アウト・オブ・民藝|秋田雪橇編 タウトと勝平
秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(ビヨンポイント)で1月18日、「民藝(民衆的工芸)」の周縁をめぐる「アウト・オブ・民藝|秋田雪橇編 タウトと勝平」が始まりました。「アウト・オブ・民藝」は、軸原ヨウスケと中村裕太が行う「*民藝」の周辺をめぐるリサーチ活動。香川から秋田に移住した宇野澤昌樹も加わった3人が、ブルーノ・タウトや勝平得之をはじめ秋田をフィールドワークして出会った秋田の「アウト・オブ・民藝」に迫ります。
オープニングイベントとして、初日は書籍『アウト・オブ・民藝』の版元である誠光社(京都市)の堀部篤史氏を交えたトークをBIYONG POINTのあるCNA秋田ケーブルテレビで、翌日は「油谷これくしょん」(秋田市)をめぐるツアーを開催しました。
*民藝運動(1926-)とは、柳宗悦・河井寛次郎・浜田庄司らによって提唱された生活文化運動。名も無き職人の手から生み出された日常の生活道具に美を見出し「民藝(民衆的工芸)」と名付けられた。

まずは、ブルーノ・タウト著『日本美の再発見』を読みながら秋田に来たという堀部氏が、「アウト・オブ・民藝」というリサーチ活動や展示の成り立ちを解説しました。
軸原と中村はこれまで、それぞれの関心をベースに「民藝」の外と内を行き来しながら、文献資料を手にし、未知の人に出会い、「相関図」の手法によって民藝運動の周縁的な動向を明らかにしてきました。誠光社では、全5回にわたるトークセッションと資料展示をまとめた『アウト・オブ・民藝』(2019年)を刊行。堀部氏は「民藝の中心にはいなかった人々を愛情を持って拾い上げ、相関図によって提示したことに共感した人が多かったと思う。民藝というキーワードが広がりを見せたのを実感した」と振り返りました。
旅人・軸原と中村、案内人・宇野澤による「なかよしトーク」では、京都で開催したトークやそれぞれの関心事、本展の成り立ちについて解説しました。そして2019年9月に行ったリサーチについて画像や映像で紹介。会場では時折、軸原・中村の問いに会場が答える展開となり賑わいました。


本展は、ブルーノ・タウト(1880-1938)と勝平得之(1904-1971)の出会いが起点となります。二人が秋田で出会った1935年、1936年はさまざまな工芸運動が盛んな時期であり、両者は民藝運動と近しい人物に接触していました。また、タウトが秋田での滞在を記した『日本美の再発見』や、勝平が残した関連資料を時系列に並べていくと、当時の景色を追想することができます。双方の視点で記した文章を軸に、当時の秋田の暮らしを振り返るタイムトラベルな展示となりました。



ブルーノ・タウト著『日本美の再発見』には、雪橇や農具をはじめとした1935〜36年頃の秋田の風俗が記されています。本展では、油谷滿夫さんが収集してきた戦前の秋田の膨大な民具コレクションの中から借用して展示。オープン翌日には、約20万点を収蔵する「油谷これくしょん」(秋田市)で、油谷さんご本人による解説を聞きながらめぐるツアーを開催しました。




「アウト・オブ・民藝|秋田雪橇編 タウトと勝平」は、5月10日までBIYONG POINT(CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)にて開催中。「民藝」の周辺をめぐりに、ぜひ会場に足をお運びください。
撮影:森田明日香
Information
「アウト・オブ・民藝|秋田雪橇編 タウトと勝平」
チラシダウンロード(PDF)
■会 期:2020年1月18日(土)〜5月10日(日)9:00〜18:00
(※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5月6日まで臨時休館。7日以降は時間を短縮して再開 [変更時間10:00〜17:00] )
■観覧料:無料
■会 場:
秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(秋田市八橋南1-1-3 CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)BIYONG POINT
■企 画:軸原 ヨウスケ、中村 裕太、宇野澤 昌樹
■主 催:秋田公立美術大学、NPO法人アーツセンターあきた
■協 力:秋田市立赤れんが郷土館、油谷これくしょん、秋田菓子宗家かおる堂、秋田魁新報社、誠光社、CNA秋田ケーブルテレビ