理央さん(1年)がつくった学園恋愛物語がしっかり作られていて、これをぜひアニメーションでつくってみたいと思い、ストップモーションアニメーションの撮影レクチャーを萩原先生から受けて初めてアニメーションを制作しました。

ーー第3弾「粘菌研究」は山田さんの企画・構成でした。どんなコンセプトで制作したのでしょうか?

第1弾、第2弾と制作してきて、粘菌のビジュアル的な動き、色の鮮やかさ、かたちなどを映像で表現できたら面白いのではないかと思いました。その動きを人間がやれば、できれば粘菌が好きな人たちがやったら面白いのではないかと唐澤先生に相談したところ、その場ですぐ「やろう!!」という話になりました。先生はもともと、粘菌の動きをもとにダンスをしたり、音を出したりといったことを考えてらしたようでした。粘菌研究クラブの方々にもご協力いただくことになり、唐澤先生から粘菌の映像をお借りしたり、どの粘菌にするか、どんな動きにするかなど皆さんに助けていただきました。助手の船山さんにはドローンを飛ばして撮影していただいたり、撮影の時は出演してくれる人が足りなくてレストハウスにいる人をかき集めたりということもあって…大変でした。複数人で即興的に思い思いの粘菌を演じることもあって、独特な一体感と空気感が得られたのは貴重な体験でした。

鮮やかな黄蘗(きはだ)色の身体がうごめく「ススホコリ」は…

その動きを手の動きで表現しようとイメージ

みんな「ススホコリ」になりきっています

粘菌はどんな世界を見ているのだろう?

ーー映像制作を通して、どんなことを感じましたか?

粘菌はとても魅力的だけれど、不可解な、まだ分かっていない部分が多くて。その感覚的な部分を言葉で人と共有するのに苦労しました。当初はビジュアル目的だったのですが、人間と粘菌の時間軸の違いを映像にすることの難しさや可能性を感じたり、聴こえない粘菌の音を人間の音で表現するのが面白かったり。人間は粘菌をどう見るのかではなく、粘菌はどういう世界を見ているのか。彼らはどんな気分で、どんな世界を見ているのか…という感覚に次第になっていきました。そもそも、人間とは全く違う“いきもの”が感じている世界を想像して浸ろうとすることは、面白いことではあるけれど、難しいことでもありました。

「ムラサキホコリ」が萌生する映像をもとに…

純白の衣装でダンス

ーー制作を進めていくうちに、粘菌との向き合い方が変わっていったんですね。

ビジュアル目的だった最初とは向き合い方が変わっていったので、粘菌の扱い方については考えさせられました。こんなに奥の深い“いきもの”、まだ解明されていないものについて、こういう表現でよかったのかどうか。もっと違う表現の仕方を考えたほうがよかったのかな…と。

ーー映像制作を終えていま、粘菌についてどう思いますか?

粘菌に惹かれたのは、やはり不思議な、未知の可能性のようなものがあるからです。宝探しで見つけるようなめずらしいものや、見たことのない世界を感じたいというのが自分の根底にあって、もしかしたら私自身が未知の世界に行きたいと思っているのかもしれません。自分自身が見たことのない世界を、絵を描くことで感じられたらと思っています。

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秋田公立美術大学粘菌研究クラブでは、2021年3月15日(月)から28日(日)まで、秋田市新屋のアラヤニノで展覧会「めぐり方のレシピ」を開催中です(11:00~18:00)。3月15日(月)にはシンポジウム「粘菌の視座」(複合芸術会議2021Vol.2)が開催されました。
▼詳細はこちらをご覧ください。https://www.akibi.ac.jp/daigakuin/exhibition/粘菌研究クラブ《派生する悦び》/

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「ススホコリ」と「ムラサキホコリ」の粘菌相撲

■大森山アートプロジェクト2020 映像制作
伊藤達也 大場明 加藤璃子 小西黎 杉村春香 杉山みなみ 高橋理央 中川舞 平井楓子 ファネス佳乃 増田美優 山田汐音[秋田公立美術大学学生]
*担当教員 水田圭[秋田公立美術大学コミュニケーションデザイン専攻教員]、萩原健一[秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻教員]
*協力 CNA秋田ケーブルテレビ

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