「モノ」のイメージを新たな側面で捉える
「モノ」のイメージをモチーフに、彫刻や音声テキストなどを組み合わせたインスタレーションの制作を行う山本夏綺(秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科修士課程在籍)の個展「●を↑↓←→に」が4月29日(土・祝)から、秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINTで始まります。
《inner odyssey》(2022年、秋田市)では、内臓肉の「形」について構造として考えながらオブジェを作り、展示しました。立体物が支柱や外の構造に支えられていることを意識し、大きさを失わせたり、記号的意味として扱ったりしながらオブジェを制作。形として捉えることで内臓肉についてだけ言及するのではなく、その構造を地形や社会などへ拡張できると考えました。
個展「●を↑↓←→に」では、おとし穴をモチーフにした新作のインスタレーション作品を展示します。

内臓肉の「構造に依拠せず自立する姿」に興味を持ち、少ない構造で柔らかいビニールが立つ造形を制作した。

内臓肉の「構造に依拠せず自立する姿」に興味を持ち、少ない構造で柔らかいビニールが立つ造形を制作した。
おとし穴によって生まれる差異
記号的なタイトル「●を↑↓←→に」。抽象化した作品に合わせ、極力シンプルに付けられました。山本は●は伏字で隠されているようにも、基点のようにも捉えられると語ります。
おとし穴は、お笑いなどに使われるキャッチーなイメージを持ちつつも、旧石器時代には狩猟のために使われたり、戦争において殺傷の目的で仕掛けられたりする側面を持ちます。
山本は調べる中で、おとし穴をつくることが「分ける」ことであるという点に着目しました。
捕獲する/される側、見上げる/見下す側。
その差異への関心から、おとし穴を構造的に捉えることを試みたという本展。
おとし穴によって隔てられた間に生まれた「作用」を、いくつかのオブジェと音声テキストを用いて一つの空間に表現します。


Profile 作家プロフィール
山本 夏綺 Natsuki Yamamoto
<主な展覧会>
2023年1月 秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科修士課程1年展「渦紋」 秋田市文化創造館 スタジオA3(秋田)
2022年12月 「inner odyssey」尾形食堂(秋田)
2022年9月 グループ展「長ぐつとすべり台」アトリエももさだ 多目的ホール(秋田)
2022年2月 京都精華大学展2022(卒業制作展)
2021年8月 グループ展「Take it Out(ファストフードの見方)」サテライトスペースDemachi(京都)
Information
山本夏綺 個展「●を↑↓←→に」
■会期:2023年4月29日(土・祝)〜2023年6月25日(日)
入場無料、会期中無休
■会場:秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT
(秋田市八橋南1-1-3 CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)
■時間:9:00〜17:30
■主催:秋田公立美術大学
■協力:CNA秋田ケーブルテレビ
■企画・制作:NPO法人アーツセンターあきた
■お問い合わせ:NPO法人アーツセンターあきた
TEL.018-888-8137 E-mail bp@artscenter-akita.jp
新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況により、展覧会の開催期間や内容が変更になる可能性もあります。
※2022年度秋田公立美術大学「ビヨンセレクション」採択企画