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泡のような思考と、繋がる創造 春山あかり作品展「繭の外、泡の中」

秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINTで9月24日から、漆芸を専門とする研究生・春山あかりの作品展「繭の外、泡の中」が始まります。泡のように現れては消えていく思考と身体の感覚を繋ぎながら制作を続ける春山の作品約50点。

秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)で2021年9月24日(金)〜10月31日(日)、漆芸を専門とする研究生・春山あかりの作品展「繭の外、泡の中」が開かれます。秋田公立美術大学主催、CNA秋田ケーブルテレビ協力、NPO法人アーツセンターあきた企画・制作。

泡のような思考と、繋がる創造

展覧会「繭の外、泡の中」は、秋田公立美術大学ものづくりデザイン専攻を2021年3月に卒業し、現在、研究生として在籍して漆芸作品の制作を続ける春山あかりの作品展です。手のひらに収まるほどの小作品から、高さ60cmほどの作品まで、卒業制作作品と新作を織り交ぜた漆芸作品約50点を展示します。

春山の作品は、漆を素材として用いながら、自身がこれまで繰り返し思考し続けてきた死生観を表現しています。春山は幼少期より「なぜ生きてなぜ死ぬのか?」「いつかは死ぬのになぜ生き続けるのか?」と、生と死について問い続けきました。そのなかで哲学に興味を持ち、生命の在り方や表現すること、考えること、創造することの意味などさまざまな物事について追求しています。

生と死に関する思考の繰り返しと
漆芸の繰り返し工程が、思考と身体を繋ぐ

春山は、泡のように現れては消えていく思考を身体の感覚へと繋いでいき、漆芸特有の「塗っては乾かす繰り返しの制作工程」を通して、目に見えない循環、やり取りを感じることを大切にしながら制作を続けています。

生と死に関する思考の繰り返しと、漆芸の繰り返しの工程とが交わって生まれた作品の数々をぜひご覧ください。

 漆芸特有の繰り返しの制作工程の中、様々な思考が泡のように現れては消えていく。
 自分や、自分を取り巻くもののこと。この世界、この宇宙のこと。過去、現在、未来のこと。今生きている生命、もう生きてはいない者たちのこと。生と、相対するもののこと。生より、ずっと深くにあるもののこと。
 思考の始まりは、小さな子どもの誰もがぶつかる「死」というもの。なぜ生きてなぜ死ぬのか? いつかは死ぬのになぜ生き続けるのか? 誰に問うても正しい答えなど返ってこない、解決を見る事のない問いを、現在に至るまで続けてきました。
 自身の哲学的思考と、漆芸の繰り返しの工程とが交わるとき、泡のような思考が、ひとつの形を得て、この場にならびます。

 繭は、身体的な自他の分断。
 泡は、精神的な自他の分断。

 作るという行為だけが生み出す思考の泡に触れ、繭の外にいる鑑賞者を、泡の中へと導きます。(春山あかり)

Profile

春山 あかり

1998年生まれ、神奈川県川崎市出身。秋田公立美術大学ものづくりデザイン専攻卒業。現在、研究生として漆芸作品を制作。卒業制作作品「魂蔵」が秋田県立美術館館長賞受賞。

Information

春山あかり作品展「繭の外、泡の中」

■会 期:2021年9月24日(金)〜10月31日(日)
     9:00〜17:30
■会 場:秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(ビヨンポイント)
    (秋田市八橋南1-1-3 CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)
■入場無料
■主 催:秋田公立美術大学
■協 力:CNA秋田ケーブルテレビ
■企画・制作:NPO法人アーツセンターあきた
■グラフィックデザイン:木村優希(むすぶ企画室)
※新型コロナウイルスの感染拡大状況等により、展覧会の開催期間や内容等が変更になる可能性があります。

チラシダウンロード
BIYONG POINT Facebookページ

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

高橋ともみ

秋田県生まれ。博物館・新聞社・制作会社等に勤務後、フリーランス。取材・編集・執筆をしながら秋田でのんびり暮らす。2016年秋田県立美術館学芸員、2018年からアーツセンターあきたで秋田公立美術大学関連の展覧会企画、編集・広報を担当。ももさだ界隈で引き取った猫と暮らしています。

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