大越円香が問う、〈自己〉と〈他者〉の共存とその行方
「フラクタル⇔フラクチャー」
秋田公立美術大学の卒業生シリーズ第8弾として、2020年にビジュアルアーツ専攻を卒業した大越円香を特集します。
SNSによって、自己と他者の存在が曖昧なまま世界が構築されていく現代。スマートフォンと人間の間で起こる「自己と他者の共存」をテーマとする大越が素材とするのは、スマートフォンであり、スマートフォンに触れる身体そのものです。スマホで撮影した画像を薬品で溶解・剥離し、情報の曖昧さを可視化することで自己と他者の実感を明確にしようと試みた《Melting scenery》。SNSで繰り返される炎上を取り上げた《惨劇のアーキテクチャ》では、この世界以上に広大になってしまったSNS世界の構造を監視的に投影します。ハンドスキャナーを使った作品では、自分の身体をひとつの検体とし、自己を観測しつつ他者(自己)に表示することで、自己(他者)の存在を問いかけます。
「自己と他者の共存」とは、その行方とは。これら複数の標本(検体)を観測するがごとく構成する本展。大越は自己と他者、現実空間と仮想空間を行き来しながら、確かにあるはずの何かの存在(あるいは生存)を問います。
自己と他者、現実と仮想を行き来ながら
〈フラクタル〉と〈フラクチャー〉が対峙する
SNS社会の一端を提示する本展では、大越を大学時代から見つめ、同じく2020年にビジュアルアーツ専攻を卒業した武田彩莉(秋田公立美術大学大学院2年)による考察が並走します。再帰的に繰り返される自己と他者の関係が、他者である武田のキュレーションによってはからずもこの場に構築されます。
本展のタイトル「フラクタル⇔フラクチャー」とは、自己相似性という幾何学的構造の〈フラクタル〉と、亀裂や裂け目を表す〈フラクチャー〉。ふたつが対峙するように、大越と武田の対峙もまた見どころのひとつとなります。
Profile 作家プロフィール
大越円香 Madoka Okoshi
1997年秋田県能代市生まれ。秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻卒業。情報科学芸術大学院大学(IAMAS)博士前期課程修了。「スマートフォン登場以降のデジタル写真の視座」について、XR技術やスマートフォンの機能を元に考察、芸術実践を行う。主な展示歴にアートアワードトーキョー丸の内2020(東京駅行幸ギャラリー / 東京)、個展「Invisible view」(KUNSTARZT/ 京都 )、 SHIBUYA STYLE(西武渋谷店 / 東京)、個展「フラクタル⇔フラクチャー」(秋田公立美術大学サテライトセンター/秋田/キュレーション:武田彩莉)。
https://okoshimadoka.comProfile
Information
卒業生シリーズVol.8「フラクタル⇔フラクチャー」
■会期:2022年月3月5日(土)〜3月21日(月・祝) 会期中無休
■会場:秋田公立美術大学サテライトセンター(秋田市中通2-8-1 フォンテAKITA6F)
■時間:10:00〜18:50
■入場:無料
■グラフィックデザイン:越後谷洋徳
■主催:秋田公立美術大学
■企画・運営:NPO法人アーツセンターあきた
■キュレーション:武田彩莉
■お問い合わせ:
秋田公立美術大学サテライトセンター(NPO法人アーツセンターあきた)
TEL.018-893-6128 E-mail info@artscenter-akita.jp
※混雑の状況により入場を制限させていただく場合があります。
※新型コロナウイルス感染症感染拡大状況によっては会期や内容を変更する場合があります。