大森山公園一帯で、大森山アートプロジェクト2020開催中!
大森山を包み込む秋の空気、木漏れ日、木や土の香り・・・。
秋田市大森山動物園と秋田公立美術大学が取り組む「大森山アートプロジェクト」が今年も大森山公園一帯で始まっています。大森山公園グリーン広場には、冒険心をかきたてる「あそび×まなびのひろば—森の居場所—」が出現! 秋田公立美術大学の学生たちによるインスタレーションや仕掛けを用いた「居場所」が広場の14カ所に姿を見せています。
制限された日常の「居場所」から、森の「居場所」へ
秋田市の大森山公園グリーン広場から彫刻の森にかけて展開中の「森の居場所」は、子どももおとなも遊びの中で学び、学びから新たな遊びをつくる創造的な広場として森の中に「居場所」をつくるプロジェクトです。2019年度は村山修二郎准教授の地域プロジェクト演習を履修する学生がグループで「杉迷路」をデザイン・構成しましたが、2020年度は学生同士の接触をできるだけ避けるため、個別で制作することになりました。
地域プロジェクト演習を履修する学生11人(1〜3年生)に加え、4年生と卒業生が特別参加。新型コロナウイルス感染症の拡大により「居場所」を制限させた生活を強いられた学生たちは、森の中にどんな「居場所」をつくったのでしょうか。
プロジェクトをコーディネートしたNPO法人アーツセンターあきたの田村剛は、「Zoomを使って打ち合わせを重ね、自粛期間が明けて久々に外に出て歩いたフィールドワークでは、学生たちはのびのびと森の感覚を捉えようとしていました。時間をかけて自由に森を歩いて感じることで、自分はここで何ができるのか、それぞれが深く考えることができたのではないでしょうか」と話します。
学生同士で気軽に集まることのできない環境でしたが、自然素材の材料を現地で探したり、近くの新屋浜に流木を取りにいったりと各自が場所と素材に向き合いました。麻布、麻紐、木の枝、稲藁、流木といった自然素材をそれぞれの制作に応じて集め、自然環境を肌で感じながら試行錯誤して進めました。現地での制作では、「散策する地元の人が『だんだん出来ていくね』『解説文がいいね』と声をかけてくれたことが、学生にとってモチベーションとなり、学びの場となりました」と田村。そして誕生したのが、この「森の居場所」です。
森の中は、自分の“感覚”に気づく場所
「森の居場所」は14カ所。中に入ったり、寝転んだり、土にまみれたり、音を出して聞いてみたり。
「例えば《風のたまり場》は、なだらかな傾斜のあるこの場所に世界中の風が溜まってくることをイメージして制作されました。ただ歩いているだけでは気づかなかったかもしれないことが、『世界中の風が』とイメージを示されることで『肌に感じる風のことに気づいた』と来場者が話してくださることもありました。他にも作品を通して、ここはジメジメしている場所だな、ここはいい光が射し込む場所だと神経を研ぎ澄ます自分の“感覚”にも気づかせてもらえたように思います」と田村。
なだらかなグリーン広場の地形を生かしたり、杉木立ちや土を利用するなどした作品が、いつもの森をちょっと別の世界へ。そして、自分の「居場所」へと変えてくれます。
「あそび×まなびのひろば−森の居場所−」は大森山公園グリーン広場で、9月26日(土)まで開催。その他、秋田市大森山動物園と秋田公立美術大学が連携して進める「大森山アートプロジェクト2020」は今後も続きます。
■あそび×まなびのひろば—森の居場所—
赤坂凜 葛西陽奈乃 山田汐音 石前詞美 岡本真実 後藤那月 加藤璃子 堀江侑加 風晴瑛水 岡村菜々子 圷陽菜 ミマチアカリ 岡崎未樹 中村邦生[秋田公立美術大学学生・卒業生]
*監修 村山修二郎[秋田公立美術大学アーツ&ルーツ専攻教員]
撮影:草彅 裕
Information
2020年度「大森山アートプロジェクト」今後の予定
■新築サル舎にアート作品を設置
2021年3月オープン予定の新しいサル舎の内壁に、サルをテーマとしたアート作品を設置します。
■ペンギン展示場の壁を彩る作品制作
秋田公立美術大学生と附属高等学院生が一緒に取り組み、ペンギン展示場の壁を彩るアート作品を生み出します。
■街なかモニュメント作品の設置
新屋から大森山動物園へといざなうモニュメントを制作・設置します。2018年より継続している活動です。
■「彫刻の森」の彫刻作品保全活動
1976年にオープンした「彫刻の森」の作品を学生たちが掃除し、保護のための処理を学びながら取り組みます。2018年より継続している活動です。
■映像作品の制作と公開
「粘菌」と「彫刻の森」に焦点を当てた映像作品を制作します。CNA秋田ケーブルテレビやYouTubeで公開予定です。