秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(ビヨンポイント)において、藤本悠里子企画による展覧会「『応答』~SUMMER STATEMENT 2018 報告とその後~」を開催します。
本展覧会は、アーティストによる新しい表現が生まれる現場をどのように創造できるのか、またキュレーターやコーディネーターはいかにアーティストの創作活動に関わることが可能なのかを問う試みです。秋田公立美術大学大学院の藤本悠里子を企画者に迎え、本年9月に藤本が、寺岡海、神馬啓佑、船川翔司、来田広大の4名のアーティストを秋田に招いて実施した、彼らの秋田滞在中の活動を記録し考察するプロジェクト「SUMMER STATEMENT 2018」を経て、「“展覧会”として見せる」ことを目的としない発表の形を模索します。
2018年12月15日(土)から2019年2月24日(日)までの71日におよぶ会期を、前期と後期にわけて構成します。
前期「Out of Exhibition」では、藤本の研究テーマでもある「展覧会の外にある創造活動の価値にも目を向けながらアーティストと協働する可能性」に対するこれまでの考察と、4名の招聘アーティストと共に取り組んだ「SUMMER STATEMENT 2018」の記録資料を公開します。資料は会期中も変化・更新します。
後期「秋田」は、寺岡海、神馬啓佑、船川翔司、来田広大のアーティスト4名による展覧会を開催します。4名を再び秋田に招き、夏の滞在中に得た経験や共同生活の中で起こった出来事を編集し、「SUMMER STATEMENT 2018」への応答として発表します。この発表は展覧会という形式で行いますが、それは同時に4名のアーティストがある時間を秋田で過ごしたことの記録でもあります。
関連イベント
アーティスト秋田滞在
期間:2019年1月8日(火)〜1月13日(日)
アーティストが秋田に滞在し、創作活動の一部公開やイベントを不定期に行います。
※詳細は特設サイトにて告知予定。
会場:秋田公立美術大学BIYONG POINT、秋田公立美術大学他
「秋田」プレオープニングイベント
日時:2019 年1月13日(日) 18:00〜
会場:秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT
秋田公立美術大学大学院修了研究展2019
日時:2019年2月15日(金)~2月19日(火)
場所:秋田市にぎわい交流館AU 多目的ホール (秋田市中通1丁目4-1)
主催:秋田公立美術大学大学院 複合芸術研究科
【前期「Out of Exhibition」企画趣旨】
これまで若手アーティストの支援や展覧会の企画に携わってきた中で、アーティストの創造活動を展覧会という形式で発表することに疑いはありませんでした。しかし、「展覧会では見えていないところ」、つまり「展覧会の外」にもアーティストたちの活動は存在しており、作品としてのかたちを得たものの周りには、作品には現れていないたくさんの思考や出来事、言葉が溢れています。私はこれらの要素に目を向けて、企画を立てることはできないだろうかと考えました。
この度行った「SUMMER STATEMENT 2018」の中ではアーティストの「生活」と「制作活動」の両方の要素が存在していました。そこに、学生や教職員、土地に暮らす人たちが立ち会い、関わりを持つことで、様々な言葉や考えが交換され、日々状態が変化する動きのある企画となりました。
前期「Out of Exhibition」では「SUMMER STATEMENT 2018」を通して集めた記録をもとに、実際にどのような状況が創出されていたのか、また、アーティストや滞在に関わった人たちにどのような影響をもたらしたのかを考察し、報告いたします。
これらの考察を経て、アーティストによる新しい表現が生まれる現場をどのように創造できるのか、またキュレーターやコーディネーターはいかにアーティストの創作活動に関わることが可能なのかを明らかにする研究へと繋げたいと考えています。(藤本悠里子)
【後期「秋田」企画趣旨】
2018年9月3日から14日まで、関西からきた4名のアーティストが秋田に滞在した。その滞在は少し変わっていて、作品制作を目的としなくてもよいという名目のもとであり、同じ家で共同生活をしながら、それぞれがその滞在の時間に見合った使い方をした。後日、それを展覧会という形式で秋田で発表することになった。
あの制作を目的としなくてもよい滞在をどのように展覧会に接続すればよいのだろう。そう考えた末、展覧会のタイトルを「秋田」と名付けることにした。なぜならあの滞在は私達にとって「秋田」という言葉以外で説明することが難しかったからである。滞在の中では制作を目的としていなかったため、制作行為からこぼれ落ちる、いわばその外側の出来事がたくさんあり、それを作品制作と同様に構造的に回収しなければおかしいと考えたからである。それは滞在期間に起こったことを制作という軸で編集し直し、展覧会として成り立たせることではなく、秋田での滞在をその時間に関わったアーティストの記録として括り成立させることである。
それは秋田での滞在の時間をアーティストが「秋田」で何かを「した」ということによって、名詞を動詞化することでもある。「2018年9月、秋田でアーティストがした。」この展覧会は秋田での2週間ほどの滞在の時間を経て、アーティストそれぞれが秋田を動詞化することの記録であり、秋田への滞在の応答となる。(寺岡海、神馬啓佑、船川翔司、来田広大)
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(2018.11.30プレスリリース)