大森山アートプロジェクト2020
「まねっこ動物あそび」で、おもいっきり大森山!
秋田市大森山動物園と秋田公立美術大学が連携して取り組んでいる「大森山アートプロジェクト」。大森山公園一帯を大きなギャラリーとして、2020年度はワークショップやモニュメント制作、映像制作、サル舎やペンギン展示場での作品制作、「彫刻の森」の彫刻作品保全活動などを教員や学生が中心となって展開しています。
今年度新たに試みたのが、大森山の自然や動物たちに、より身近な存在として出会うための「まねっこ動物あそび」。体験のなかでおこる子どもたち一人一人の心の動きを大切に、全身を使って思いっきり表現をする大森山動物園ならではのワークショップです。いきものの多様性を実感しながら、とっておきの遊びを楽しみました!
「まねっこ動物あそび」は8月2日、晴天の夏空の下で開かれました。5組の子どもたちが集合して、まずは動物園内を散策。フラミンゴやペンギン、カピバラ、リス・・・。移動しながら動物をそれぞれじっくり観察して、色を見たり、動きの特徴をつかんだり。みんなの顔が徐々に明るくなっていきます。
参加した4組の子どもたちを案内したのは、秋田公立美術大学の学生たちです。ワークショップ「まねっこ動物あそび」には、安藤郁子准教授のもと1〜3年の学生6人が参加。「子どもたちと遊びたい」「教職課程を履修しているので、子どもと一緒に学ぶいい機会にしたい」など意欲的な学生たちです。子どもたちはどんなことに興味を持つのか、園内はどんなルートで移動したらいいのか、まねっこをするとき何をどう使うと楽しいのかなどを考え、準備を進めてきました。
コーディネートしたNPO法人アーツセンターあきたの齊藤夏帆は、「学生たちは準備の段階から子どもの目線に立っていて、ワークショップ当日はおしゃべりしながら、一緒に楽しみながらも子どもたちの心に寄り添っていたように思います。お互い共感できることがあるととても仲良くなって、見ていて微笑ましかった」と話します。
動物園内を移動しながら観察したあとは、子どもたちと学生で気持ちを共有して動物になりきって、変身!不織布を身体にまとうなどして、耳や尻尾、羽根などをイメージするまねっこタイムです。みんな、どんないきもののまねっこをしたのかな?
不織布をまとった子どもと学生たちは、動物園の塩干潟横の通路を抜けて広々としたグリーン広場へ。緑いっぱいの森の道を、変身した動物の気持ちになって歩いていきます。動物になりきって森の中を歩くって、気持ちいい!
グリーン広場へ抜けると、子どもたちの表情がぐんと明るさを増しました。ここからさらに水彩絵の具を使って、表現の時間が始まります。
キャンバスは、芝生に広げた大きなダンボールです。小さな指先や裸足に絵の具を付けてキャンバスに押し付けたり、寝転がったり、筆で絵の具を飛ばしたり、カエルのまねっこをしながら色を塗ったり。子どもたちがやりたいように、思い思いに体を使った表現の時間となりました。
「アクティブなチーム、素朴なチームとそれぞれに特徴があって、その違いが表現の仕方にも表れていたと思います。何のまねをしたのか、何を表現したのかは聞いてみないと分からないものもいっぱいあって、かたちはないけれど心の中のエネルギーを感じるような、素敵なアウトプットができました」と齊藤。動物になりきった子どもたちのキャンバスはエネルギーに溢れていました。
■まねっこ動物あそび 〜おもいっきり大森山!〜
ファネス佳乃 坪谷奈摘美 中川舞 村田葵 岡千陽 山田有花[秋田公立美術大学学生]
*監修 安藤郁子[秋田公立美術大学ものづくりデザイン専攻教員]
撮影:草彅 裕
Information
2020年度「大森山アートプロジェクト」今後の予定
■新築サル舎にアート作品を設置
2021年3月オープン予定の新しいサル舎の内壁に、サルをテーマとしたアート作品を設置します。
■ペンギン展示場の壁を彩る作品制作
秋田公立美術大学生と附属高等学院生が一緒に取り組み、ペンギン展示場の壁を彩るアート作品を生み出します。
■街なかモニュメント作品の設置
新屋から大森山動物園へといざなうモニュメントを制作・設置します。2018年より継続している活動です。
■「彫刻の森」の彫刻作品保全活動
1976年にオープンした「彫刻の森」の作品を学生たちが掃除し、保護のための処理を学びながら取り組みます。2018年より継続している活動です。
■映像作品の制作と公開
「粘菌」と「彫刻の森」に焦点を当てた映像作品を制作します。CNA秋田ケーブルテレビやYouTubeで公開予定です。