リアリティーを追求し、圧倒的な瞬間を切り取る
工藤夏鈴「空想生物 クリーチャーを描く」
架空の世界と空想生物がギャラリーに展開する「空想生物 クリーチャーを描く」が5月3日、秋田公立美術大学サテライトセンターで始まりました。
秋田公立美大卒業生を取り上げるシリーズ。Vol.11となる今回は、2020年にコミュニケーションデザイン専攻を卒業後、ゲーム会社に勤めながら空想生物(クリーチャー)を描き続けているアーティスト・工藤夏鈴を特集します。
工藤は子どもの頃、シカゴで恐竜の化石を見たことなどをきっかけに生物に対して憧れを抱き、生物学者や獣医師へと夢を変えながらも空想の生物を描いてきました。秋田公立美大入学後はコミュニケーションデザイン専攻に所属。動物の生態を学ぼうと活動した秋美生物部では、ニホンジカを解剖したり狩猟学や解剖学の講義を企画するなどして生態に関する知識を深め、美術解剖学と向き合いました。
工藤が目指すのは、動物の構造や生態、生息する環境などから描く空想生物の「圧倒的な瞬間を切り取る」こと。架空でありながらも、どこまでもリアリティーを追求することでつくる世界観に漂う迫力と存在感、その瞬間をスケッチやラフから生み出していきます。


架空の世界と空想生物
卒業後はゲームメーカー、プラチナゲームズ株式会社(大阪市)に勤め、数々のゲーム制作に携わる工藤は、背景モデルを制作するエンバイロメントアーティストを経て、コンセプトアーティストとして従事。作品イメージをコンセプトに添って視覚化し、ビジュアルとして表現した設計図はゲームにおいて重要な役割を担います。
一方、個人では、リアリティーを追求した空想生物を創造する工藤。本展では、これまで描いてきた空想生物に加え、学生時代に生態を研究したニホンジカやカマイルカなどの骨格標本等も展示。動物の解剖や骨格標本制作を通して動物の構造や生態を研究し、情報量によって得られるリアリティーによってその世界観に引き込む工藤の研究成果展でもあります。



会場には、シカとカマイルカの骨格標本やスケッチ、解体した鹿の膠を使い「獣」と「人」との関わりの形を描いた日本画《獣から肉へ》のほか、主に学生時代に描いた空想生物(クリーチャー)を展示。狩猟学や解剖学をもとにリアリティーを追求し、細かな設定のもとに描いた架空の世界と空想生物の数々をご覧いただけます。
また、本展では、工藤が勤務するプラチナゲームズ株式会社(大阪府)の協力で、工藤がエンバイロメントアーティストとして登場するプラチナゲームズ採用チャンネルの映像もご覧いただけます。ゲーム内の背景や街を構築し、世界観をつくり上げるゲームの仕事とは、どんな仕事なのか?おもしろいポイントは?などクリエイターに迫るインタビュー動画です。こちらも合わせてお楽しみください。
Profile プロフィール

工藤夏鈴 Karin Kudo
山形県山形市出身。秋田公立美術大学コミュニケーションデザイン専攻卒業。2020年プラチナゲームズ株式会社(大阪市)入社、現在コンセプトアーティストとしてゲーム制作に従事している。主な展覧会に「空想生物 クリーチャーを描く」(2023年、秋田公立美術大学サテライトセンター)。
工藤の箱庭 https://oburato727.wixsite.com/kudounoniwa
プラチナゲームズ株式会社 https://www.platinumgames.co.jp/

Information
秋田公立美術大学卒業生シリーズVol.11
工藤夏鈴「空想生物 クリーチャーを描く」
■会期:2023年5月3日(水・祝)〜2023年5月24日(水)
入場無料、会期中無休
■会場:秋田公立美術大学サテライトセンター
(秋田市中通2丁目8-1 フォンテAKITA6階)
■時間:10:00〜18:50
■協力:プラチナゲームズ株式会社、秋美生物部
■主催:秋田公立美術大学
■企画・制作:NPO法人アーツセンターあきた
■お問い合わせ:
秋田公立美術大学サテライトセンター(NPO法人アーツセンターあきた)
TEL.018-893-6128 E-mail info@artscenter-akita.jp
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況により、展覧会の開催期間や内容が変更になる可能性もあります。
※混雑の状況により入場を制限させていただく場合があります。