住居とは、可塑的なものである
秋田公立美術大学の卒業生シリーズVol.10として、景観デザイン専攻を2019年に卒業して山梨県で活動する折出裕也を特集します。
折出は2018年にインドネシア・スラバヤを訪れたことなどをきっかけに住まいの在り方と向き合い、「住居とは可塑的なものである」を主題として制作してきました。2019年には、さまざまな要因として変化していく生活に合わせ、住居も変形し続けることで、現代の商業的住居の対極である『超個人的な住戸』を作り続けるプロジェクトを卒業制作としました。
「住居の機能の多くは都市で代替できるが、全ての機能を排除しては住戸の所有感は失われ、人間が箱に収納されているのと変わらない。所有者にとって必要なものを付加、更新し続けていき、所有感を生み出していく」
折出がその実証のためにおこなったのが、自分の身体寸法から「立つ」「寝られる」最小空間を作り、そこで生活することでした。
感じたことを日記に記し、欲しいと思えば増築し、いらないと思えば減築し、自分の生活にフィットさせ続けること。折出による約50日間に及んだ実践は、都市における空間的デモンストレーションであり、卒業作品展では日記や設計図のアーカイブと共に迫力ある展示空間を作り出しました。
寄生し、依存し、集合する。
点からはじまる○△□
卒業後は山梨県小菅村に移住してタイニーハウスで暮らし、小さな空間をテーマにアートワークをおこなう折出は2023年3月、小菅村から運転するトラックに住居を作り、秋田に移動します。点は集まり、寄生し、依存し、接続されていきます。そこには農場ができ、集落が作られ、「あるかもしれない暮らし」が展開します。
本展では、ツリーハウスプロジェクト、イベントサークル「月刊ノキサキコイチ」など折出が小菅村で「場」をつくろうと仲間たちと活動するプロジェクトも紹介。不可侵だった領域をひらき、「場」をつくっていく、点からはじまる○△□を展示します。
3月11日(土)ギャラリートークを開催
展覧会初日となる3月11日(土)には、折出本人によるギャラリートークを開催します。「エコ」や「持続可能」といった流行りは意に介さず、今いる場所で、身の回りにあるからその素材を使う日々。小さな点からはじまる「点の家」について、ギャラリーで語ります。
Profile
折出裕也 Oride Yuya
Information
卒業生シリーズVol.10「点の家○△□」
▼「点の家○△□」(PDF)
■会期:2023年3月11日(土)〜2023年4月2日(日)
入場無料、会期中無休
■ギャラリートーク:2023年3月11日(土)18:00〜
■会場:秋田公立美術大学サテライトセンター
(秋田市中通2丁目8-1 フォンテAKITA6階)
■時間:10:00〜18:50
■主催:秋田公立美術大学
■企画・制作:NPO法人アーツセンターあきた
■お問い合わせ:
秋田公立美術大学サテライトセンター(NPO法人アーツセンターあきた)
TEL.018-893-6128 E-mail info@artscenter-akita.jp
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況により、展覧会の開催期間や内容が変更になる可能性もあります。
※混雑の状況により入場を制限させていただく場合があります。