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渡辺楓和展「遠くの雨が聞こえる」
秋田公立美術大学は卒業生の活動を紹介する取り組みとして、2017 年にものづくりデザイン専攻を卒業した渡辺楓和の個展「遠くの雨が聞こえる」を、秋田公立美術大学サテライトセンター (秋田市中通)において6月22日(土)~7月28日(日)に開催します。
渡辺は高校時代から絵画やデザイン制作を始め、秋田公立美術大学では素材と向き合う面白さから、ものづくりデザイン専攻(ガラス・陶芸)に在籍。吹きガラスやキルンワーク、手びねりや鋳込みなどガラスや陶芸の基礎を学ぶ中で、素材が持つ質感やその変化に魅せられ、日常に現れる「現象」に着目するようになります。

コーヒーの染みや錆びた屋根。日常のそこかしこにある現象と人との距離感や時間の流れの異なりを見つめる 渡辺は、紙や石膏、セメント、蝋などの素材を用いて現象をかたちにする行為を繰り返します。「例えば風を描きたいなと思っても、目には見えない。けれど、景色を風の目線で見るまねをしたら、風が描けた」 という具合に。
本展では、卒業後も秋田で精力的に制作を続ける渡辺の《夕焼け》《風》《虹と花火》《人工の欠片》など7点を展示。空を読み、風を集め、光をとらえる渡辺の感度によって、現象を再構築します。
6月22日(土)には作家による作品解説、7月7日(日)には「にじみ」を楽しむワークショップを開催します。ぜひご参加ください。

Profile
美しいと感じたこと、それがなぜ美しいと感じたのかを考える。
それは科学者が実験により仮説を証明していくことや、スポーツ選手がプレーを見直しながら技術を確実に自分のものにしていくことと似ている。
私は作品を作っていく中で、なぜ美しいと感じたのかを再認識し、自分自身の直感を理解しようと試みている。
最近では作品に紙やプリントした写真、ペンや絵の具、石膏や蝋を用いているが、特定の技法や素材にこだわらず、素材と人との関わり方によって生まれる現象が作品のもとになっている。例えばインクジェットプリントで出力した空の写真に水を垂らすと、インクがにじみとなって思いもよらない形に広がり実在しない新たな空を描き出すように。
現象について観察し、まずは知ることから始まって、作品をつくり自分を表現する個人の営みと、自然環境の連鎖的な営みとの関係性を見つけたい。
人の記憶にあるささいな現象の風景を思い起こさせ、初めて見るのになんとなく知っている感覚。私のなかにある現象と感覚のサンプルをかたちにした。(渡辺楓和)
Information
渡辺楓和展「遠くの雨が聞こえる」
◼︎会 期 2019年6月22日(土)〜7月28日(日)10:00〜18:50 ※会期中無休
◼︎観覧料 無料
◼︎会 場 秋田公立美術大学サテライトセンター(秋田市中通2-8-1 フォンテAKITA6階)
◼︎主 催 秋田公立美術大学、NPO法人アーツセンターあきた
◼︎デザイン 越後谷洋徳
◆ギャラリートーク
6月22日(土)14:00〜15:00
会場にて作家による作品解説を行います。
◆ワークショップ
7月7日(日)11:00〜12:00、14:00〜15:00
作家による小さなワークショップを開催。紙と画材を使ってさまざまな「にじみ」をお楽しみいただけます。当日、会場にて随時ご参加ください。
【ものづくりデザイン専攻】
東北随一の工房設備を持つものづくりデザイン専攻では、自然・歴史・風土を見つめ直し、使い捨てではない心身の充足感を伴うものづくりを目指します。授業では素材を加工するために必要な木工・漆工・彫金・染色・陶磁・ガラスなどの工芸技法や素材に関する知識を学び、さらに調査や思考の整理、ディスカッション、プレゼンテーションなど現代社会に繋がるために必要な力をプロダクトデザインの視点から学び、新しいものづくりを志ざしています。
(2019.6.14プレスリリース)