arts center akita

【民具ラボ】“気になる”からはじめる民具調査体験

8月3日~8月25日にかけて開催した、民具ラボによる分類整理活動。今回新たに制作した観察用のワークシートについてレポートします。

8月3日(日)~8月24日(月)にかけて実施した第3回分類整理活動。秋田市文化創造館に油谷さんが集めた未分類・未整理の民具等を持ち込んで、ボランティアとともに分類と整理を行いました。
3回目を数える活動ですが、来場者がより深く民具等を観察し、関心をもつための手助けとなるように、デザイナーの平石かなたさんにご協力をいただいて、ワークシート「民具ラボ 研究員の報告書」を制作しました。

来場者は、研究員としてワークシートを手に、民具の調査を行います。
調査方法はいたってシンプル。まずは、会場内をぐるっと見渡して気になる民具を選択します。そして、ワークシートの4つのお題の中から1つを選び、観察と記録を進めます。

お題1「民具をとことん調査」
民具をとことん観察して記録します。素材は?大きさは?形の意味は?
使われていた当時はどんな時代背景?文字や絵などをつかってとことん教えてね。

お題2「民具未来予想図」
古い民具を現代、また未来で使うとしたら?
元々使われていた用途と異なる方法で使うとしたら?
実用的でなくても大丈夫。新しい民具の使い方を発明しよう。

お題3「民具モンスターの発見」
もしもこの民具が動きはじめたら・・・。
どんな特徴をもったモンスター?どこに住んでいて何をしているのかな?
民具の特徴を活かしたモンスターを想像して!

お題4「民具妄想物語」
この民具はどのようにして今あなたの目の前にいるのかな?
ドラマチックな民具の生き様を想像してストーリーを教えてね。

撮影:伊藤靖史
気になる民具について、観察・記録します

会期中に集まった報告書の一例をご紹介します。観察する人によって、視点や気づき、妄想が実に多様であることに驚かされます。

民具をとことん調査

昭和世代にとっては昔懐かしいダイヤル式の電話。
しかし、来場した10代・20代にとっては、そもそもこれが電話機であることすらわからなかったよう。
会場で作業をしていたスタッフに教えてもらって、「今のスマホのように通話をしていた」と民具の用途を特定しました。

民具未来予想図

倉庫から運び出す時点で既にスタッフの間で話題になっていたこちら。パーマをあてる機械ではないか、医療機器ではないか等と色々な憶測が飛んでいました。結果、来場した方から「コウケントー」という光線治療器であることを教えていただきました。

こちらの研究員は、コウケントーの操作盤に注目し、未来予想の報告書を完成させました。

民具モンスターの発見

油谷さんが好きな収集品の一つと仰る木の股シリーズ(木の枝や根の形状を活かして作られた道具)。こちらは一体どんな用途で用いられていたのかは不明ながら、「民具モンスター」として見立てた報告書が完成しました。もしもこの民具が動き始めたら・・・

ディスプレイ用の手とセットとなっていた金属製の「爪」。琴爪かとも思われましたが、素材と個数が違う様子。こちらの研究員は、ならば「民具モンスター」として勝手に用途を見立てようと、「古のギャル(爪)ネイル」と命名しました。確かに最強。

民具妄想物語

こちらのアーケードゲーム機は、なんと1台が使えることが判明。会期中、老若男女問わず最も人気を博しました。民具妄想物語のお題を選んだこの研究員は、この機械の裏の目的を推測!

第3回分類整理活動で整理した民具等については、Instagramで記録写真を公開中。
気になる民具を見つけて、ワークシートを用いた調査にご協力を。
https://www.instagram.com/aburaya.aca/

Information

民具とアートとアーカイブの研究所(民具ラボ)
第3回分類整理活動など

収集家の油谷満夫さんが集めた民具等のコレクションを、研究者・表現者・ボランティアらが協働して分類整理や記録、活用に取り組む活動。民具とアートのアーカイブについて、実験や観察、対話を通して調査・検討する研究者や表現者、ボランティアによるネットワーク型のプロジェクト「民具とアートとアーカイブの研究所(民具ラボ)」の一環として、秋田市文化創造館を主な会場として実施。

●期間:2025年8月3日(日)~8月25日(月)
●会場:秋田市文化創造館2FスタジオA1(秋田市千秋明徳町3-16)
●主催:NPO法人アーツセンターあきた
●助成:公益財団法人 野村財団

https://www.instagram.com/aburaya.aca/

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

一覧へ戻る