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未来のまちの姿を描き、北高跡地の可能性を探る
実証実験プロジェクトに向けて

2022.03.29

【能代北高跡地のWSレポート4】
能代北高跡地利活用の可能性を探る2021年度の第3回目のワークショップは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を鑑み、中止となりました。そこでプロジェクトチームのメンバーが集まって、参加者に提示していただく予定だった実証実験プロジェクト案について話し合いました。

複数の実証実験プロジェクトで、未来のまちの姿を描く

2021年10月から始まった「能代北高跡地利活用の可能性を探るワークショップ」。1月開催予定だった第3回ワークショップは、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を鑑み、中止となりました。第3回ワークショップでは、第2回の時に考えた「北高跡地で取り組む実験的なプロジェクト」を本格始動させるためブラッシュアップし、実施時期を想定して計画を立てる予定でした。そこで、ワークショップを企画:運営する秋田公立美術大学のプロジェクトチームが集まり、これまでの意見やプロジェクト案をもとにクロストークを開催。グラフィック・レコーディングを見て振り返りながら、実証実験プロジェクトを具体的に話し合いました。
次年度は技術的な検討を加えた複数の実証実験プロジェクトを実施し、北高跡地の可能性を探りながら未来のまちの姿を描いていきます。

北高跡地利活用アーカイブ
北高跡地利活用に関する能代市のウェブサイトはこちら
北高跡地利活用(アーツセンターあきたウェブサイト記事)
能代北高跡地利活用スタートブック「これから、ここから。」(PDF)
 (2021年10月発行)
▼能代北高跡地のワークショップニューズレター
 「これから、ここから。」Vol.1(PDF)(2021年11月発行)
 「これから、ここから。」Vol.2(PDF)(2022年1月発行)
 「これから、ここから。」Vol.3(PDF)(2022年3月発行)

実験的なプロジェクトに取り組むことは、
公共施設をつくるプロセスを見直すことでもある

田村:第3回ワークショップでは、第2回目の「北高跡地で取り組む短期・中長期プロジェクト」のアイデアをもとに、実際に次年度に取り組むプロジェクト案を提示していただく予定でした。残念ながら中止となってしまったわけですが、ワークショップは今後も続きます。そこで次年度に向けてプロジェクト案の叩き台を提示したいと考えていますが、まずは、この1年を振り返ってみたいと思います。
井上:今年度始めたワークショップは新しい取り組みなので、参加者にとっては「これからどうなっていくんだろう」という手探りのところがあったと思います。ただ、ありがたいことにたくさんの意見を聞くことができました。次年度は、これまでのアイデアをもとにしたプロジェクトを実施することで、われわれが考えている一連の流れを体験していただけると思いますし、そこで何か手応えなり、改善点が見えてくることを期待しています。残念なのは、3回目のワークショップができなかったことです。プロジェクトの具体化を検討することができず、ある種、よくあるワークショップっぽい感じで終わってしまいました。実際にプロジェクトをどう進めていくのかについては、第1回、2回と参加してくださった方々にとって不安な点かもしれません。

井上宗則

小杉:公共のプロジェクトを進める上では、お金をかけず時間もかけずにいいものができるというのが一番効率のいい進め方なわけですが、現実はそれほど単純ではありません。そのことを私たちは伝えてきたつもりです。当初から、北高跡地という場所だからこそ可能な新しいプログラムを市民の皆さんと開発したいという思いはありますが、そこからさらに立ち戻り、行政が公共施設をつくるプロセス自体を見直すことの大切さを実感しています。ワークショップで出てきたプロジェクト・アイデアを皆さんと試しにやってみることで、市民協働の雰囲気と機運を醸成していくフェーズ(期間)にしたいと考えています。

5年後、10年後に向けて
「やってみる」を醸成していく

井上:今回、あえて「いつまでに何かを決める」といった工程計画を提示しなかったことも、もしかしたら次に続いていく雰囲気を醸成しているかもしれません。一方、能代松陽高校でおこなったワークショップでは、北高跡地を知らない学生が多く、驚きました。ワークショップへの参加が、家族や友達と北高跡地やまちづくりについて話すきっかけになったとしたらうれしいです。5年ぐらい経ったら彼らは社会に出ているかもしれないし、10年経てばまちづくりを中心的に担う人材になっているかもしれない。そういうタネをまきつつあるのかなと思います。
小杉:北高跡地のような可能性のある場所があることで、街は変わっていくだろうという確信みたいなのものが私たちにはあります。市民の皆さんと共にプロジェクトを盛り上げながら、少しずつ進めていくというプロセスを通して、そうした意識を共有したいです。
船山:要望ではないことが出てくることって、結構重要かなと思っていて。何が起こるか分からないけれどとにかく「やってみる」という雰囲気が、じわじわ醸成されていく過程にあるのかなと思います。なのでやはり、次年度の実証実験プロジェクトはしっかり進めたいですね。

変わっていくものと、残していくものを
実験しながら共有する

小杉:土地の文化はすごく大事なものです。それをどう育てていくのかを、いったんスピードを緩めて、じっくり確認しながらつくり上げるという考え方も必要だと思います。財政的な失敗が許されない現在、なるべくリスクを下げるためにも、実験を重ねた上で着実に成果を上げるやり方が戦略的にも良いだろうという考えです。参加者の中に核(コア)となるような人が現れることも期待しています。あと、プロジェクトのアイデアを北高跡地で試すのもいいけれど、既存の他の施設や場所で試してみることも必要かもしれません。うまく使われていない既存施設を使うことで済むこともあるでしょう。老朽化した施設を壊してやり直すばかりではなく、改修してうまく使えることはたくさんあると思います。

小杉栄次郎

井上:北高跡地って、やろうと思えばいろいろできるけど、別に北高跡地じゃなくてもやれることはある。アイデアをいろんな場所にプラグインしていく感じでしょうか。
小杉:今の街のなかにどういう施設がどんな分布であるのか、その配置をもう一度検討し直すことも近い将来必要になるのかなと。また、街は変わっていくものですが、古い建築を残して外観は変えずに街の景観を残しながらも、中身を時代に合わせて変えていくこともできます。実験的なプロジェクトを通して、多くの人に街全体への関心を持ってもらえるようなプロジェクトに育てたいです。

街を「使う」ことで、見てくるもの

船山:街を「使う」こと、「利用する」こと、「活用する」でもいいし、あるいは「愛でる」でもいいんですけれど、そういう街へのアクセスみたいなものができていくと、街の在り方に関心と興味を持っていけるような気がするんです。街のなかに空間がぽこぽこと空いていくときに、こういう使い方で活用してみたいと考える人が多くなっていくと、街に興味を持つ人が増えたということなのかなと思います。北高跡地で実験してみて、ここではうまくいかなかったけれど、あっちなら面白くできそうだと飛び火していくみたいな感じになっていったらいいですね。
井上:道路も公園も法的な制約があって、積極的に街を使いづらい状況にあります。一方、そのような制約がかからない北高跡地でいろいろな使い方を試行することは、街を使うことに対する意識を変え、結果的に北高跡地を超えたさまざまな活動に発展していくかもしれません。そういったことを念頭にプロジェクトを進めていくことが重要と考えています。

船山哲郎