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北高跡地で取り組む実験的なプロジェクトを
短期・中長期で考える

2022.01.12

【能代北高跡地のWSレポート2】
北高跡地の機能を複合的に検討した第1回ワークショップに続き、第2回目はそれらをどう具体化していくかがテーマです。北高跡地で取り組む実験的なプロジェクトの内容を短期・中長期で考えました。

能代北高跡地利活用の可能性を探るワークショップ

更地となった能代北高跡地について、秋田公立美術大学景観デザイン専攻教授・小杉栄次郎を中心としたプロジェクトチームが検討を進めています。2020年度は能代市からの委託を受けて利活用基礎調査を実施。北高跡地の利活用は中心市街地の今後の在り方とセットで時間をかけて考えていくべきであり、能代市の管理コスト削減目標の達成と両立すべく、持続可能なまちを見据えた「思考継続型プロジェクト」を提案しました。
2021年度は3回のワークショップと高校生対象のワークショップを企画。ワークショップで出たアイデアを専門的な視点から検証し、北高跡地のポテンシャルを引き出す実験的な「プロジェクト」を具体的に考えます。
第1回WS|2021年10月17日(日)13:00〜16:00 能代市役所
第2回WS|2021年11月28日(日)13:00〜16:00 能代市役所
高校生WS|2021年12月9日(木)13:00〜16:00 能代松陽高等学校
第3回WS2022年1月16日(日)13:00〜16:00 能代市役所 延期となりました

北高跡地利活用アーカイブ
北高跡地利活用に関する能代市のウェブサイトはこちら
北高跡地利活用(アーツセンターあきた)
能代北高跡地利活用スタートブック「これから、ここから。」(PDF)
(2021年10月発行)
▼能代北高跡地のワークショップニューズレター
「これから、ここから。」Vol.1(PDF)(2021年11月発行)
「これから、ここから。」Vol.2(PDF)(2022年1月発行)

第2回ワークショップでも平元美沙緒さんのグラフィック・レコーディングが伴走しました

時間をかけて、実験と意見交換を続ける
プロセスが必要

11月28日(日)の第2回ワークショップには第1回目に参加した商工会議所や社会福祉協議会、市民おもしろ塾、観光協会、学生など14人が参加。最初に能代市企画部総合政策課が挨拶しました。
「北高跡地に期待する機能は多岐にわたるものであり、その効果は中心市街地活性化、さらには能代市全体の活性化につながっていくものであると感じています。利活用については市民の皆さんと一体となって進めるべきであると認識しており、さまざまなアイデアが出てくることを期待しています」(堀井智昭課長補佐)。

その後、小杉栄次郎(秋田公立美術大学教授)が昨年度行った基礎調査の概要をあらためて報告。提案した仮設建築とはゴールではなくプロセスとしてのIncubation施設(孵化装置)であり、これまでの公共施設における計画の在り方を見直し、時間をかけて実験を重ねていく必要があることを説明しました。

プロジェクトを率いる小杉栄次郎(秋田公立美術大学教授)

国内外で広がる暫定的で実験的なプロジェクト事例を紹介する井上宗則(秋田公立美術大学准教授)

暫定的で実験的なプロジェクトを
北高跡地という公共空間で繰り返していく

北高跡地の機能を複合的に検討した第1回ワークショップに続き、第2回目は前回の内容をどう具体化していくかがテーマです。北高跡地で取り組むプロジェクトを短期と中長期それぞれのタイムスパンで考えながら可能性を探ります。ワークショップに入る前に、井上宗則(秋田公立美術大学准教授)が前回の内容を振り返りつつ、国内外で広がる暫定的で実験的なプロジェクトの事例やその可能性を紹介しました。

井上:第1回ワークショップでは、さまざまな機能が期待できる北高跡地のポテンシャルが示されました。今回のワークショップは、そのポテンシャルを顕在化するために、北高跡地で実際にやってみたい短期・中長期プロジェクトを考えるというものです。例えば、ランドマークがほしいという意見に対していきなり展望台を計画するのではなく、はしご車を使って望ましい高さを検証するイベントをしてみる。あるいは、防災拠点にするというアイデアに対しては、災害時を想定した防災キャンプをやってみる。防災キャンプをやってみると、防災も重要だけど純粋にテントでの寝泊まりが楽しかったという声が出てくるかもしれない。それならば、北高跡地をキャンプができるような場所として考えてもいいのではないか、というように議論が展開していく。今回のようなワークショップとその空間的な実践を繰り返すことで、北高跡地のポテンシャルを最大限に引き出すことができるのではないかとイメージしています。

都市計画の分野では、こうした実験的な空間利用を通してその場のあり方を考えていく手法の有用性が世界的に認められつつあります。2020年に出版された『テンポラリーアーキテクチャー:仮設建築と社会実験』には、参考になる事例が多く掲載されています。例えば、愛知県岡崎市の橋のたもとにつくられた「殿橋テラス」は、さまざまな規制がかかる場所をまずは仮設店舗として利用することで、そこの魅力が「見える化」され、常設化が推進されていくという事例です。また、オランダのアムステルダム市郊外の畑だった駅前を、10年間の期限付きで交流スペースに変えたプロジェクトが紹介されています。これは、駅前にコーヒーが飲める場所が欲しいという住民の声に、行政側が土地の暫定利用の許可という形で応えた事例です。いずれも共通していることは、まずはやってみるという精神です。仮に失敗したとしても、仮設的・暫定的な空間利用であれば、やり直すことができます。

このように、公共空間における暫定的で実験的なプロジェクトが国内外で進められており、北高跡地においてもこの手法を応用して、利活用を検討していくことを考案しました。今回のワークショップでは、空間的な実践を繰り返しながら場所の可能性を引き出していく、そんなプロジェクトを皆さんに提案していただきたいと考えています。

殿橋テラス(愛知県岡崎市)やオランダのアムステルダム郊外の事例は、仮設的・暫定的な空間利用から展開

短期・中長期で考えるワーク
[北高跡地で取り組むプロジェクトを考える]

ワーク前半は「質」より「量」でたくさんのプロジェクトを考え、アイデアを出してもらい、中間報告を挟んで後半は短期プロジェクトを深掘りしました。4つのグループに分かれて各自がアイデアをテーブルに並べ、短期で取り組むプロジェクト、中長期で取り組むプロジェクトのアイデアを出し、話し合います。北高跡地という場所で、どんな実験をして、何を検討したいのか。暫定的で実験的なプロジェクトを実践することによって、北高跡地の可能性をより具体的に描いていきます。