仮想と現実が入り混じる「現在」を描く
学生5人による映像展
「日常」を素材に学生5人が撮影・編集した映像の展覧会「学生の日常」が、秋田公立美術大学サテライトセンター(フォンテAKITA 6階)で始まりました。秋田公立美術大学とNPO法人アーツセンターあきたの主催。7月3日(金)まで。
今春、秋田公立美術大学の風景は様変わりしました。
ウェブ会議システムを使ってのリモート授業が始まり、実技では対面とリモートを組み合わせるなど感染症対策を施した授業が基本となりました。展覧会に人が集まることを避けるため、ギャラリーに展示はしても「一般公開はしない」と学生自らが決断した専攻もあります。コロナ禍において、学生はそれぞれ何を思い、何を考えながら制作を続けているのでしょうか。何より彼らは、「日常」をどのように過ごしているのでしょうか。
本展では、秋田公立美術大学の学生5人が、それぞれの1日を素材に撮影・編集した映像を映し出します。
乙戸将司(ビジュアルアーツ専攻4年)はZoomをモチーフにした《変化した“当たり前”》で、画面越しに展開する日常を描き出しました。「以前は大学に何事もなく広がっていた日常的な光景を、このビデオ通話の中に収めました。しかし、そこに生まれる物理的、心理的距離感はどうしてもなくせません。画面越しの言葉のやり取りのほかに、物理的な物のやり取りを画面の中に発生させ、その距離感を少しでもなくしたいと思いました」と語ります。
一方、伊藤達也(ビジュアルアーツ専攻3年)は、コロナ禍においても変わることのない早朝のシーンを《コンフリクト》に表現。朝の「起きたい」と「寝たい」の心の対立を朝の朧げな光と共に描きました。
黛結希乃(ビジュアルアーツ専攻3年)は仮想と現実が入り混じる生活を線画と実写とで《混ざる》に現し、霜田友莉亜(ビジュアルアーツ専攻4年)は《NO NEKO NO LIFE》でひとり時間の寂しさを紛らわせます。
強いられることになったひとり時間について、「この生活を一緒に乗り越えてくれる生き物がいてくれたら、私はもっとこの生活を楽しめたかもしれない」と霜田。無邪気な白猫の姿にせつなさがじんわりと漂います。
竹浦曽爾は《#STAYHOME TYPEBEAT》で、日常生活の中で完結するはずの家の中の音だけを使ってビートを作りました。「眼の前にある音に対して耳を澄まし、採集し、それらを組み合わせたものが『曲』としてリアルタイムで複数化していくシステム。身体的感覚を共有して外界と接続する行為は、『現在』を掴み取る行為でもあります」と竹浦。これを「TYPEBEAT」として拡散させ、他者によってリミックスされることで「曲」は流動的に変化していきます。
Twitter投稿上限の140秒を基準に切り取った5人の「日常」。それぞれが向き合う「現在」がここにあります。
Information
展覧会「学生の日常」
■会期:2020年6月23日(火)~7月3日(金)
10:00~18:30(最終日は16:00まで)
■会場:秋田公立美術大学サテライトセンター
(秋田市中通2-8-1 フォンテAKITA 6階)
■主催:秋田公立美術大学・NPO法人アーツセンターあきた
■出展作家:
竹浦 曽爾(秋田公立美術大学大学院)
乙戸 将司(秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻4年)
霜田 友莉亜(秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻4年)
伊藤 達也(秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻3年)
黛 結希乃(秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻3年)
<秋田公立美術大学サテライトセンターの感染症対策について>
■施設の感染症予防策について
・施設の適切な換気を行っています。
・アルコール消毒液を設置しています。
・施設内や備品について、定期的に消毒および清掃を行っています。
・職員は体調管理を徹底し、手洗い・うがいに務めるとともに、マスクを着用し感染予防に努めています。■ご来場いただく方へのお願い
・入館時の手指消毒をお願いいたします。
・以下の方につきましては入館をお控えいただきますよう、ご協力をお願いいたします。
-発熱、くしゃみ、咳などの風邪の症状がある方
-体調の不安のある方
-過去14日以内に感染拡大地域・国を訪問している方
・マスク着用等、咳エチケットにご協力をお願いいたします。
・他の利用者と安全な距離を保つよう、ご協力をお願いいたします。
・密集を避けるために、入場制限をさせていただく場合があります。
・会話は控えめにお願いいたします。
・展示台、作品にはお手を触れないようお願いいたします。