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文化やアートにとどまらない旧県美の クリエイティビティとは

閉館から5年経過した旧県立美術館の運営管理計画策定に向けて、全4回開催したワークショップ。第3回目は「(仮称)秋田市文化創造交流館」のステイトメントや活動方針を話し合い、旧県美を舞台とした夢の企画を模索しました。旧県美再生!ワークショップ「せばなるあきた」の報告(3)です。

ステイトメント、発表!

旧県立美術館の運営管理計画策定を目的に開いてきたワークショップ「せばなるあきた」の第3回目が10月27日(土)、秋田市役所2階の山王一丁目食堂で行われました。
2013年の閉館から5年、旧県美は芸術文化によるまちおこしの拠点「(仮称)秋田市文化創造交流館」として再生に向けて動き出しています。

ワークショップではこれまで、旧県美にまつわる「これまで」と「これから」を共有し、施設としてのあり方や態度を探ってきました。今回はついに、運営管理計画案のもとになるステイトメントの発表です。参加者の皆さんはどんな反応を示すのか…ドキドキのスタートとなりました。

「せばなるあきた」では、秋田工業高等専門学校と秋田公立美術大学の学生がワークショップの準備作業や受付などを手伝ってくれています
秋田工業高等専門学校の学生の手による旧県立美術館の模型が登場。屋根を外して内部を見ることもできます

第3回目のワークショップは
●運営管理計画案のイメージが共有できている。
●「旧県美でやりたいこと」でチームになり、実現に向けて動き出している。
●ここにいる皆さんの関係性がさらに深まっている。
●4回目も来よう!と思っている。
をゴールとしました。

ファシリテーターはもうおなじみとなった篠原幸子さん。第3回目も明るい雰囲気でスタートです
第1回、第2回のワークショップでは、参加者の旧県美への思いやアイデアを受け止めつつ、どんな価値基準のもとで運営していくかについて言葉を軸に探りました
第2回目のワークショップでは、施設の10のあり方が示されました

「旧県美の人格(=施設のあり方)」を問いかけることで浮き彫りになった旧県美の新たな姿を紐解き、編み直し、大きな枠組みとして描いたステイトメントがこちらです。

旧県美は、創造力の〈枠をひろげたい〉〈養いたい〉〈発揮したい〉
すべての人に開かれたクリエイティビティ発酵場です。
発酵を促すために新しい視点、価値を見出すような実験的事業に取り組み、 活動の化学反応を生み出します。そして共に創造力を深めていきます。

旧県立美術館は、秋田県民・市民が愛着をもち、さまざまな思い出をもつ場所です。 人々の中に物語や記憶として生きる旧県美がもつ「場所の力」。
2020年、旧県美の再生とともに、この場所の力を活かす仕組みをつくります。

秋田は、クリエイティビティ(※)に溢れています。
「秋田は、なんもね」とつぶやく人が多いのは、謙遜のためなのか、それとも日常にあるものたちの価値が可視化されていないためなのかもしれません。
日常に息づくクリエイティビティを芽吹かせ、街に伸びやかにその枝葉を広げ、 豊かなまちづくりを支えるために、旧県美は生まれ変わります。
その実現のために、旧県美は、多様なクリエイティビティのあり方に寄り添うすべての人に開かれた場であります。新しい知識や情報を吸収したい人、またそれらを吸収するための「余白」を求める人、自分のアイデアを実現したいと思う人。 誰もが集い、出会い、学んだり、語り合ったり、寛いだり。思い思いに充足した時間を過ごすことのできる場と機会を提供します。
そして、旧県美に集う一人ひとりのクリエイティビティが芽吹くよう、新しい視点や価値を見出すような、先駆的で実験的な事業に取り組んでいきます。まちに開き、他の文化施設とも連携して、クリエイティビティが芽を伸ばし、時に閉じ熟成していく時間も持ちながら「人と文化をはぐくむ誇れるまち」の実現に貢献します。

※クリエイティビティ(Creativity)とは、創造性また創造する力を意味します。

疑問や質問、共感した部分などをチェック
ステイトメントや活動方針案が記された模造紙に付箋を貼っていきます

クリエイティビティとは?

発表されたステイトメントに対して、参加者から共感や疑問、質問等が寄せられました。
質問によって深められたのが、「クリエイティビティとは何か?」ということでした。クリエイティビティとは「創造性」「創造力」であり、新しいものを生み出していく力のこと。アートやデザインといった狭い意味ではなく、「さまざまな分野をクリエイトしていく力であることの定義が重要」との意見もありました。実験的なこと、やってみたいことに一歩踏み出せるまちであることがそのベースとなります。

ステイトメントをもとに活動方針案として発表したのがこちらです。

・創造力の枠をひろげる環境をつくる。
・創造力を養う場をつくる。
・創造力を発揮することを後押しする。
・化学反応を生み出すための刺激を与える。
・発酵の過程と成果を発信し、貯蔵(アーカイブ)する。

この5つの方針と事業展開イメージに対して、体制や財政面、自主企画や市民企画について、アーカイブの活用の仕方、近隣施設とのつながりなどさまざまな課題が出されました。

これらをもとに今後、運営管理計画を練り上げていきます。

文化やアートにとどまらない、クリエイティビティを志ざします

旧県美を舞台とした夢の企画を考える

ワークショップでは、旧県美は文化やアートにとどまることのない、新しいものを生み出していく場であることを共有。その後ついに、参加者による「夢の企画」が動き出しました。

主体性と情熱をもってテーマを出し合い、参加者同士がくっ付いたり、離れたり。「蝶や蜂の役割も大切」というファシリテーターの言葉に、あちらこちらのチームをのぞいてみたり、掛け合わせたり。

舞台パフォーマンス、伝統芸能、音楽イベント、旧県美の歴史にまつわるツアー、 同時多発的俯瞰劇場、空間としての拠点のあり方…。

これらは第4回目のワークショップで、メンターのアドバイスを受けながらブラッシュアップされていくはずです。
どんな企画が紡ぎ出されるのか、ご期待ください。

撮影:佐藤明雄(佐藤写真)

Information

(仮称)秋田市文化創造交流館運営管理計画素案報告会

開催日:2019年1月26日(土)
時 間:10:00〜12:30(9:45開場)
会 場:にぎわい交流館AU 2階展示ホール
定 員:60名

お申し込み・お問い合わせ
①参加者全員のお名前②代表者のお電話番号をTEL・FAX・MAIL・FBメッセンジャーのいずれかにてご連絡ください。
TEL 018-888-8137
FAX 018-888-8147
MAIL info@artscenter-akita.jp
(仮称)秋田市文化創造交流館運営管理計画素案報告会

プログラム概要
1)運営管理計画(素案)の紹介、説明
2)内容への感想、意見のメモ
3)共有(小グループ)
4)全体での意見確認・応答

※お車でお越しの方は「エリアなかいち駐車場」など近隣の駐車場をご利用ください。
※バスでお越しの方は、「千秋公園入口」あるいは「木内前」バス停をご利用ください。

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた チーフ

高橋ともみ

秋田県生まれ。博物館・新聞社・制作会社等に勤務後、フリーランス。取材・編集・執筆をしながら秋田でのんびり暮らす。2016年秋田県立美術館学芸員、2018年からアーツセンターあきたで秋田公立美術大学関連の展覧会企画、編集・広報を担当。ももさだ界隈で引き取った猫と暮らしています。

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