やさしい灯りで心あたたまる「のしろまち灯り」
雪景色のなかで灯りを楽しむ「のしろまち灯り」がこのほど、能代市の能代市役所周辺で開かれました。2007年に始まったイベントは今年で12年目。ひんやりとした冬の冷気と雪景色のなかでひとつひとつ丁寧にともした約1,500個の灯りが、会場を穏やかに包み込みました。
「のしろまち灯り」は農家グループや商店街団体など市民有志で設立した実行委員会を中心に、企業や市役所、地域の学校などが一体となって取り組んでいる手づくりのイベントです。
中心市街地のにぎわい創出と活性化を目的として、「木」と「環境」にこだわったコンセプトのもとこれまで廃食用油やスギ廃材を利用するなど工夫しながら続けられてきました。
今年の「灯り」には、のしろ白神ネットワークや高校生ボランティアのほか、秋田公立美術大学、NPO法人アーツセンターあきたも協力。子どもたちと一緒に作ったろうそくや、福岡の「博多灯明」を取り入れて紙袋を使った灯明を会場に設置し、日暮れとともに灯りをともしていきました。多世代の地元の人々を巻き込んだ「のしろまち灯り」について、担当からのレポートです。
多世代の地元の人々を巻き込んだ!第20回「のしろまち灯り」
今回で20回目を迎える「のしろまち灯り」。これまで、杉の端材を使ったスギ灯りや能代だこ灯ろう、廃油を使った手作りろうそくなど特に環境面で工夫を凝らした灯りが冬の能代をやさしく彩ってきたイベントです。
キリのよい第20回でもあり、これまでとは少し変えたいと実行委員の能登さん、平山さんから相談がありました。
そこで今回は、昨年の600個を大きく超える1,000個以上の紙袋の灯明をメインとして会場を彩ることに挑戦!灯りを並べるスタッフとして、秋田公立美術大学2年生の小泉彩菜さん・柳谷真央さん、1年生の五十嵐柚さんの3人の学生が、能登さん・平山さんたちと一緒に昨年11月から準備をしてきました。
しかし、昨年度の倍以上の数を自分たちだけで配置していくことは容易いことではありません。
そこで、元々のテーマとしてあった「誰とやったらおもしろくなるか」を考え直して新たな協力者を募ることに。今回は、能代に暮らす「地元の高校生」をターゲットとし、お互いの持つ人脈・ツールを駆使しながら呼びかけていきました。
イベント当日の2月2日、能代の空は青空。呼びかけの甲斐もあり、集合時点で9名の能代高校・能代松陽高校の学生が駆けつけてくれました。
会場となったのは、能代市役所の「さくら庭」に上がる大階段と手前の広場。
美大の学生たちがその場の声を聞きながら、階段の上から見下ろしたり、会場脇の通路から眺めたりと、移動しながら目線を変えてレイアウトを決めていきました。
途中からいつの間にか高校生の人数も増え、地域の子どもたちや能代支援学校の生徒さんもやってきて一丸となり作業をすること3時間。赤・茶・白・緑・青の紙袋の灯明をはじめとする灯りがずらりと並べられ、大階段には光の中を歩いているかのように伸びた道、手前の広場には太陽の模様が浮かび上がりました。
辺りも暗くなって、いよいよ点灯。地域の子どもたちや支援学校の生徒さんはもちろん、能代市長もみんな一緒に並んでひとつひとつ丁寧にともしていきます。
気温が低すぎて点かないトラブルもありましたが、無事すべての灯明がともった頃には「きれい~」「すごいね~」と会場のあちこちから声が沸き上がり、元気に走り回る子どもたちや良い写真を撮ろうとする人たちで賑わいました。
新しいことをまちではじめる時には、それまで以上のエネルギーが必要です。新しいことに挑戦した今年の「のしろまち灯り」に必要だったのは、美大生や高校生のような地元の若いエネルギーでした。
地域でイベントをやる上で《「誰とやったらおもしろいのか」を考えること》、《身近な人脈をたどって仲間を集めていくこと》は、実はとっても大切なことなのかもしれません。
\のしろまちなか美術展/
小泉彩菜さん・柳谷真央さんは2018年10月9~14日に開催されたのしろまちなか美術展にも参加しています。活動の様子は下記のURLから。
https://goo.gl/cpu4t7
http://ur0.link/Qb7Q
齊藤夏帆(NPO法人アーツセンターあきた)