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人が音を〈発する〉こと、〈聴く〉ことの意味を考察する。佐々木大空個展「外から ー発するー聴くー在るー 」

秋田公立美術大学サテライトセンターで3月7日から、ビジュアルアーツ専攻を2021年に卒業した佐々木大空による展覧会「外から ー発するー聴くー在るー」を開催します。在学中から「音」をテーマに作品制作を続け、人が音を〈発すること〉〈聴くこと〉の意味を改めて考察し、音そのものの存在意義を探究した新作を展示・発表します。

音そのものの存在意義を探る

卒業生シリーズVol.14では、〈音〉をテーマに作品制作を続ける作家・佐々木大空を特集します。

佐々木は人が音を〈発する〉こと、〈聴く〉ことの意味を考察し、音を発する/音を出せる装置や構造を制作することで音そのものの存在意義を探究しています。
楽器は「人類の歴史の中で仕組みや役割を変えながら存在してきた音を出すための道具」と捉え、その存在理由、演奏行為、演奏される空間を対象として考察。人間が存在する上で必然的に発生する〈音〉という現象に不可避的な他者性を感じながらも、自らと他者、あるいは他者と他者との間に関係性を発生させようと試みる装置としての作品を制作しています。

《[try]angle》2025年
無機質な正十二面体のスピーカーから、微かなリップ音や鼻を啜る音などが流れる《囁具》(ささやぐ)2025年

音を通して生まれる関係性

本展では、人が音を〈発する〉〈聴く〉の意味を改めて考察した新作《壁琴》《囁具》《[try]angle》《other mouth whistle》《It Don’t Mean a Thing(If It Ain’t Got That Swing)》の5点を展示します。
誰もがもつ楽器の概念を反転させ、他者の身体をも音の出せる構造体として位置付けて制作した《other mouth whistle》は、他者の口腔を共鳴胴として使用。形態はシンプルなようでいて、理解と想像力が錯綜します。

空間を遮る壁そのものが弦を張り巡らされて楽器となった《壁琴》は、音の所在と他者の存在を感じる音の在処と耳をそばだてて聴いている自己の在処がここに存在することを明らかにします。幾重にも折り曲げられた金属の棒は、一度は誰もが鳴らしたことのあるトライアングルだけれど初めて聴く響きとなる《[try]angle》、人間が無意識に発する存在感のある音が無機質な装置から漏れ出す《囁具》。一方、《It Don’t Mean a Thing(If It Ain’t Got That Swing)》ではエレキギターを振り子のようにスイングさせて音を出します。

音を通して生まれる関係性、音に内在する他者性と向き合う作家の試みとなります。

《壁琴》(へっきん)の試作

ワークショップ「ささやくーささめくーさざめくーさんざめく」

本展では、関連イベントとして作家によるワークショップを開催します。会場の展示作品や身体を使って実際に音を出したり、耳を澄ませて音を聴きます。響き合うさまざまな音の重なりを、五感を活かして体験しましょう。
【日程】2025年3月29日(土)、3月30日(日)16:00〜17:00
【定員】各回定員20人/先着順 ※申し込みは、3月8日受付開始を予定しています
▼申し込みフォーム
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSev4yzut0_cE9vDF3hgA3YF_eecQV4JD4–ekY3Rv3UeYaMOQ/closedform

《phue(a moving point)》2024年 ※ワークショップで使用予定

作家プロフィール

佐々木大空 Sora Sasaki

青森県出身
2021年3月 秋田公立美術大学美術学部美術学科ビジュアルアーツ専攻卒業
2023年3月 京都市立芸術大学大学院美術研究科美術専攻彫刻細目修了
人が音を発すること/聞くことの意味について改めて考察しながら、音が出る/音を出せる装置や構造の制作を行う。また楽器について「人類の歴史の中で仕組みや役割を変えながら存在してきた音を出すための道具」という観点から、その存在理由や演奏行為、演奏される空間について考えている。最近では、人間が存在しうる上で必然的に発生してしまう音という現象について、極めて不可避的な他者感を覚えながらも、自らと他者、あるいは他者と他者の間に関係性を発生させようと試みる道具としての作品制作を行っている。

〇展示歴等
2019年10月「アーツアーツ 2019展」(アトリオン2F美術展示ホール、秋田市)
2019年11月「交差展」アラヤニノ、秋田市「NEO_?展」(秋田公立美術大学サテライトセンター、秋田市)
2020年 2月「向き合う葦展」(秋田県立美術館県民ギャラリー、秋田市)
2021年 1月「SHOWREEL ー境界を行き来するメディアアートー」(秋田公立美術大学サテライトセンター、秋田市)
2021年 2月「秋田公立美大学卒業・修了展 2021 へば」(秋田県立美術館県民ギャラリー、秋田市)
2021年10月「ものとかすひと」(千鳥文化/コーポ北加賀屋、大阪市)
2022年 2月「2021年度京都市立芸術大学作品展」(京都市立芸術大学、京都市)
2022年 3月「オープンキッチン展覧会 2021」(Books×Coffee Sol. 2F/ランナラン、京都市)
2022年 9月 高槻芸術時間「インタールード」(高槻現代劇場/市民会館、高槻市)パフォーマーとして出演
2022年10月「サーフィン(ここにあるビーフン)」(音ビル、大阪市)
2022年10月「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2022 梅田哲也『リバーウォーク』」(京都中央信用金庫 旧厚生センター、京都市)パフォーマーとして出演、作品展示
2022年11月「キテミテ中之島 2022」(グランキューブ大阪/大江橋駅、大阪市)
2023年 2月「2022 年度京都市立芸術大学作品展」(京都市立芸術大学、京都市)
2023年 2月「副産物楽団ゾンビーズ公演“オルガンを鳴らす”」(theatreE9kyoto、京都市)出演
2023年 2月「令和4年度下京渉成小学校作品展」(京都市立下京渉成小学校、京都市)
2023年 9月「MIND TRAIL 奥大和 心の中の美術館 2023」(吉野町、奈良県)副産物楽団ゾンビーズとして制作
2024年 5月「彫刻 tomorrow」(ギャラリーマロニエ、京都市)

Information

秋田公立美術大学卒業生シリーズVol.14
「外から ー発するー聴くー在るー」

「外から ー発するー聴くー在るー」(PDF)

■会期|2025年3月7日(金)〜3月30日(日)10:00〜19:00
 会期中無休、入場無料
■会場|秋田公立美術大学サテライトセンター(秋田市中通2丁目8-1 フォンテAKITA6F)
■主催|公立大学法人秋田公立美術大学
■企画制作|NPO法人アーツセンターあきた
■お問い合わせ|
秋田公立美術大学サテライトセンター(NPO法人アーツセンターあきた)
TEL.018-893-6128  E-mail satellite-center@artscenter-akita.jp

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

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