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「民藝」の周縁をめぐる 「アウト・オブ・民藝|秋田雪橇編 タウトと勝平」

「民藝(民衆的工芸)」の外と内を行き来しながら民藝運動の周縁的な動向を明らかにしてきた「アウト・オブ・民藝」。ブルーノ・タウトや勝平得之をはじめ秋田をフィールドワークして出会った秋田の「アウト・オブ・民藝」に迫ります。BIYONG POINTにて2020年1月18日(土)〜5月10日(日)。

左:「ブルノー教授 雪の秋田へ」1936年2月9日付秋田魁新報 右:ブルーノ・タウト、上野伊三郎、勝平得之の寄せ書き(1935)秋田にて 『叢園』勝平得之特集号(1971)より

秋田の「アウト・オブ・民藝」を探る

秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(ビヨンポイント)で2020年1月18日(土)から、「民藝」の周縁をめぐる「アウト・オブ・民藝|秋田雪橇編 タウトと勝平」が始まります。2018年度「BIYONG POINT企画公募」採択企画。

「アウト・オブ・民藝」は、軸原ヨウスケと中村裕太が行う「*民藝」の周辺をめぐるリサーチ活動。リサーチの対象となるのは、1926年の民藝運動発足当時に起きていたさまざまな工芸運動、それらにまつわる人、物、出版社などのネットワークです。

軸原と中村は、それぞれの関心をベースに「民藝」の外と内を行き来しながら、文献資料を手にし、未知の人に出会い、豊かな手仕事が「民藝」の外側にもたくさんあることを体感。「相関図」の手法によってこれまで、民藝運動の周縁的な動向を明らかにしてきました。また、京都の書店「誠光社」での全5回にわたるトークと資料の展示をもとに、『アウト・オブ・民藝』(2019年)を刊行して注目を集めました。

本展では、「民藝」の外と内の関係を資料を使って示す「アウト・オブ・民藝」の相関図に加えて、軸原、中村に宇野澤昌樹が加わった3人による秋田でのフィールドワークの成果を公開します。
ブルーノ・タウト(1880-1938)と勝平得之(1904-1971)が秋田で出会った1935年、1936年はさまざまな工芸運動が盛んな時期であり、両者は民藝運動と近しい人物に接触していました。また、タウトが秋田での滞在を記した『日本美の再発見』や、勝平が残した関連資料を時系列に並べていくと、当時の景色を追想することができ、双方の視点で記した文章を軸に、当時の秋田の暮らしを振り返るタイムトラベルな展示となります。

*民藝運動(1926-)とは、柳宗悦・河井寛次郎・浜田庄司らによって提唱された生活文化運動。名も無き職人の手から生み出された日常の生活道具に美を見出し「民藝(民衆的工芸)」と名付けられた。

Profile

軸原ヨウスケ

岡山県を拠点に活動するデザインユニット「COCHAE(コチャエ)」のメンバー。「遊びのデザイン」をテーマに、新しい視点を持った玩具の開発、出版企画や商品開発など幅広く活動中。 http://www.cochae.com/

Profile

中村 裕太

美術家。京都精華大学特任講師。「民俗と建築にまつわる工芸」という視点から陶磁器、タイルなどの学術研究と作品制作を行う。近年の展示に「表現の生態系」(アーツ前橋、2019)など。 http://nakamurayuta.jp

Profile

宇野澤 昌樹

東京造形大学卒業後、出版社で働きながらアーティストと関わり、展覧会のサポートや上映会の企画などを行う。その後も、土地や地域・場所と結びついた表現や、芸術以前の創造行為、芸術の起源を想起するような表現に注目し活動中。

Profile 作家プロフィール

堀部 篤史

学生時代より恵文社一乗寺店でアルバイトを始め、2015年8月まで同店店長を務める。独立後、本屋の新しいあり方を提案・実験する「誠光社」を立ち上げ、店舗運営、イベント企画、出版などを手がける。 https://www.seikosha-books.com

Information

アウト・オブ・民藝|秋田雪橇編 タウトと勝平

チラシダウンロード(PDF)

■会 期:2020年1月18日(土)〜5月10日(日)9:00〜18:00
(※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5月6日まで臨時休館。7日以降は時間を短縮して再開 [変更時間10:00〜17:00] )
■観覧料:無料
■会 場:
秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(秋田市八橋南1-1-3 CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)

■企 画:軸原 ヨウスケ、中村 裕太、宇野澤 昌樹
■主 催:秋田公立美術大学、NPO法人アーツセンターあきた
■協 力:秋田市立赤れんが郷土館、油谷これくしょん、秋田菓子宗家かおる堂、秋田魁新報社、誠光社、CNA秋田ケーブルテレビ

<関連イベント>

■オープニングトーク
版元である誠光社の堀部篤史氏を招聘し、「アウト・オブ・民藝」についてのなかよしトークを行う。
日 時:2020年1月18日(土)16:00〜18:00
会 場:BIYONG POINT(ビヨンポイント)
登壇者:堀部 篤史、軸原ヨウスケ、中村裕太、宇野澤昌樹
参加無料、申し込み不要

■油谷これくしょんツアー
「油谷これくしょん」(秋田市)に収蔵されている約20万点のコレクションの一部を、油谷滿夫さんご本人による解説を聞きながらめぐるツアーを行う。
日 時:2020年1月19日(日)13:00〜15:00
会 場:油谷これくしょん (秋田市金足片田字待入109)
定 員:10名 ※事前申し込み制/先着順 1月18日(土)18時〆切
下記のフォームよりお申し込みください

https://forms.gle/twnjKLrJ6MJmA7276

※定員に達し次第、締め切らせていただきます。
※当日は、現地集合・現地解散となります。

(2019.12.27プレスリリース)

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

高橋ともみ

秋田県生まれ。博物館・新聞社・制作会社等に勤務後、フリーランス。取材・編集・執筆をしながら秋田でのんびり暮らす。2016年秋田県立美術館学芸員、2018年からアーツセンターあきたで秋田公立美術大学関連の展覧会企画、編集・広報を担当。ももさだ界隈で引き取った猫と暮らしています。

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