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市民・行政・大学が共に思考して描く、能代の未来
北高跡地利活用の可能性を探る

2021.11.27

【能代北高跡地のWSレポート1】
2014年3月に秋田県から能代市に譲与された能代北高跡地。更地となって7年、その利活用についてはこれまで複数の提案や意見があり、周辺の商店街を含めたつながりを考慮して検討することが必要とされてきました。ワークショップでは市民・行政・大学が共に思考し、北高跡地の可能性を探ります。

これまでの公共施設のつくり方を問い直して探る
北高跡地の可能性と、能代のまちの未来

秋田公立美術大学は能代市からの委託を受け、2020年度より能代北高跡地の利活用に向けた基礎調査や検討を進めています。秋田公立美術大学景観デザイン専攻教授・小杉栄次郎を中心としたプロジェクトチームは2020年度の基礎調査を踏まえ、北高跡地の利活用は中心市街地の今後の在り方とセットで時間をかけて考えていくべきであり、能代市の管理コスト削減目標の達成と両立すべく、持続可能なまちを見据えた「思考継続型プロジェクト」を提案しました。

ワークショップと技術的検討を繰り返し、
実験しながら可能性を探る

2021年度は3回のワークショップと高校生対象のワークショップを企画。北高跡地の利活用について創造的な意見交換を行う「ワークショップ」と、ワークショップで出たアイデアを専門的な視点から検証する「技術的検討」を繰り返し、北高跡地のポテンシャルを引き出す実験的な「プロジェクト」を具体的に考えていきます。
ワークショップの内容は、能代市役所とアーツセンターあきたのウェブサイト、ニューズレターにて随時報告していきます。
第1回WS|2021年10月17日(日)13:00〜16:00 能代市役所
第2回WS|2021年11月28日(日)13:00〜16:00 能代市役所
高校生WS|2021年12月9日(木)13:00〜16:00 能代松陽高等学校
第3回WS2022年1月16日(日)13:00〜16:00 能代市役所 延期となりました

北高跡地利活用アーカイブ
北高跡地利活用に関する能代市のウェブサイトはこちら
北高跡地利活用(アーツセンターあきた)
▼能代北高跡地のワークショップニューズレター
「これから、ここから。」Vol.1(PDF)(2021年11月発行)

北高跡地は「点」ではなく、
能代市全体の活性化につながる重要事案

10月17日(日)に開かれた第1回ワークショップには能代松陽高等学校の生徒や能代市出身の秋田公立美術大学の学生、商工会議所、社会福祉協議会、市民おもしろ塾、観光協会などの18人が参加。最初に能代市企画課の鈴木浩文次長が、ワークショップ開催の経緯について説明しました。

「北高跡地の利活用についてはこれまで検討されてはきましたが、なかなか方向性が定まらないというのが正直なところです。現在『6の市』などで暫定的に利用されていますが、いずれは普遍的な活用にシフトすべきという立場から検討を深めていった結果、昨年、秋田公立美術大学に依頼して利活用基礎調査を実施しました。報告書のなかで今後の進め方として、思考継続型の手法を提案されたところです。北高跡地の利活用に関してはアンケートレベルではなく、幅広い分野、世代から直接的な意見を聞きながら進めていくべきとの考え方を持っています。新型コロナウィルスの影響等によって地域の活性が低下しつつありますが、今後まちづくりを止めるわけにはいかないことから、こうした重要課題については市民と一緒になって進めていくべきだと考えています。
北高跡地は決して『点』ではなく、中心市街地活性化、能代市全体の活性化につながる重要事案であると考えています。能代市全体でまちづくりを進めていくなかでこの取り組みが第一歩となること、そして市民、地域全体の力を発揮すべき、よき場となることを願っています」(鈴木)

鈴木浩文(能代市企画部次長)

時間をかけて思考を継続し、
アップデートしていくための第一歩

景観デザイン専攻の小杉栄次郎と井上宗則は、基礎調査業務を行った経緯と報告書で提案した思考継続型プロジェクトを解説。時間をかけて思考し続け、継続し、アップデートしていく手法について説明しました。

「能代市では、都市における空きスペースの今後の可能性を探る実証実験として、畠町の旧鴻文堂の店舗を若い人たちのためのスペースへとつくり変えるプロジェクトをここ数年続けています。その経緯で能代市とのつながりができ、北高跡地という場所があることを知りました。市はポテンシャルのある重要な土地だと捉えていて、今後の利活用についてとその取り組み方について相談を受けました。その際に、一般的には民間の建設コンサルタント会社が建物をつくる前提で基礎調査をするのがオーソドックスだが、もし大学が基礎調査をするのであれば、それとは違う場所・空間づくりのためのお手伝いができるのではないかと伝えました。こうした経緯で昨年度、大学に基礎調査業務を委託していただき、この土地をどのように生かせるかについてゼロベースで調査してきました。

能代市の関連計画を踏まえて基礎調査を進めていくなかで、今までの公共施設の計画の仕方よりはスピードを落として、中心市街地の今後の在り方とセットでじっくり考えてくべきではないかという考えが大きくなっていきました。そこで、みんなで継続的に考えながら、より良いものに時間をかけてアップデートしていく計画の作り方を提案させていただきました。能代市もその考えをまずは受け入れてくださるということになり、今年度、思考継続型プロジェクトの第一歩を進めることになりました。
今回お配りしたスタートブックをとっかかりとして、皆さんと一緒につくり上げていくようなワークショップを重ねていければと思います。新しくて可能性のあるものにはわくわくしますし、そういう雰囲気の場からしか良いものは生まれないとも思います。楽しく作業していきましょう」(小杉)

小杉栄次郎(秋田公立美術大学教授)

北高跡地の存在そのものが、
能代のまちづくりにとって重要なポジションになる

「基礎調査業務では、すでに策定されている計画のなかに北高跡地がどう位置づけられているかを整理しました。総合計画には北高跡地の利活用を点としてではなく面として考えようと明記されています。また、われわれにとってインパクトが大きかったのが、能代市公共施設等管理計画にあった『2047年までに公共施設の延床面積を35%削減する必要がある』という報告でした。何か施設を建てるにしても相当な議論、検討を重ねなければならない現状のなか、北高跡地のポテンシャルとは何か、さまざまな視点から調べていきました。
列挙すると、地質的には風の松原と同じく砂であること、かつては能代の入り口ともいえるゲート部分に位置していたこと、東側にメインのアクセス路があったこと、周辺より高地にあり、まちのランドマークになるようなポテンシャルがあること。また厳しい法的な規制はなく、建てようと思えば床面積75,000㎡ぐらいの巨大な建物さえ建てることができます。言い換えれば、建物を計画する場合は、将来に渡って維持管理が可能な、この場所にふさわしい規模をしっかり議論することが必要です。
北高跡地はまちづくりにとって非常に重要なポジションにあり、そのポテンシャルを最大限活かすには、ひとつの方向性に絞って検討を深めるのではなく、さまざまな実験的な利活用を行いながら議論を蓄積していくことが有効なのではないかと考え、思考継続型プロジェクトを提案しました」(井上)

井上宗則(秋田公立美術大学准教授)

Case1 恒常的な施設を建設する
地域の文化経済を底上げする新しい公共文化施設プログラムとして、リカレント教育を絡めた更新可能な博物館的施設の提案

Case2 一定期間、仮設建築物を設置し、検討しながら施設を増改築する
中心市街地の活性化に向けた機運を醸成する思考継続型プロジェクトとして、思考し続けることを目的としたIncubation施設(孵化装置)の提案

公共施設の延床面積を35%削減していかなければならない現状において何ができるかを考え、基礎調査報告書では北高跡地の可能性としてこの2つのケースを挙げ、公共施設のつくり方自体を見直そうと提案したのが「思考継続型プロジェクト」です。
「これだけポテンシャルのある土地なので物事を早急に決めず、公共施設の計画の仕方自体を見直そうと提案したのが『Case2思考継続型プロジェクト』でした。公共的な施設の前段階として、仮設建築物を設置するなどして実験し、時には失敗しながら、増改築しながら思考し続けることを目指したインキュベーション施設です。今すぐに決定せず時間をかけるのは、新しい交通体系の検討やバス交通の在り方が今、過渡期にあること。さらに多世代交流の場と考えた時に子どもたちの意見を取り入れていくことが必要だと考えたからです。例えば10年というタイムスパンを設定して、思考を継続しながらまちに必要な空間を計画していくほうが、結果的に長い時間、本当に必要とされる場所になるだろうと提案しました。
時間をかけて議論を積み重ね、皆さんと一緒につくっていけたらと思います」(小杉)