昭和25年から70年以上も民具の収集をつづける、稀代の蒐集家・油谷満夫。そのコレクションは、50万点以上にものぼります。そのコレクションの中から、今回は「木の岐(きのまた)」に焦点を当て、自然の造形を活かして生み出された道具の数々から、生活様式の変化や、先人たちの知恵と工夫を学び、考える展覧会として構成します。
木の岐とは、昔から生活の中で使われてきた、木を加工して作られた道具。木の幹や枝部分など、自然の造形を用途に合わせて手を加え、生活や産業をより円滑に補助するために活用されてきました。同じものはひとつもなく、作成者の創意工夫や手仕事の痕跡に溢れています。身近な道具として見落とされてしまう木の岐に注目し、蒐集してきた油谷満夫の視線と情熱。そして私たちが忘れてきてしまった自然と寄り添い、紡いできた社会と産業構造。木の岐から生活様式の変化や、先人たちの知恵と工夫を考える展覧会です。
※博覧強記・・・「博覧」は広く書物を読んで、多くの物事を知っていること。「強記」は記憶力のすぐれていること。