Index
真っ白な雪を掘りおこして、土と緑のにおいを嗅いで。
雪に閉ざされた冬を土と植物で楽しむ1日
秋田公立美術大学が主催する「こどもアートLab」は、こどもたちの自由な発想を引き出す創造のプラットフォームとして2019年度から開催しています。教員や卒業生、秋田県内外で面白い活動をしている人をLabリーダーに迎え、幅広い内容で活動中です。
2021年度のこどもアートLab第4回目は、美術家・村山修二郎(秋田公立美術大学准教授)によるワークショップ「冬に土と植物に出会う」。秋田市文化創造館の屋外に飛び出した子どもたちがまず取り組んだのは、雪を掘ること。深い雪を掘っていったいどんなことをしたのでしょうか。
スコップや手で、雪を掘って出会う「土」と「植物」
「冬」や「雪」を楽しむワークショップはいろいろありますが、Labリーダーの村山さんの今回のワークショップは、「冬」に外に出て雪を掘り、「土」と「植物」に出会うもの。冬の時期は土面を見ることができないため、雪を掘らなければ土や草のにおいを嗅ぐことはできません。
雪に覆われた秋田市文化創造館の屋外広場では、子どもたちと保護者の皆さんが雪の上を駆けめぐり始めました。スコップを使って、ちょっと固くなった雪を掘って、掘って…。
少しずつ土が見えてきました。「緑ある?」の問いかけに「緑あった!」の力強い声。「嗅いでみて」とLabリーダーの村山さん。春〜秋に嗅いでいたはずの土のにおい、緑のにおいを、冬に雪のなかで嗅いでみるとどんなにおいがするでしょうか。
雪を掘り起こすときの雪のにおい、そこからたどり着いた土のにおい。雪のなかで空気に触れずに過ごす土や植物のにおいは凝縮されていて、その質感と共に新鮮な印象を受けたのではないでしょうか。
自然の植物そのものを素材に。
藍の生葉とウコンの粉末で絞り染め体験
屋外広場での体験を終えて、午後はいよいよ藍の生葉染めとウコンの絞り染め体験をします。藍の生葉染めは、秋田公立美術大学の敷地内で育てた藍の生葉を秋に急速で乾燥させたもの。薬品を使わず、冬でも自然の素材そのもので染める技法です。黄色いウコン染めは、土の中で育った根っこを粉末にしたものを染料として使います。
絞り染めをする布は、硬めの綿布と、柔らかい絹布の2種類あります。布を思い思いに畳んで割り箸で挟んだり、ビー玉を入れて輪ゴムでしばってみたり。そして乾燥させた藍の葉で染めるものと、もう一方は黄色いウコンで煮出すもの。
野外で展覧会!
鮮やかな黄色が冬空にたなびく
ウコンで染めた布地は、さまざまな絞り模様と黄色の鮮やかな発色が美しい仕上がりに。それらを一本の紐に結びつけて、みんなで屋外広場へと運びました。
秋田の冬は日照時間が少なく、灰色の空と、白い雪が景色を構成しています。その冬空に、自然素材で染めたさまざまな布地がたなびきました。
子どもたちや保護者の皆さんから、ご感想をいただきました。
「雪あそびがたのしかったです」「子どもが集うと、思いつきや遊びが広がってよいなぁと思いました」「染め物も楽しかった。なんとあのような形で空にはためく自分の作品を眺める機会となって素晴らしいアイデアだと感動しました」「自然のものから、いろいろ感じることや制作ができて楽しかった」「自分がつくったものを飾ることができてうれしかったし、飾るのも外すのも楽しかった!」「ところどころ、内容やペースについていくのが大変だったが、子どもが興味を持ってくれて良かった」
冬空に黄色い布がたなびいた景色を、心に刻んでくれた様子が伝わってきます。皆さん、お疲れさまでした!
Profile
Information
第4回「冬に土と植物に出会う」
ワークショップは終了しました
▼プレスリリース
白い雪のしずかな世界の中、いきものたちはたしかに呼吸をしていきています。植物は、じっと春のおとずれをまっています。そんな冬を舞台にしたワークショップ「冬に土と植物に出会う」のLabリーダーは、美術家の村山修二郎(秋田公立美術大学准教授)。秋田市文化創造館の周辺で、自然の呼吸にふれてみましょう。
●日 時:2022年1月15日(土)10:30〜15:00
●定 員:20名(先着順)
●対 象:小学校1〜3年生の児童とその保護者
●参 加 費:1,000円
●開催場所:秋田市文化創造館(秋田市千秋明徳町3-16)1F
コミュニティスペース、屋外広場