arts center akita

誰かの声に耳をすます 岡本真実個展「ゲルマラジオ体操第一」

秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINTで2月10日(土)から、ビジュアルアーツ専攻3年生の岡本真実個展「ゲルマラジオ体操第一」を開催します。岡本の自作ラジオを用いた体験型インスタレーション作品やパフォーマンスのアーカイブ映像等を展示。ラジオの電波から拾う不安定で小さな音をモチーフに「社会とつながりを持つこと」「誰かの声を聞く行為」について再考します。 ビヨンセレクション採択企画。

発話と他者との干渉の方法について探る

声の揺れや言葉の詰まりなど発声・音声言語でのコミュニケーションにおける不自由な身体性を起点に、作品を通じて “他者との干渉の方法を探る実験”を行う岡本真実による個展「ゲルマラジオ体操第一」が2月10日(土)から、秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINTで始まります。

魚の着ぐるみを着用し街中に出没する
ガスマスクと作業着を身につけて街中の錆を落として回る
アンテナを背負って山や街の中で受信を試みる…。
岡本はこれまでに、身体に装着して移動できる装置を作り、街中でゲリラアートを行ってきました。
また、彫刻や映像などのメディアにインタラクティブな要素を作り、鑑賞者の身体の動きや意識に介入できる仕組みを取り入れた作品も制作しています。

「マグロ人間プロジェクト」(2018-2020、京都)、撮影:志杏

京都市内の市街地で行った「マグロ人間プロジェクト」(2018-2020)。魚の着ぐるみを着用し、街中で出会った人にあやとりをしてもらうパフォーマンスです。声を出さずに人と関わることができるのかという疑問から生まれた実験で、発話しないマグロ人間(=メタファー)が、視覚的に異質な存在として街を回遊し、人とコミュニケーションを取ろうと試みました。

個展「目を合わせる〜相互着用実験〜」(2020、秋田)

2020年に開いた個展「目を合わせる〜相互着用実験〜」では、岡本はZOOMを使った会話中に、顔を緑の塗料で徐々に塗っていき、クロマキーとして相手の顔を投影しながらの会話を試みました。自分の顔に少しずつ対話相手の顔が浮かび上がり、作家と鑑賞者の顔が1つの顔として画面に映ります。

コロナ禍でオンライン上のコミュニケーションが増えたことをきっかけに、それまでのコミュニケーションの方法とは全く違うやり方を模索しなければならないという危機意識から生まれた作品です。
端末のカメラとモニターの位置のずれにより、目が合っているようでいて”目の合わない”状況の会話のしづらさを取り上げました。

「re: wave」 ビジュアルアーツ専攻3年課題展(2023、秋田)、撮影:安藤帆乃香

2023年に秋田市文化創造館で開催された ビジュアルアーツ専攻3年課題展「re: wave」では、声と指先の震えに焦点を当て、振動と音をともなう彫刻を制作しました。
緊張や喜び、寒さなどさまざまな要因で起こる「声の震え」。その多様なシチュエーションと身体パーツをコラージュし、なぜ震えているのか見る人の視点によって変化する様子を表現しています。

誰かとつながる かすかなラジオの音
個展「ゲルマラジオ体操第一」

岡本は2022年からラジオ放送を介して、社会との繋がりを保つ行為を「ラジオ体操」と定義づけ、パフォーマンスを行なってきました。アースの役割をもつ銅棒を、社会と自分自身を繋ぐ「かすがい」に見立てて地面に打ち込み (=アクション )受信を試みる《ゲルマラジオ体操》プロジェクトを各地で行っています。

2月10日(土)から開かれる本展「ゲルマラジオ体操第一」では、岡本の自作ラジオを用いた体験型インスタレーション作品を制作。《ゲルマラジオ体操》の実写アーカイブ映像をアニメーションと融合させた映像作品などを展示します。

微かな音で流れるラジオ放送に耳をすませ、受信する場所を探し歩く。
ラジオの電波から拾う不安定で小さな音をモチーフに「社会とつながりを持つこと」、「誰かの声を聞く行為」について再考します。

2月18日(日) 開催!「おしゃべりワークショップ -こたつを囲んでラジオを作ろう!-」

こたつを囲んでみかんを食べながら電子工作をするワークショップを2月18日(日)に開催します。

会場内のこたつで温かいお茶とみかんを食べておしゃべりしながら、または黙々とアンテナを作ります。 できあがったアンテナとラジオキットは持ち帰ってOK!

本展示のパフォーマンスでは外に出る、社会と柔らかいつながりを持つための一つの方法として「ゲルマラジオ体操」を提案します。ラジオを作りながら、秋田の冬をどう過ごしているか一緒に雑談してみませんか。

開催概要
日 時:2月18日(日)14:00〜17:00
会 場:秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT
(秋田市八橋南1-1-3 CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)
参加料:1人500円(お茶とみかん付き)
定 員 :4人
参加申し込み:下記より必ずお申し込みください。受付は2月10日24:00まで。
お申し込みはこちら(入力画面に移ります) 

※応募者多数の場合は抽選を行う場合があります。

Profile 作家プロフィール

岡本真実 Okamoto Manami

2001年京都府生まれ。秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻在籍。発声・音声言語の不自由さ、コミュニケーションの齟齬に関心を持ち、パフォーマンスや作品を通じて “他者との干渉の方法”を探る。ラジオの受信音声に混じるノイズと、声の揺れ/詰まりの類似性に着目し、2021年よりラジオの自作をしている。
<主な展覧会>
2023「re: wave ビジュアルアーツ専攻課題展」(秋田)
2023「塹壕ラジオ @ オルタナス」「耳を傾ける / 耳を貸す」(秋田)
2021 個展「ある種の抵抗」(秋田)
2020 個展 「目を合わせる〜相互着用実験〜」(秋田)
インスタグラムアカウント:@manami_okamoto.work https://www.instagram.com/manami_okamoto.work?igsh=aTM0b3JreDA5azlm&utm_source=qr

Information

岡本真実 個展「ゲルマラジオ体操第一」

岡本真実 個展「ゲルマラジオ体操第一」DM(PDF)
■会期:2024年2月10日(土)〜2024年2月28日(水)
    入場無料、会期中無休
■会場:秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT
   (秋田市八橋南1-1-3 CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)
■時間:9:00〜17:30
※最終日は15:30まで
■主催:秋田公立美術大学
■協力:CNA秋田ケーブルテレビ
■企画・制作:NPO法人アーツセンターあきた

■お問い合わせ:NPO法人アーツセンターあきた
TEL.018-888-8137  E-mail bp@artscenter-akita.jp

※2023年度秋田公立美術大学「ビヨンセレクション」採択企画

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

一覧へ戻る