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「からだじゅう で あじわう 大根ビネーション展」オープニングレポート

11月11日は、大根の日!?秋田県立近代美術館において、11月11日にオープンを迎えた特別展「からだじゅう で あじわう 大根ビネーション展」の様子をレポートします。

美術館で「大根」?

秋田県立近代美術館は、秋田県横手市にあるテーマパーク「秋田ふるさと村」内に立地する美術館です。2020年度の展覧会「ARTS&ROUTES – あわいをたどる旅」の会場ともなった、アーツセンターあきたには馴染みの美術館です。

秋田県立近代美術館の外観

秋田県内では時折霰が降り、一気に冷え込みが増した11月11日。 秋田県立近代美術館を中核に多様な主体が連携・協働し、障害の有無等にかかわらず、美術を通じて多様な人々が出会い、ともに学びあえる場を創造する3か年計画の事業「みんなのキンビプロジェクト」の第1弾として企画された特別展「からだじゅう で あじわう 大根ビネーション展」がオープンしました。

午後から5階の中央ホールで催されたオープニングイベントには、美術館関係者や出展作家、美術館ボランティア、地元の小学生らが出席。 本展の企画・トータルディレクションを務めたデザイナーの澁谷和之さん(澁谷デザイン事務所)からは、「展覧会のテーマを《大根》としたことが一番のデザイン。美術館が作品を鑑賞する場から使う場に変化していくために、暮らしとつながる身近なテーマにしたかった」と展覧会タイトルの由来が紹介されました。

企画・トータルディレクションを務めた澁谷和之さん

式典の最後には、横手市食農推進課からの提案によるというテープカットならぬ大根抜きの共同作業で、展覧会がオープンを迎えました。

横手市立大雄小学校の児童が育てた大きな大根を引き抜きました

展覧会は、大根にちなんだテーマに従って17の章で展開されています。「展覧会がゴールではなく、17章の作品をきっかけに、新たな活動が根をはり広がっていくことを目指したい」と話す澁谷さん。会期中の週末には、今後の活動を後押しするようなワークショップや鑑賞会等のさまざまな関連イベントが開催される予定です。

■ 関連イベント情報
① 劇団わらび座の表現ワークショップ
日時:11月18日(土)10:00~12:00/13:30~15:30

② 永沢碧衣さんとroot painting project
日時:11月25日(土)13:30~16:00

③ キンビコミュニケーターワークショップ
日時:12月9日(土)13:30~15:30

④ 本展作家とのおしゃべり鑑賞会
日時:12月16日(土)13:30~15:30

⑤ クリスマスカラーでつくってみよう
日時:12月23日(土)10:00~12:00

⑥ うちのあかりワークショップ
日時:1月6日(土)13:30~15:30

⑦ 雪のキャンパスお絵描きワークショップ
日時:1月13日(土)10:00~12:00

⑧ 大根ビネーション展 大収穫祭
日時:1月27日(土)14:00~16:00

詳細はこちらから
https://common3.pref.akita.lg.jp/kinbi/images/2023/2023110101.pdf

ひらかれた美術館を考える

当日は、展覧会のオープニングのみならず、近代美術館を拠点としたアートコミュニケーター「キンビコミュニケーター」の養成講座、「みんなのキンビ研究会」が開催される盛りだくさんな一日。研究会の講師は、秋田公立美術大学教授で、アーツセンターあきたの理事長でもあるアーティストの藤浩志が務めました。

「みんなの美術館とは」をテーマに、藤浩志が講演

藤は、「頼まれてもいない余計なことをやり、ズレを生みだしながら面白さをつくるのがアーティストの仕事」としながら、自身のこれまでの活動の紹介。「みんなのキンビプロジェクト」の今後を考えるにあたり、どうやったら美術館を拠点にさまざまな活動が発生していくかについて問題提起を行いました。

研究会に集まった参加者からは、「作家やプレイヤーだけが美術に関わる人ではなく、いろんな人が関わるようになれば」、「どうやったら日常に美術(館)が近づくか」、「近代美術という名前に捉われすぎている」といった意見が交わされました。 みんなのキンビ研究会は、年齢や障害の有無等にかかわらず、みんなにひらかれた美術館の実現に向け、課題やその解決策について検討する場として、「みんなのキンビプロジェクト」実行委員やキンビコミュニケーター、「大根ビネーション展」の関係者が集い、今後も定期的に開催される予定です。

Information

「みんなのキンビ」プロジェクト
特別展「からだじゅう で あじわう 大根ビネーション展」

●会期:2023年11月11日(土)~2024年1月28日(日)
●開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
●休館日:年末年始(12月29日(金)~1月2日(火))、1月16日(火)~25日(木)
●会場:秋田県立近代美術館(横手市赤坂字富ケ沢62-46 秋田ふるさと村内)
●観覧料:一般500円(450円)、大学生以下無料
 ※本展の版権のご提示で、何度でも入場可能!
 ※カッコ内は20名以上の団体及びシルバー(70歳以上)の方々の料金
 ※障害者手帳、またはミライロIDご提示の方は無料(介添1名無料)(他の割引との併用は不可)
●主催:「みんなのキンビ」プロジェクト実行委員会(NPO法人アーツセンターあきた、NPO法人アートリンクうちのあかり、秋田県産業技術センター、秋田県立栗田支援学校、秋田県立横手清陵学院中学校・高等学校、秋田公立美術大学附属高等学院、秋田県立近代美術館)
●企画・トータルディレクション:澁谷デザイン事務所
●展示協力:ココラボラトリー
●協働:みんなのキンビ研究会、NPO法人エイブル・アート・ジャパン(文化庁委託事業 令和5年度障害者等による文化芸術活動推進事業「みんなでミュージアム」)、永沢碧衣
●助成:文化庁令和5年度 Innovate MUSEUM事業

https://common3.pref.akita.lg.jp/kinbi/index.html

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた 事務局長

三富章恵

静岡県生まれ。名古屋大学大学院国際開発研究科修了。2006年より、独立行政法人国際交流基金に勤務し、東京およびマニラ(フィリピン)において青少年交流や芸術文化交流、日本語教育の普及事業等に従事。
東日本大震災で被災経験をもつ青少年や児童養護施設に暮らす高校生のリーダーシップ研修や奨学事業を行う一般財団法人教育支援グローバル基金での勤務を経て、2018年4月より現職。

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