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菅江真澄の図絵に着想を得た滞在制作を経て 長坂有希「木:これから起こるはずのことに出会うために」

秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(ビヨンポイント)で11月16日(土)から、国内外を移動しながらさまざまな媒体を用いた表現活動をおこなうアーティスト 長坂有希による展覧会が始まります。

長坂有希「木:これから起こるはずのことに出会うために/Trees: Audition for a Drama still to Happen」

秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(ビヨンポイント)で11月16日(土)から、長坂有希による展覧会「木:これから起こるはずのことに出会うために/Trees: Audition for a Drama still to Happen」が始まります。

長坂はこれまで、テキサス、ベルリン、フランクフルト、ロンドン、そして日本とさまざまな場所を移動しながら芸術活動を行い、彫刻、写真、映像、パフォーマンス、書籍など、多様な媒体を用いながら表現を続けてきました。

今回秋田での滞在制作で長坂は、江戸時代後期の紀行家、博物学者、そして本草家でもある菅江真澄と彼が描き残した「木」の図絵に着目し、「写す」という行為を介して、菅江真澄と彼が描いた木に接近しようと試みました。

写すという行為は、真澄が木に向けていた視線や姿勢を自身の中に取り入れ、描かれた木々について理解を深めるための行為であると同時に、印象や解釈の「ずれ」を生み出す可能性をはらむ行為でもあります。長坂は自身の視線や姿勢を揺るがせ、自らを危うい状況に置き、意識的に「ずれ」と向き合いながら作品制作を行うことで、これから起こるはずのことに出会うための空隙を開こうとします。

初日の11月16日(土)にはオープニングトークを開催。長坂の表現手法や菅江真澄の「木」に着想を得てからの制作過程などについて、長坂と服部浩之(インディペンデント・キュレーター、秋田公立美術大学准教授)がトークを繰り広げます。

Profile

長坂有希 Aki Nagasaka

1980年大阪府生まれ。テキサス州立大学芸術学部卒業、国立造形美術大学シュテーデルシューレ・フランクフルト修了。2012 年文化庁新進芸術家海外研修制度によりロンドンに滞在。リサーチとストーリーテリングを制作の主軸とし、遭遇した事象の文化、歴史的意義や背景の理解と、作者の記憶や体験が混じりあう点に浮かび上がるものを、様々な媒体をつかい表現している。主な展覧会に「予兆の輪郭」(TOKAS本郷、2019年)、「Quatro Elementos」(ポルト市立美術館、2017年)、「マテリアルとメカニズム」(国際芸術センター青森、2014 年)、「Signs Taken in Wonder」(オーストリア応用美術・現代美術館MAK、2013 年)など。
《current not currency》(2019)、TOKAS本郷、 ©Kenji Takahashi
《カムイワッカへ、そして私たちの始まりへ》(2018)、CAI02現代美術研究所 ©Yoshisato Komaki

Information

長坂有希「木:これから起こるはずのことに出会うために/Trees: Audition for a Drama still to Happen」

チラシダウンロード(PDF)
■会期:2019年11月16日(土)〜2020年1月12日(日)
会期中、年末年始を除き無休(2019年12月29日〜2020年1月3日休館)
■入場無料
■企画:NPO法人アーツセンターあきた、秋田公立美術大学「展覧会ゼミ」
■主催:秋田公立美術大学、NPO法人アーツセンターあきた
■協力:CNA秋田ケーブルテレビ、秋田県立博物館菅江真澄資料センター
■Visual Direction & Design:奥野正次郎(POROROCA)

■関連イベント
<オープニングトーク>
長坂有希、服部浩之(インディペンデント・キュレーター、秋田公立美術大学准教授)
日時:11月16日(土)16:00〜18:00
会場:BIYONG POINT(ビヨンポイント)

(2019.11.5プレスリリース)

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

高橋ともみ

秋田県生まれ。博物館・新聞社・制作会社等に勤務後、フリーランス。取材・編集・執筆をしながら秋田でのんびり暮らす。2016年秋田県立美術館学芸員、2018年からアーツセンターあきたで秋田公立美術大学関連の展覧会企画、編集・広報を担当。ももさだ界隈で引き取った猫と暮らしています。

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