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「ずるずる構築体(展覧会)安村卓士」おもちゃ作品とは玩具であると同時に芸術作品である

秋田公立美術大学大学院在籍中から「おもちゃ作品」を作り続けている作家・安村卓士。触れること、あそぶこと。分解すること、再構築すること。作り続けること、方法を発明することと向き合いながら、アートと日常を緩やかにつなぐ遊びの空間を作り出す「ずるずる構築体(展覧会)安村卓士」が、3月8日、秋田公立美術大学サテライトセンターで始まります。

アートと日常を緩やかにつなぐ

秋田公立美術大学卒業生シリーズVol.12として、大学院複合芸術研究科を2022年に修了した作家・安村卓士を特集した「ずるずる構築体(展覧会)安村卓士」を3月8日〜31日、秋田公立美術大学サテライトセンターで開催します。

「デモクラシーリバーシ」から始まる作品群は、安村自身が明確に「おもちゃ作品」の制作方法を意識し、定義した頃から現在までおよそ100点にのぼります。

社会性と仮面:△○□ゲーム

美術を知る以前のあそびから

「手の届くところに存在する何気ないものやできごとをじっくり観察していると、自分だけにしか見えない側面がキラッと輝く瞬間がある。それを集めて組み合わせて、とりあえず手を動かすと、自然とかたちができてくる。その過程は、ひとつのあそびである。作品制作は、工作あそびやカラスの巣作りと同じ地平にある」

そう語る安村の「おもちゃ作品」制作は、美術を知る以前のあそびに大切な要素があります。自身の根底にある幼少期のあそびやおもちゃへの関心が美的判断の土台であると認識し、作品制作の条件として以下のように挙げています。
①「おもちゃ作品」=玩具であると同時に、芸術作品である。
②手近な素材や出来事をもとに作られる。
③鑑賞者は作品に触れてあそぶことができる。
④人間の「身体」「居場所」「社会」にはたらきかける。
⑤作品はプロトタイプである。
⑥制作は実験である。
⑦生み出された作品は、あそびの空間の網の目に配置される。
⑧作品の素材・色・形・行為は、分解⇆再構築の運動性を生み出す。
⑨作品は内部に明かされ得ない秘密を持つ。
⑩自作品の制作方法を、仮に「ずるずる構築体」と呼ぶ。
(今後、この条件は付け加えられたり、減ったりする。もしくは、まるっきり変わるかもしれない)

箱庭パズル
社会性と仮面:距離のゲーム

「おもちゃ作品」とあそぶ空間づくり

安村は、秋田公立美術大学卒業・修了展において実際に触れてあそぶ空間「おもちゃ作品とプレイルーム」を発表。また同時期に鴨江アートセンター(静岡県)のレジデンスで個展「いったりきたり/たったりすわったり」を開催。その後も埼玉、東京、秋田、神奈川、熱海などで個展やグループ展を開催し、全国各地で「おもちゃ作品」とあそぶ空間を作ってきました。
作品発表の場では、島を模した砂場で架空の島を作る「島づくりの儀」のほか、日比野桃子とのユニット「たもたもクラブ」として「占いごっこ」や「あそびの相談所」といったワークショップのような活動を展開しています。

本展には、これまで制作した「おもちゃ作品」のほぼ全てを出品し、会場にあそびの空間を作り出します。それは、アートと日常を緩やかにつなぐ空間。「人間はあそぶことによって、自己を取り囲む社会的規範や正常とされるような振る舞いから少し逸脱することができる。それによって、自己の生を実感する」と安村。ひとりでも、誰かと一緒でも、大人でも、子どもでも、ぜひ手にとって触ってあそんでください!

Profile 作家プロフィール

安村卓士 Takuji Yasumura

触れてあそぶ「おもちゃ作品」を作る。あそびによって作られる空間は、既存の教育や社会によって画一化された人間性をときほぐすと思う。広島県出身、秋田県秋田市在住。
2018年多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
2022年秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科修了
[展覧会歴]
2020年「ふしぎな洞窟」/高円寺グッドマン/東京
    「オルタナスオープン展」/オルタナス/秋田
2021年「手つかずの庭」/THE ROOM’s GARDEN/宮城
2022年「いったりきたり/たったりすわったり」/鴨江アートセンター/静岡
2023年「クロスプレイ東松山」/デイサービス楽らく/埼玉
    「儀式フェス」/劇場PARA/東京
    「ANTIWAR #SP _RIG_2023」/アトリエももさだ/秋田
    秋田公立美術大学開学10周年記念展「美大10年」/秋田市文化創造館/秋田
   「黄金町秋のバザールKoganecho International Artist’s Network 2023
    誰も知らないアーティスト」/黄金町エリアマネジメントセンター/神奈川
   「ATAMI ART DRANT2023巡ーVoyage ATAMI」/熱海市内各所/静岡

ずるずる構築体(展覧会)関連イベント

本展では関連イベントとして、曽根裕氏を迎えたギャラリートークと、安村が「ワークショップのような活動」として展開する「あそびの相談所」を開催します。

■アーティストの曽根裕氏をゲストに
「作り続けること、方法を発明すること」

大型の彫刻作品やパフォーマンス、映像、ドローイング、インスタレーションなど多様な表現を展開し、世界的に活躍するアーティスト・曽根裕氏をゲストに迎えます。「作り続けること、方法を発明すること」と題したトークでは、安村の恩師である美術家・藤浩志(秋田公立美術大学院教授)と共にご登壇いただき、表現すること、作ること、方法を発明することを続けることについて、安村が質問します。作り続けることと向き合う方々にぜひ聴いていただきたいトークです。
ゲスト|曽根裕(アーティスト)×藤浩志(美術家)
聞き手|安村卓士
日 時|3月11日(月)16:00〜18:00
会 場|秋田公立美術大学サテライトセンター(デッサンルーム)
入場無料、申込不要

Profile ゲストプロフィール

アーティスト

曽根裕 Yutaka Sone

1965年生まれ。中国、メキシコ、ベルギー、日本にスタジオを構え、国内外で活躍。彫刻を中心に絵画、ドローイング、写真、ビデオ、パフォーマンスなど多様なジャンルの作品を制作。

Profile ゲストプロフィール

美術家

藤浩志 Hiroshi Fuji

秋田公立美術大学大学院教授、秋田市文化創造館館長。ジャンルや素材にこだわらない美術表現を実践。国際展など多数出品。 https://www.fujistudio.co

■「あそびの相談所」
たもたもクラブ(安村卓士×日比野桃子)

日比野桃子と安村のユニット「たもたもクラブ」による「あそびの相談所」を開催。相談者と一緒に、それぞれの生活にしっくりくるあそびを考えます。
日 時|3月24日(日)
13時の部 ①13:00-13:15 ②13:20-13:35 ③13:40-13:55
14時の部 ①14:00-14:15 ②14:20-14:35 ③14:40-14:55
16時の部 ①16:00-16:15 ②16:20-16:35 ③16:40-16:55
17時の部 ①17:00-17:15 ②17:20-17:35 ③17:40-17:55
会 場|秋田公立美術大学サテライトセンター
定 員|各回1組(1〜3名程度)
申 込|018-893-6128(受付時間10:00〜18:00)
参加無料、申込優先

Profile プロフィール

日比野桃子 Momoko Hibino

1996年千葉県生まれ。言葉になる前の言葉を探して踊ったりする。キウイ大学校の校長。 https://kiwi-daigakkou.jimdosite.com/
「占いごっこ」や「あそびの相談所」を展開する日比野桃子とのユニット「たもたもクラブ」

Information

秋田公立美術大学卒業生シリーズVol.12
「ずるずる構築体(展覧会)安村卓士」

「ずるずる構築体(展覧会)安村卓士」(PDF)
「ずるずる構築体(展覧会)安村卓士」会場MAP(PDF)

■会期:204年3月8日(金)〜2024年3月31日(日)
     入場無料、会期中無休
■会場:秋田公立美術大学サテライトセンター
    (秋田市中通2丁目8-1 フォンテAKITA6F)
■時間:10:00〜18:50
■主催:秋田公立美術大学
■企画・制作:NPO法人アーツセンターあきた
■お問い合わせ:
秋田公立美術大学サテライトセンター(NPO法人アーツセンターあきた)
TEL.018-893-6128  E-mail info@artscenter-akita.jp

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

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