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美術家・石毛健太と、秋田公立美術大学・大学院有志による展覧会「アイオーン」 12月5日(土)よりBIYONG POINTで開催

秋田公立美術大学・大学院の有志による「展覧会ゼミ」が、美術家・石毛健太を秋田へ招聘、リサーチや討議を重ねながら作り上げてきた展覧会「アイオーン」を、2020年12月5日(土)〜秋田公立美術大学ギャラリー BIYONG POINTで開催します。

アーツセンターあきた

秋田公立美術大学・大学院の有志による「展覧会ゼミ」が、美術家・石毛健太を秋田へ招聘、リサーチや討議を重ねながら作り上げてきた展覧会「アイオーン」を、2020年12月5日(土)〜秋田公立美術大学ギャラリー BIYONG POINTで開催します。

「展覧会ゼミ」は、秋田公立美術大学ギャラリー BIYONG POINTで行う展覧会の企画・運営を通して実践的にキュレーションを学ぶ自主ゼミ。服部浩之(秋田公立美術大学大学院准教授/インディペンデント・キュレーター)が監修を行っています。

石毛健太は1994年東京生まれ。既存の物語の読み替えや、都市論の再考等をテーマに様々な媒体での作品発表を行うとともに、キュレーターとしても精力的に活動しています。
今年度ゼミ生は、秋田の中でも固有の歴史を持たないように見える新たな場所から今後紡がれていくであろう歴史に目を向けるべく石毛にオファーし、リサーチなどを協働して進めることを提案しました。
本展は、「数千年後の未来に何を残すことができるのか」という問いのもと制作されたオブジェクトと映像作品で構成されます。
BIYONG POINTのほか、元・青果店を改装し公立美大生が新たに立ち上げたスペース「オルタナス」では、アーカイブ展を同時開催。BIYONG POINTでの「アイオーン」展を題材として、何かを残そうとする営みについて思考を巡らせます。

御所野ニュータウンの土から生成した粘土を試し焼きする前の様子。 陶芸は初めてな上に特殊な素材での焼成になるため非常に不安だった。(石毛)

本展は石毛健太の初個展でもあります。秋田でのリサーチを重ねた美術家と学生・院生による展覧会、ぜひおでかけください!

企画趣旨

今年度は予めテーマを定めず、招聘作家の石毛健太とゼミ生がリサーチや討議を重ねる中で展覧会を作り上げてきました。
石毛はこれまでの作品でニュータウンなど時間や物語が消失したとされる空間をモチーフとして扱い、しかし依然としてそこからつむがれるであろうものに確信を持って作品を展開してきました。
秋田での滞在では、ニュータウンの中心に位置する遺跡群や今なお産油され続ける石油採掘場、鉱山跡地など堆積した物語を軽やかに拾い集めながらそれらが作用する未来についても思考を巡らせてきました。
現在われわれの立つ堆積物の山、地質年代は定説として新生代第四紀完新世であるとされています。しかしここ数年、地質年代は新たな局面に突入しているのではないかと議論されています。その名は”Anthropocene”。日本語では「人新世」と訳されます。人々の営みがかつての小惑星の激突や火山の噴火といったような地質レベルでの変化を刻み込もうとしている今、しかし石毛はそこに何かを託し、未来を志向します。
展覧会タイトル、「アイオーン」はラテン語で「永遠」を意味します。アイオーンというような途方もない時間に思いを馳せる術はどのようなものなのか、制作を通して探ります。
(キュレーター 武田彩莉)

高台から見た「玉川温泉園地自然研究路」。 テーマパークのセットのようにゴウゴウと音を立てながらガスが噴出している。(石毛)

作家ステートメント

リサーチの際に訪れた秋田県埋蔵文化財センターで、職員の方が開発をアクセルに、発掘をブレーキに例えて両者のバランスについて説明してくれた。開発をしなければ人の生活は立ち行かなくなるし、発掘調査をしなければ歴史は過去へと忘れ去られていく。この二つの営みを使い分けながら、我々は生活を続けてきた。開発がなされる土地は発掘調査、遺物の記録・保存をした上で、住みよい暮らしのために高速道路やニュータウンが建設されてきた。
そのようにして過去と切断された土地はそれまでの物語を喪失しつつも、一方では人が生活を続けることで新たな物語が紡がれてきた。この新たな物語の証左として現在各界で議論の的になっているのがいわゆるグレート・アクセラレーション(アクセル!)による人新世の到来なのだが、ここで今回の自らの制作について立ち返ってみると一体自分は何をしているのだろうか。アクセルとブレーキの例え話に当てはめてみても、まるでよく分からない。作品を作り、新たな価値の創造や提案をしつつも、それそのものが後に発掘、あるいは保存されるであろう未来について想いを馳せている。アクセルを踏みながらブレーキも踏み始めているようなものではないか。
アクセルとブレーキを同時に踏み込むと何が起こるのだろうか。暴走とかしてしまうんだろうか、と考えながらウェブで調べてみると、非常に難しい車の構造の話をするブログに「止まるか、徐々に進行し障害物に衝突して漸く停止となります。」と書いてあった。僕は自らの制作に関してもよく分かってない上に、車の免許を持っていないのでこのブログの内容もほとんどよく分からない。よく分からないまま、誤操作による暴走もしないまま制作は徐々に進行し、なにかに衝突して漸く停止する。
(石毛健太)

御所野から採取した土から粘土を生成している様子。 バケツの後ろに干してあるのはアーツセンターあきたのスタッフやゼミ生の古Tシャツ。(石毛)

Profile

石毛健太 Kenta Ishige

1994年神奈川県生まれ。東京藝術大学大学院修了。美術家、インディペンデント・キュレーター、DJとして活動。既存の物語の読み替えや、 都市論の再考等をテーマに制作している。 主な参加展覧会に、「生きられた庭」(京都、2019)、「東京計画2019 vol.3 Urban Research Group NEW ADDRESS」(東京、2019)「大京都芸術祭2020in京丹後」(京都、2020)。 主なキュレーションに、「変容する周辺 近郊、団地」(東京、2018)、「高橋臨太郎個展 スケールヒア」(東京、2019)、「working/editing 制作と編集」(東京、2020)。
石毛健太 Not just water/ただの水ではない 2019 ©︎Yuuki Yamazaki
石毛健太 上下する島 2018

Information

アイオーン

●会期:2020年12月5日(土)〜2021年1月24日(日)9:00〜18:00
※入場無料
※年末年始を除き無休(2020年12月29日〜2021年1月3日休館)
●会場:秋田公立美術大学ギャラリー BIYONG POINT(秋田市八橋南1-1-3 CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)

■アーカイブ展
石毛が今回の展覧会で掲げる「数千年後の未来に何を残すことができるのか」という問いを、ゼミ生が中心となりアーカイブという目線から考える企画。作品からはこぼれ落ちたものも取り上げながら、残すこと残るもの、それが作用するなにかについてBIYONG POINTでの展示と並走しながら思考を巡らせます。
●会期:2020年12月5日(土)〜2021年1月24日(日)12:00〜18:00
※入場無料
※会期中の土日祝のみオープン(2020年12月29日〜2021年1月3日休館)
●会場:オルタナス(秋田市旭南3-10-14)Facebook: https://www.facebook.com/alternasu
Twitter: https://twitter.com/alternasu

■オープニングイベント
♦︎会場横断ツアー
本展とアーカイブ展の2会場を結ぶ鑑賞ツアーを行います。
●日時:12月5日(土)16:00〜17:30
●会場:BIYONG POINT、オルタナス
●定員:10名(事前申し込み制/先着順)
♦︎オープニングトーク
会場横断ツアー終了後、石毛健太・服部浩之によるトークを行います。
●日時:12月5日(土)18:00〜20:00
●会場:BIYONG POINT
●定員:15名(事前申し込み制/先着順)
●お申込方法:Googleフォームに入力ください(〆切:12月3日18:00)

その他のイベントについては、詳細が決まり次第、BIYONG POINTのfacebookページでお知らせします。

主催:秋田公立美術大学、NPO法人アーツセンターあきた
協力:CNA秋田ケーブルテレビ
企画・運営:武田彩莉、谷口茉優、安村卓士、乙戸将司、髙橋琴美、伊東陽菜、梶夏季、岡本真実、後藤那月(展覧会ゼミ)
監修:服部浩之(秋田公立美術大学大学院准教授/インディペンデント・キュレーター)
デザイン:山田悠太朗

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