「1/1000油谷コレクション」は、膨大な油谷さんの私蔵民具等の1000分の1程度を収蔵庫から取り出し、アーティストの藤浩志さん、國政サトシさんと市民ボランティアによる分類整理と、多様な分野の専門家による価値検証が並走するアートプロジェクト。
6月30日には、横手市浅舞にある油谷さんの2階建ての倉庫の1室の約2分の1を占めるモノを2tロングのトラックで運び出し、秋田市文化創造館に搬入。7月1日から12日まで、休館日を除く10日間(毎日9時間)、清掃と分類整理、記録の作業を進めています。
プロジェクトレポートの第1回は、運び出しから清掃、分類・整理、記録の作業過程(前編)。
6月30日(日)収蔵庫から搬出
秋田県内の複数個所に収蔵庫を所有する油谷さん。プロジェクトの開始前にすべての収蔵庫をリサーチし、どこからモノをお借りするかを検討しました。未整理のモノが多いと推測される横手市浅舞の1室が良いであろうということになり、6月30日に、油谷さん、藤さん、國政さん、秋田公立美術大学大学院生の大村さん、アーツセンターあきたスタッフ2名で現地に赴き、搬出作業を行いました。天候はあいにくの雨。「1つ目、始めるよ」という藤さんの掛け声とともに、バケツリレー方式で搬出を始めました。対象となる部屋の前の通路に積み上げられたモノを搬出後、手前から選別せずにとにかく搬出。掘っても掘ってもでてくるモノに、一同興奮。
しばらくすると、油谷さんはトラックの荷室に乗り込み、國政さんとともにモノの積み込みを始めます。油谷さんの指示で、寸分の隙もなく積み込みが進みます。2時間ほどで、荷室いっぱいに積み込みました。
7月1日(月)文化創造館に搬入し、分類整理作業開始
一晩燻蒸し、翌7月1日は、朝から秋田市文化創造館に搬入します。 ボランティアの方も集まって、トラックから積み下ろし、エレベーターに積み込み、エレベーターホールで埃を落とし、作業場となるスタジオA1に運び込みます。スタジオA1の入り口で埃をさらに落として、養生シートの上に並べていきます。
午後からは、各々が気になったモノの汚れをさらに落とし、記録シートに作業の記録やモノの来歴、モノに対する疑問やコメントをメモしていきます。油谷さんの提案で、油谷さんから聞き取った内容を記録するシートも作成。スタッフとしてかかわる美大生の大村さんが消しゴムハンコでデザインをしてくださいました。
ターゲットを定めて、刷毛やウェス、ウェットシートで埃やカビなどを拭い去り、モノを観察して気づいたことを書き留める。ボランティアの方々や、アーティストとして参加する藤さん、國政さん等、モノに係る人の興味関心や専門分野によって、古文書が解読されたり、バラバラの部品がまとめられて形を成したり、床に平置きしていたモノが立体的に展示されたり、修復されたり。アーティストとボランティア、スタッフが協力しながら、黙々と作業を進める日々がつづいています。作業は、7月12日(金)まで一般公開中。作業後半戦となる来週は、分類整理したモノを元の収蔵庫に収めるための梱包作業を中心に進める予定です。
Information
1/1000油谷コレクション
油谷満夫さんの私蔵民具等の1000分の1程度を倉庫から取り出し、アーティストと市民ボランティアによる分類整理と、多様な分野の専門家による価値検証が並走するアートプロジェクト。
開催期間:2024年7月~
開催場所:秋田市文化創造館ほか
主催:NPO法人アーツセンターあきた
監修:服部浩之
参加作家:藤浩志、國政サトシ
スタッフ:三富章恵、前田優子(NPO法人アーツセンターあきた)、大村香琳(秋田公立美術大学大学院)
協力:油谷満夫
助成:公益財団法人野村財団
https://www.artscenter-akita.jp/archives/50154
Instagramで、日々の活動の記録を公開中。
https://www.instagram.com/aburaya.aca/