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レシピ集公開! みんなで乾杯の練習 「フードグランプリ〜限界飯編〜」開催レポート

【#秋田市文化創造館プレ事業】
秋田市文化創造館で実現してみたいアイデアを話し合う「みんなで乾杯の練習」。参加者のアイデアから生まれた企画を、文化創造館プレ事業として開催しました。第1回は「フードグランプリ~限界飯編~」。担当コーディネータからのレポートをお届けします。最後にレシピ集も公開しています。ぜひご覧ください!

「フードグランプリ」は、地域や各家庭、個人で親しんでいる料理を紹介し合うイベントです。第1回は「限界飯編」。一人暮らしを始めて寂しかったとき、忙しく走り回って頑張っていたとき、何かにハマって節約していたとき、お金がなかったとき—。そんなときに生み出した「限界飯」のレシピをエピソードとともに披露する、という内容で、オンラインイベントとして開催しました。

この企画の発案者は、松野輝大さんです。

美術や音楽、ダンスなどのいわゆる文化芸術だけではなく、身近な文化に親しめる機会があればという思いから、「食」をとりあげた企画を考えてくださったそうです。
司会は秋田のタレント・神長タクミさん。そしてゲスト・コメンテーターに、秋田市内でスリランカカリーと紅茶の店「TEA LANKA」を営む谷洋子さんと、北秋田市の根子集落の写真家でマタギの船橋陽馬さんをお迎えしました。
今回のイベントでは、応募総数16の限界飯の中から5つのメニューをご紹介。オンラインで視聴されている皆様の投票と審査員のお二人の点数を合わせて、限界飯グランプリを決める、という趣向でお届けしました。

イベントの様子の一部が、秋田市の広報番組(民放2局)で紹介されましたので、ご覧いただけた方もいらっしゃるかもしれません。現在YouTubeでも紹介されていますので、ぜひご覧ください!

イベント当日披露された限界飯と、そのエピソードを紹介します!

「限界鶏めし」しましゅんさん

メニュー名に限界と書いてありますが…普通の炊き込みご飯のように見えます。
「一人暮らしをはじめた頃、ずっとコンビニ飯を食べてたんですよ。そしたらだんだん手に湿疹ができたりするようになって。これはちゃんと自炊しないといけないということで、作りはじめたのがこれです。包丁もまな板もつかわないで調理できるし、味付けはシンプルに『味どうらく』のみです」(しましゅんさん)

試食した審査員のお二人の感想は…
船橋さん「あれ? なんか、普通においしい。いきなり『限界飯』のイメージが変わりました」
谷さん「とてもいい香りです。包丁を使わないで作れる、というところもポイント高いですね」

「おからんらん、はい、チーズ」 オバキューピーさん

ユニークな名前のこの料理は、福島県いわき市のオバキューピーさんのレシピ。
高校生の娘さんの空腹を満たすために考案したメニューだそうです。
「鶏皮はスーパーで激安で販売されているし、おからも無料でもらえる時もあり、材料費は『限界』まで節約できます。そしてお腹の中でふくらむので、食べ盛りの娘も満足。かわいいグラタン皿に入れて作ると娘も喜びます。」(オバキューピーさん)

谷さん「とてもおいしい!タンパク質やカルシウムもとれる、育ち盛りの子どもにぴったりのメニューですね」
船橋さん「腹持ちがいいので、ダイエットにもいいかも」
こちらも高評価でした。

「なまずを思い出す、〇〇丼」 まつまろさん

「社会人1年生の時、お給料が入らない期間が2ヶ月あって、金欠で困っているときに、一緒にアトリエを借りていたメンバーに『ナマズ釣りに行かない?』と誘われて(笑)。スーパーで買った鶏皮を餌にして、利根川で釣ってたんです。それを1ヶ月くらいしてて。その時のナマズの味を、この料理を食べると思い出すんです。」(まつまろさん)

…あれ? これって、うな丼にそっくりだけど?
実は、今回のオンラインイベントではさすがにナマズを釣ってくることはできず、かわりにまつまろさんご指定の某チェーン店の「うな丼」をお出ししました。ちょっと反則技でしたね、ごめんなさい。

谷さん「なまずの調理自体、大変だったのでは?」
まつまろさん「釣った直後は泥臭くて食べられないので、数日きれいな水の中で泥ぬきをして調理しました。頭が大きくてぬるぬるしてさばくのも大変でした」
船橋さん「うーん、一度ナマズを食べてみたいな。本当に今日食べたコレを思い出すかどうか(笑)」

「糠を煎って低脂肪乳をかけた物」松野輝大さん

発案者の松野さんのレシピは、コスト面限界感・最強の内容でした!
「大学卒業して2年間ほど自営業で頑張っていた頃、なんとか生活していかなければ、という時期に食べていました。最初は玉ねぎをまるごとレンジで温めて食べるのにハマっていたんですけど、だんだん飽きてきてこれを試してみました」(松野さん)

船橋さん「最初に口に入れたときの粉っぽさがすごいですね…」
谷さん「低脂肪乳がかけてあるのにもかかわらず、別に飲み物がないとのどに詰まっちゃう感じ」
船橋さん「確かに米糠の甘みを感じます…松野さん、これ食べていたんですよね」
松野さん「はい、その甘みでけっこう食べれてました」
谷さん「糠そのものはスイーツの材料に使えそうですね。パウンドケーキやクッキーに混ぜたり、ヨーグルトにかけたりすれば、ヘルシーかも」
そんなコメンテーターの反応をよそに、自作の米糠を美味しそうにたいらげた松野さん…強者です!

「勝手なドイツ丼」田村一さん

「大学に入った当時、馬肉入りのコンビーフがひと缶80円くらいだったんですよ。仕送り日の前にはこれを4日に分けて食おうと。
じゃがいもはもともと安いので、コンビーフをジャガイモでカサ増しして、卵をぶち込んで、ご飯に乗っけて食べる。そんな料理です」(田村さん)

陶芸作家の田村さん、作品の展示販売会場からの参加でした。

船橋「田村さん、ごちそうさまです。おいしかった!」
谷「カフェメニューにありそうですね、おしゃれ!」
田村「今となってはコンビーフは値上がりして、限界飯というより高級メシになっちゃいましたね」

5人のレシピが出揃ったところで、投票タイム。
結果は…
1位 「限界鶏めし」
2位 「糠を煎って低脂肪乳をかけた物」
3位 「勝手にドイツ丼」
4位 「おからんらん、はい、チーズ」「なまずを思い出す、〇〇丼」

というわけで、1位と2位は2票差の僅差でしたが、
グランプリは、しましゅんさんの「限界鶏めし」に決定しました!

配信終了後は、参加者と審査員のお二人を交え、zoomでミニ交流会を行いました。モニター越しの会話、楽しそうに盛り上がっていましたが、文化創造館が開館したらリアルで再会できる機会をつくることができればいいなと思います。
配信のトラブルが続きお見苦しい点が多々あったにもかかわらず、最後まで進行にご協力くださった参加者のみなさま、視聴者のみなさま、本当にありがとうございました。

実は、秋田市文化創造館の1階・コミュニティスペースには、キッチンコーナーがあります。開館後、「食」をテーマにしたさまざまなイベントを開催できるといいなと思っています。

レシピ集が完成しました!

イベント後、みなさまからご応募いただいたすべての限界飯レシピをスタッフで分担して実際に作ってみました。
「限界飯」といえど、ほとんどのメニューがおいしくて作りやすいものばかり。
そして、きっと辛かった時期と重なっているはずなのに、添えられているエピソードはどれも楽しそうに書かれているのが印象的です。
▼レシピ集はこちら
フードグランプリ限界飯レシピ集
ぜひご覧ください。そして、お試しください!
(コーディネーター:前田優子)
(撮影:草彅 裕)

Information

フードグランプリ限界飯レシピ集

フードグランプリ限界飯レシピ集

Writer この記事を書いた人

佐藤春菜

北海道出身。ガイドブック『地球の歩き方』、訪日外国人旅行者向けフリーマガジン『GOOD LUCK TRIP』などを編集する都内出版社での勤務を経て、2017年より拠点を東北に移し、フリーランスに。編集・執筆・アテンドなどを行なう。青森、宮城、秋田を経て、現在岩手在住。webマガジン『コロカル』(マガジンハウス)、北東北エリアマガジン『rakra』(川口印刷工業)、『d design travel』(D&DEPARTMENT)などに北東北の情報を中心に寄稿中。2020年~2021年、NPO法人アーツセンターあきた・秋田市文化創造館で広報を担当。現在も秋田市文化創造館ウェブサイトで『秋田の人々』を連載している。総合旅行業務取扱管理者。
連載『秋田の人々』(秋田市文化創造館)https://akitacc.jp/news/article/category/people/

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