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BIYONG POINT企画公募3月19日に公開審査会を開催!

秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINTで開催する展覧会の企画公募には、たくさんのご応募をいただきました。3月19日(火)、審査を通過した7組が公開審査に挑みます。どなたでもご覧いただけますので、ぜひご参加ください。

BIYONG POINT企画公募応募者7組による公開プレゼンテーション!

秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(ビヨンポイント)では、2019年度の展覧会企画の公募を行いました。(2019年1月締め切り)
書類審査を通過した7組による公開審査会を3月19日(火)、本学大学院棟「G1S」(秋田市新屋大川町)にて開催します。

審査員・アドバイザーとして、服部浩之(インディペンデント・キュレーター、秋田公立美術大学准教授)、石山友美(映画監督、秋田公立美術大学助教)ら5名が参画します。
公開審査では各組が5分間のプレゼンテーションを行い、審査員による質疑応答を経て採用2組を選出します。採用2組は来年度、BIYONG POINTにおいて展覧会を開催します。

BIYONG POINTについてはこちら

Information

BIYONG POINT企画公募 公開審査会

◼︎日 時:2019年3月19日(火) 15:00~19:30

  • プレゼンテーション(15:15~18:30)
  • 交流会(18:30~19:30)
  • 審査結果発表(19:30)

◼︎会 場:秋田公立美術大学大学院 G1S(秋田市新屋大川町12-3)

◼︎審査員
服部浩之(インディペンデント・キュレーター、秋田公立美術大学准教授)
岩井成昭(美術家、秋田公立美術大学教授)
瀬沼健太郎(ガラス工芸家、秋田公立美術大学准教授)
石山友美(映画監督、秋田公立美術大学助教)
内田聖良(インスタレーション・パフォーマンス作家、秋田公立美術大学助手)

書類審査 通過者7組

■深澤孝史(美術家)
タイトル:秋田から常陸に佐竹氏の像を贈る

企画コンセプト
時代性やそこに生きる人々と、その土地性との結びつきから生成されていくものごとと、同時に人為的に構築されていくものごとの両方に関心があります。
秋田ということで佐竹氏をテーマに考えていきたいと思っています。今回は常陸国との結びつきをとっかかりにして、二重のふるさとについて考えていきたいと思っています。私たちは好むと好まざるとにも関わらず、ふるさとから移動して別の土地に住み始めることがあります。
時代によって権力者の都合の場合もあるし、大きな災害の場合もあるし、仕事や、個人的な関係の場合もあります。積層されていった土地の歴史を私たちは、もっと意識的に紐解いて、身体化していかないと、一面的な歴史や思想に振り回されてしまうこともあります。残していったふるさとをどう考えるかと、新たな土地をどうふるさとにしていくか、できていること、できなかったこと、これからすべきことを見つめていくことでどこに立っているかを考える展示を作れたらいいなあと思います。

■堤 拓也(キュレーター) 
タイトル:Smaller Is Better! 

発表者名 :藤本悠里子(アシスタントキュレーター)

企画コンセプト
日本のアーティストによる「小さく、隠せて、持ち運び可能な現代美術作品」を集めたグループ展。従来的に想定されている作品スケールから離れ、「小さなオブジェ」が持ち得る美学性と政治性について考察する。さらに展覧会の起点として、「活版印刷」と「隠れキリシタン」にまつわるアーティファクトを併置し、西洋近代芸術のベースであるキリスト教と、国内の受容過程での変遷、および東北地方での結果を繋ぎ合わせる。また会期中には、展示に関するレクチャーに加え、小学4年生向けに「なまはげから大事なものを隠す」ためのワークショップを実施し、「小さなオブジェ」がはらむ抵抗性について省察する。以上における本展の巨視的な目的は、1) 西欧という中心から秋田という周縁への距離と偏差の意図的な表象、2) ローカルから別のローカルへと中心を介さずリンクするためのエコシステムの開発、3) 国際的な議題と地域的な文脈の接続事例の提示、となる。

■野口竜平(芸術探検家)
タイトル:蛸との遭遇

企画コンセプト:「蛸は、脚の一本一本に独立した知性がある」
ひとりの人間が知性のある一本の脚となることによって、新たな視点や身体感覚や発見を促す実験装置「巨大蛸」を作成する。蛸という極端に意味不明な生物になってみることで、日常生活の中では気がつかない、人間の知覚や身体また集団の意識を浮かび上がらせる。
多領域から募った表現者9名(頭1+脚8)で「蛸との遭遇研究所」を設立。研究員たちと協働で巨大蛸を用いた秋田の「探索」を行う。その経験をもとにディスカッションを重ね、「展示」「パフォーマンス」「ワークショップ」の3つの切り口で発表を行う。「探索」から「発表」に至るまでの過程や意義、対する作家の態度について改めて考える場をつくる。
このプロジェクトは、「他者との協働」について言及される場面も多くなると思われるが、活動全体を通じて蛸の身体のように「バラバラなまま一丸となる」ことの文化的な可能性を提示できればと思っている。

■川松康徳(Sketch Over代表)
タイトル:NARRATIVISUAL:D ‘たゆたうたう漂流者’(仮題)

企画コンセプト
「失われてゆくアイデンティティ」をテーマにオランダを拠点とするNatalia Papaeva(ナターリア・パパエヴァ)と日本を拠点とする川松康徳の2名のアーティストが、オランダと日本でそれぞれ滞在協働制作を行い、現代社会がこれから直面していく多様性を考えるものです。
(1)”ブリヤート人 Natalia Papaevaとの協働制作” (主にオランダでの滞在制作)
「失われゆくアイデンティティ」をテーマとした滞在協働制作は、協働制作者であるナターリア・パパエヴァのアイデンティティの状況から発せられた危機感を背景に、彼女が居を移したロッテルダムにある移民コミュニティを共にリサーチし、アイデンティティの問題を抱える当事者の語りを元に協働制作が行われます。
(2)匿名的技術/Open Source(主に日本での滞在制作)
アイデンティティには、科学的エビデンス(指紋やDNA、虹彩)に基づいた個人のものの他にも、特有の文化や技術によって集団で保有され維持されるアイデンティティが存在します。日本での滞在制作では、失われゆくアイデンティティを延長させる方法を、その集団的アイデンティティによるオープンソースから援用します。

■軸原ヨウスケ(COCHAE, へのへの図案者)+中村裕太+宇野澤昌樹/チーム・オブ・アウト・オブ民藝
タイトル:アウト・オブ・民藝の世界

企画コンセプト
「なぜこれは民藝じゃないの?」民藝運動の提唱者・柳宗悦亡きあと、新たに民藝を定義しなおすことなどできそうもないし、する意味もないだろう。しかし、私たちは思う。ひょっとして民藝運動からはぐれてしまった「民藝的な何か」に21世紀の美術や工藝の未来があるのではないかと。あえて軽やかに「アウト・オブ・民藝」と言いたい。「アウト・オブ・民藝」は民藝運動へのカウンターではなく、今日の美術や工藝の在り処を探るひとつの考え方だ。
本企画は軸原ヨウスケと中村裕太の二人による「アウト・オブ・民藝」探求(あるいは探検)の成果を発表するものである。郷土玩具やこけし、農民美術など民藝運動から絶妙な距離で仲間に入れなかったもの、民藝運動の時代に素早くその周縁(アウトオブ)に回り込み、自前の工芸論を展開していった人やものを、楽しく、わかりやすく提示する。

■ Anothai Oupkum(インディペンデント・キュレーター)
タイトル:Object anonymous: the narrative of Araya shore(オブジェクト・アノニマス:新屋海岸のナラティブ)

企画コンセプト
地球環境という大きな枠組みから私たちの日常の環境を考えたとき、そもそも私たちはどのような時代の中にいるのでしょうか。あまり知られていませんが、21世紀の地球はアンソロポシーンという耳慣れない紀元に突入しています。アンソロポシーンの枠組みから考えると、現代人と生態系の関係が芸術を含む、あらゆる領域に強い影響を与えている現実に直面します。人類の地球上での活動は自然界に対し、数千年規模の深刻な影響を与えており、地球という惑星の未来を考えると、今日の生態系は過去には考えられなかったレベルで人間の活動による影響にさらされていて、生態系と人間による文化(活動)の両者はもはや切り離せないものとなっており、相互的であり、また潜在的に破滅的な影響関係にあります。私たちの生活圏における生態系の長期的な持続性について、考えられうる中で新たな方法論を再考・模索することが今日私たちに迫られています。
本企画ではサイト・スペシフィック・リサーチをベースとする展示を行い、ローカリティ(場所性=近隣、付近、場所、土地に関すること)の固有性の発展を理解する鍵として、新屋の海岸の生態系をアーティストの視点から描かれた現代の人間・生物の両者による環境の(新たな)モデルを提起します。

■佐藤朋子(アーティスト)
タイトル:Double Narration/鉱山と鉱石

企画コンセプト
アーティストの佐藤朋子と、活動写真弁士の2人の語り手による2重の物語の公演を行う。公演後、その台本をもとに映像作品として再構築し、展示を行う。
チャップリンの無声映画「黄金狂時代」などの鉱山にまつわる映画から、「鉱山の町に生きていた人々の営み」として残される、鉱山のアーカイブともよべるものから物語を立ち上げる。閉山した鉱山にいた人々の人形や絵画、鉱山跡に残る鉱石たちなど、それら「営みのアーカイブ」ともいえるようなものを作品の主軸に設定する。また、日本の現代舞踊を牽引し、更には鉱山でも労働をしていた石井漠と、同じく現代舞踊を発表していた土方巽といった秋田出身の身体表現者たちも、作品の要素として扱う。
秋田県北の鉱山の町は、一方では東京とほぼ同じくして近代化した町として語られ、一方では花岡事件が起きた場所として語られる。また、町には必ず映画館があり、活動写真弁士が活躍していた。鉱山では人や映画などの技術が外から訪れ、ある種の「異物」ともいえるようなものたちが共存していた場所であった。「異物」たちを再考し、「営みのアーカイブ」を物語ることを、レクチャーパフォーマンスと活動写真弁士という2つのアプローチから実践する。

(2019.3.12プレスリリース)

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

高橋ともみ

秋田県生まれ。博物館・新聞社・制作会社等に勤務後、フリーランス。取材・編集・執筆をしながら秋田でのんびり暮らす。2016年秋田県立美術館学芸員、2018年からアーツセンターあきたで秋田公立美術大学関連の展覧会企画、編集・広報を担当。ももさだ界隈で引き取った猫と暮らしています。

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