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紙との対話の日々を記録する
関口史紘「紙と十二年」

2021.04.29

秋田公立美術大学ものづくりデザイン専攻に在籍する関口史紘の展覧会「紙と十二年」が、秋田公立美術大学サテライトセンター(フォンテAKITA6階)で開催中です。日用品の形態や構造に注目し、「模刻」した作品25点。5月9日(日)まで。

紙を素材に、対象を「模刻」する
関口史紘「紙と十二年」

身近にある日用品の数々を「模刻」した12年を記録する関口史紘(ものづくりデザイン専攻4年)の展覧会「紙と十二年」が、秋田公立美術大学サテライトセンター(フォンテAKITA6階)で開催中です。

関口史紘が紙を素材に日用品の模刻を始めたのは、小学生のとき。小さいころからものの形や構造が好きで、昆虫や恐竜など既存のペーパークラフトでは物足りなさを感じていた関口が、昼休みを利用して教室の机といすの模刻に挑みました。

「多くの既製品のペーパークラフトは、本来あるはずの凹凸を印刷された模様で表現していて、動く箇所が動かないことも多くありました。でも私はものの形や細やかなところ、製造工程上必然的な形状や、可動するための仕組みなどに魅力を感じていました。だからこそ、ものの細部まで迫った紙工作をしたいという思いが芽生えたのだと思います」

小学4年のときに初めて模刻した《つくえといす》(2009、小4)工作用紙 62×70×55

小学校の机といすを観察し、その思いをかたちにしたのが《つくえといす》(2009)。当時、担任だった星晴夫先生がこれを称賛し、「ぜひとも続けていってほしい」と言葉をかけてくれたことがきっかけで関口はその後も模刻と向き合うことになります。

以来12年、関口は紙で作る日用品の「模刻」を続けてきました。本展では、紙と対話しながら工作用紙で作り続けてきた「ランドセル」「扇風機」「コンセント」など12年間分の作品25点を展示しています。

夏休みや冬休みを利用して時間をかけ、「実際に動くこと」「外れたり組み立てられたりすること」ができるように再現したいと思って制作。形を再現するには灰色だけで構成した立体を作ろうと決意。写真は、父が使っていた楽器を模刻した《ヴァイオリン》(2010、小4)工作用紙・紐 260×740×37

ステッチやファスナーなども細やかに再現された《ランドセル》(2011、小5)工作用紙・プラバン 250×300×335

作家が在廊中であれば中を開けて見せてもらえるかも・・。

小学校時代は「夏休みや冬休みなどは、ものに触っていられた大切な時間だった」と関口。写真は、夏休み中に分解した《扇風機》(2011、小6)工作用紙 800×900×460

「模刻」は形態や構造への疑問の答えを探す
濃密な時間を与えてくれる

「模刻」とは、ものの形態や構造をそのまま再現すること。技法を学ぶための練習だったり、現物の保存のためだったりと意図はさまざまですが、関口は純粋に形態や構造への興味から取り組み始めたといいます。

「なぜここはこういう形なのか、なぜこのように機能するのか。そういった疑問の答えを探したり、自分なりの答えにたどり着いたりすることがうれしい。その時間を一番濃密に与えてくれるのが模刻です」

使用する素材は紙。関口は「ボール紙」といわれる灰色の厚紙や、片面に方眼が印刷された工作用紙を使います。道具として使うのはカッターナイフ、木工用ボンド、シャープペンシル、定規、紙やすりなど。関口はこれらを使って、日用品と徹底的に向き合います。日用品をモチーフとすることが多いのは、「身近にあるからこそ、普段は見ることができていない対象だから。特別なものでなくとも、ものの形には奥深いが世界が広がっている」と語ります。

中学生になると学業等の時間も必要になり、手のひらにおさまるような小さなものの奥深さに着目するように。写真は、《コンパス》(2013、中1)工作用紙 195×200×12

紙を積層する技法を見出した《はけ》(2014、中3)工作用紙 185×35×7

高校時代は展示会やコンペに向けて、紙加工の経験をより作品に生かせないかと挑戦した時期。写真は、積層表現のみで制作した《手》(2017、高3)工作用紙・チップボール 390×450×335

大学時代は「より深く、細部まで迫ることを試みた」という関口。小さくとも密度の高い作品を目指して作品展開

模型を小さく設計して量産した《プチ文具》は、小さいながらも本物同様に可動。(2018年に販売。現在は非売品)

生活は、ものと共にある

決して特別なものではない、気にもとめない日常のものを、誰にでも扱える道具で模刻する関口。だからこそ、さらに奥にある「可能性」を探ります。見つめるのは、紙の可能性と、ものとの関係の可能性。

「いまはものが溢れていて、ものがあって当たり前の時代。だからこそ、ひとつひとつのものとじっくり向き合う時間は特別な意味をもつと思います。ものを知ることで、ものと私たちはより丁寧な関係を築くことができるはず。ものと私たちが深い関係を築くことは、毎日をより豊かにするのだと思います」

関口のものへのまなざしと可能性にふれる「紙と十二年」は、5月9日(日)まで開催中。

Profile

関口史紘
1999年北海道札幌市生まれ。2018年秋田公立美術大学入学。現在、ものづくりデザイン専攻4年。プロダクトデザイン研究室に所属。ものの形態や構造に関心があり、紙で作る日用品の模刻を小学4年生(2009年)から続けている。

Information

関口史紘個展「紙と十二年」

ポスターはこちら(PDF)

■会 期:2021年4月25日(日)〜5月9日(日)
      10:00〜18:50 会期中無休
■会 場:秋田公立美術大学サテライトセンター
    (秋田市中通2-8-1 フォンテAKITA6F TEL.018-893-6128)
■入場料:無料
■お問い合わせ:kami.to.12.nen@gmail.com

<秋田公立美術大学サテライトセンターの感染症対策について>
■施設の感染症予防策について
・施設の適切な換気を行っています。
・アルコール消毒液を設置しています。
・施設内や備品について、定期的に消毒および清掃を行っています。
・職員は体調管理を徹底し、手洗い・うがいに務めるとともに、マスクを着用し感染予防に努めています。
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 -発熱、くしゃみ、咳などの風邪の症状がある方
 -体調の不安のある方
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・マスク着用等、咳エチケットにご協力をお願いいたします。
・他の利用者と安全な距離を保つよう、ご協力をお願いいたします。
・密集を避けるために、入場制限をさせていただく場合があります。
・会話は控えめにお願いいたします。
・展示台、作品にはお手を触れないようお願いいたします。

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