写真を媒介に自分との関係を探求
写真を媒介に、人間以外のもの、動物、植物など“TA者”の立場や気持ちを考えて生活する脱人間中心主義の視点で、自分と“TA者”との関係を探求する制作を続けている徐。中国語で「他」は男性の意味をもつため、徐は種族や性別を特定させない“TA者”と表記します。
これまでは、人と自然とのつながりに注目し、徐自身と植物との間に親族関係があるように擬態した作品の制作に精力的に取り組んできました。
水草を種から育て、本の形で持ち歩き、記録している作品《水草本》(2020年〜)。水草を自分自身の子どもと思い、一緒に音楽を聴いたり、散歩をしたりするなど水草に対して母親のように接するパフォーマンスを続けています。
また、作品《コンビニ買い物計画》(2022年〜)では、もし自分が植物だとしたら、また、植物が人間のようならば、どうやって人間のように生活や買い物をするのかという想像を、自分が働くコンビニエンスストアの協力のもと、パフォーマンスで表現しました。
女性が消された家系図から問いかける
9月14日(土)から秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINTで始まる本展「I am More ー何百年の沈黙を破る」。徐は、これまでの脱人間中心主義の視点から離れ、秋田公立美術大学アーツ&ルーツ専攻での学びをもとに、家に残る中国の清朝(1800年代後半)から続く24冊の族譜(家系図)から、自分の祖先のルーツを探りました。
この族譜には父親と夫、すなわち男性のみが記載され、女性の名前はありません。
徐は家系図から消えた11人の女性を撮影し、インタビューを実施しました。「族譜から消え去った女性たちのことを考えると、深い歴史と複雑な関係を持つ大家族に生まれることが一体何を意味するのか考えずにはいられない」と語ります。
本展では、実際の族譜や調査を行った際の実物資料、インタビューした女性たちの写真などを展示します。
タイトル「I am More」には、人は誰かの子であり、親であり、さまざまな性別を自認しているなど、流動的なアイデンティティを持っているという意味が込められています。
徐自身の成長経験を通し、時代の変遷が個人及び家族関係に与えた影響、特に家族の中での女性の役割はどのように変化したのか、本展を通じて考察します。
2024年度ビヨンセレクション採択企画
本展は、2024年度秋田公立美術大学ビヨンセレクション採択企画です。
ビヨンセレクションとは、2021年よりスタートした秋田公立美術大学の学内公募事業です。個展・グループ展などのBIYONG POINTでの展覧会を通じて、意欲的な学生による日頃の研究・創作の成果を発表します。展示期間中にレビューを受ける機会を設け、作品の撮影記録とともに評論を公開し、学生らの将来の作家活動を視野に入れた支援を行っています。
2024年度は2024年8月〜2025年1月まで、4人の学生が展示を行います。
Profile 作家プロフィール
Information
徐 津君個展「I am More ー何百年の沈黙を破る」
▼徐 津君個展「I am More ー何百年の沈黙を破る」DM(PDF)
■会期:2024年9月14日(土)〜2024年10月14日(月・祝)
入場無料、会期中無休
■会場:秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT
(秋田市八橋南1-1-3 CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)
■時間:9:00〜17:30
■主催:秋田公立美術大学
■協力:CNA秋田ケーブルテレビ
■企画・制作:NPO法人アーツセンターあきた
■お問い合わせ:NPO法人アーツセンターあきた
TEL.018-888-8137 E-mail bp@artscenter-akita.jp
※2024年度秋田公立美術大学「ビヨンセレクション」採択企画