NPO法人アーツセンターあきたは、独立行政法人国際交流基金(東京都、理事長:黒澤信也)が主催する2025年度舞台芸術国際共同制作プロセスオブザーバーに協力し、みんなのしるし×Omah Gamelan(インドネシア)×陳 光輝、陳 世興(台湾)による『髪長姫 The Thread of Heaven: The Legend of Kaminaga-hime』の制作過程の記録とレポートを担います。
舞台芸術国際共同制作プロセスオブザーバー制度とは、国際交流基金が主催する日本と海外のアーティストの国際共同制作を支援する舞台芸術国際共同制作事業の一環として実施されるもの。さまざまなバックグラウンドを持つ第三者が、オブザーバーとして舞台芸術の制作過程を記録し、報告書やイベントを通して公表します。プロセスを共有することで、舞台公演の国際共同制作の過程を一般に広く伝え、より多くの公演団やアーティストによる海外とのコラボレーションに役立てること、さらに普段接することのできない国際的な現場の様子から、新たな形での国際交流への気付きを提供することを目指しています。
レポートは、国際交流基金のウェブサイト等で公開される予定です。
▼2025年度舞台芸術国際共同制作
https://www.jpf.go.jp/j/project/culture/perform/creation/2025/index.html
▼2025年度国際共同制作 プロセスオブザーバー
https://www.jpf.go.jp/j/project/culture/perform/creation/2025/observer.html
伝統と現代を往還する新たな舞台芸術の地平
オブザーブの対象は、三陸地方をフィールドとして、地域に根ざした民俗芸能と現代が融合した舞台作品や映像作品の制作などに取り組むみんなのしるし合同会社の企画による、『髪長姫 The Thread of Heaven: The Legend of Kaminaga-hime』。
■ 作品概要
日本・インドネシア・台湾など、自然災害と共生するアジアの地が文化で繋がり、未来への創造力を育む国際共同制作。2021年に始動した三陸とアジアを結ぶ文化交流事業「ふえLABO」を土台とし、アジアの民俗芸能に欠かせない“竹笛”を共通言語として、三陸、ジョグジャカルタ、台北の芸能団体が協働で新作舞台『髪長姫』を創作する。
三陸に伝わる民話に、災害、海洋ごみ、少子化、そして継承の危機に瀕する地域文化へのまなざしと未来への祈りを重ね、伝統と現代を往還する新たな舞台芸術の地平をひらく。創作にあたっては、三陸国際芸術祭で培った芸能交流をもとに、オンラインと現地での対話を重ね、各地の芸能・音楽・舞踊が融合する作品として結実。そのプロセスや公演は映像としてまとめられ、国内外へ発信される。文化交流の活性化、被災地間の連携、そして次世代の芸能継承者育成へとつながる取り組みである。
■ 成果発表
ショーケース公演:2025年10月12日(会場:陸前高田市文化会館 奇跡の一本松ホール)
本公演:2026年2月28日、3月1日(会場:八戸市南郷文化ホール)
https://art.sanrk.com/2025/05/04/kaminaga-hime
多角的な視点でオブザーブする、即席のコレクティブ
今回は、秋田を拠点として活動する文化人類学者でアーティストの津田啓仁、写真家の船橋陽馬、コーディネーターの白田佐輔(アーツセンターあきた)の3名が即席のコレクティブを結成し、オブザーバーを務める計画です。
津田 啓仁 Hiroto Tsuda
東京大学大学院で修士号(文化人類学)を取得後、現在は秋田県を拠点に干拓地・八郎潟を取り巻く自然環境について調査・研究している。並行して、街の朝市や酒造会社、デザイナーの制作活動など幅広い対象を人類学的な方法を用いながら複数人で調査するプロジェクトなどを進行中。学生時代からコンテンポラリーダンスの公演に継続的に出演するなど、身体を用いた表現行為にも関心がある。
船橋 陽馬 Yoma Funabashi
1981年男鹿市(旧若美町)出身。高校卒業後、上京。東京、名古屋、ロンドンの花屋で仕事をし、2009年帰国後、多摩美術大学に入学。在学中よりフォトグラファー・神林環氏に師事。大学卒業後よりフォトグラファーとして雑誌・広告等で活動。 2013年から、マタギ発祥地、そして根子番楽で知られる北秋田市阿仁の根子集落に住み、マタギ文化、山間部の人々の暮らしを記録し続けている。秋田県庁が発行するフリーマガジン『のんびり』、全日空ANA機内誌『翼の王国』、みずほ総合研究所発行『Fole』、青森県庁発行『青森の暮らしぶりを訪ねる旅』などの撮影に携わる。秋田公立美術大学附属高等学院特別講師。 2022年3月、焙煎所「根子マタギコーヒー」をオープン
白田 佐輔 Sasuke Hakuta
秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻卒業。在学時は、学生のフィールドワークや制作の様子を取材、撮影した配信番組を企画。現在はZINEの制作やインタビュー記事を通して、秋田で出会った人々のことを記録・発信している。2023年より秋田市文化創造館勤務。リソグラフ印刷機の活用プログラム「リソの日」や、誰もがその日限りのー日店主となって、語り合うだけの場「カタルバー」などを担当。
(写真:髙田恭輔)