民具ラボとは
民具とアートとアーカイブの研究所(民具ラボ)は、民具とアートのアーカイブについて、実験や観察、対話を通して調査・検討する研究者や表現者、ボランティアによるネットワーク型のプロジェクトです。
2024年度から、秋田市在住の収集家・油谷満夫さんが集める50万点を超える民具などを対象に、研究者や表現者とボランティアが協力し、分類整理や価値の検証、記録を行うプロジェクト「1/1000油谷コレクション」に取り組んできました。2025年度は、同プロジェクトに関わる関係者を中心に「民具とアートとアーカイブの研究所(民具ラボ)」を立ち上げ、幅広く参加者・協力者を募り、保存・継承、活用に向けた実証的研究を進める計画です。


民具ラボの立ち上げメンバー
プロジェクト「1/1000油谷コレクション」に参加したキュレーターやアーティストと、アーツセンターあきたのスタッフが中心となって民具ラボを立ち上げます。これから、研究企画の公募などのさまざまな活動を通して、メンバーを広げていく予定です。

服部 浩之 Hiroyuki Hattori
1978年愛知県生まれ。建築を学んだのちに、アートセンターなど様々な現場でアーティストの創作の場をつくり、ひらく活動に携わる。アジアの同時代の表現活動を研究し、多様な表現者との協働を軸にしたプロジェクトを展開。主な企画に、第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」。「200年をたがやす」全体監修。

藤 浩志 Hiroshi Fuji
鹿児島生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科修了、パプアニューギニア国立芸術学校講師、都市計画事務所勤務を経てジャンルにこだわらないプロジェクト型の美術表現を実践。2012年より東北に拠点を移し十和田市現代美術館館長を経て現職。主な作品:「ヤセ犬の散歩」「お米のカエル物語」「Vinyl Plastics Connection」「Kaekko」「藤島八十郎をつくる」「Jurassic Plastic」等。 https://www.fujistudio.co

國政 サトシ Satoshi Kunimasa
1986年大阪生まれ。秋田市市在住。京都精華大学デザイン科テキスタイルデザイン卒業。2012年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻染織修了。2019年ポズナン芸術大学(ポーランド)短期留学。
現代の工業製品を素材に、染めや、編みといった工芸・手芸である既知の技術を使い、立体作品や建物全体の構造を利用したインスタレーションに展開。普段よく見る日用品が一変し、違う素材へと変化することに着目し、一貫して結束バンドを使った制作を続けてている。また、美術とその周辺を独自に編集・デザインし出版する「AT PAPER.」の代表としても活動している。https://satoshikunimasa.com/

高橋 卓久真 Takuma Takahashi
ゲーム、インスタレーション、ライブパフォーマンス、電子楽器など視聴覚メディア作品の制作を主体とした研究を行っている。研究を通して、技術と人間の共生を基盤としたケーススタディを分析し、今後の社会に適応した表現技法の設計と実装方法を探求している。

三富 章恵 Yukie Mitomi
静岡県生まれ。名古屋大学大学院国際開発研究科修了。2006年より、独立行政法人国際交流基金に勤務し、東京およびマニラ(フィリピン)において青少年交流や芸術文化交流、日本語教育の普及事業等に従事。
東日本大震災で被災経験をもつ青少年や児童養護施設に暮らす高校生のリーダーシップ研修や奨学事業を行う一般財団法人教育支援グローバル基金での勤務を経て、2018年4月より現職。

岩根 裕子 Yuko Iwane
大阪府生まれ。関西を拠点に地域活動のコーディネーションや防災教育プログラムの企画・普及の仕事に従事。2018年よりNPO法人アーツセンターあきたにて、プログラムの企画・運営、レジデンスプログラムや展覧会のコーディネーターを担当。2021年から指定管理運営をする秋田市文化創造館の事業チームとして勤務した後、2024年10月から事業開発グループに所属。
民具ラボで、今後取り組んでいきたいこと
民具などを対象に、研究者や表現者、ボランティアが協力し、分類整理や価値の検証、記録を行う「コミュニティ・アーカイブ」や、デジタル技術を用いた保存・活用をおこなう「デジタル・アーカイブ」、保存・活用に関わる基礎的・実証的な「研究」と、研究紀要等の発行、展覧会やシンポジウムを通じた「情報発信」に取り組んでいくことを構想・予定しています。
当面の予定
・油谷さんと話す会
油谷さんから集めたモノやこれまでの収集活動について話を伺う「油谷さんと話す会」を2025年5月から毎月1回開催します。
▼油谷さんと話す会の詳細はこちら
https://www.artscenter-akita.jp/archives/55236
・研究企画公募
油谷さんのコレクションを対象にした保存・記録・活用に関わる研究企画を公募し、研究の実現を支援します。
・分類整理活動
油谷さんのコレクションを倉庫から取り出し、分類整理や活用、記録に取り組む「分類整理活動」を8月3日~8月25日に、秋田市文化創造館を会場に開催します。

研究企画を公募します
民具ラボの取り組みの一環として、油谷満夫さんが収集するコレクションを主な対象にした民具とアートとアーカイブに関する研究企画を公募します。
本公募事業は、油谷満夫さんが収集するコレクションを主な対象として、民具やアート、アーカイブに関する研究企画を公募し支援することで、民具などを創造の資源として保存・継承、活用するための環境整備やプログラム開発といった実証的研究を進め、その成果を広く社会に還元することを目的に実施します。多くの方のご応募をお待ちしております。
■ 概要
油谷満夫さんが75年以上かけて集めた50万点を超える未整理・未分類の民具などについて、倉庫から取り出し、分類整理や活用、記録に取り組む「分類整理活動」の期間中に秋田市文化創造館を拠点とした、民具などを用いた研究企画を募集します。研究の内容は、油谷さんのコレクションを対象にした保存・記録・活用に関わるものであれば、ジャンル・形式は問いません。
■ 支援対象期間
2025年8月3日(土)~9月4日(木)
※分類整理活動のスケジュール詳細
8月3日(日)搬出 於)秋田県内の倉庫
8月4日(月)搬入 於)秋田市文化創造館
8月6日(水)~8月22日(金)分類整理活動 於)秋田市文化創造館
8月23日(土)研究発表会 於)秋田市文化創造館
8月24日(日)梱包 於)秋田市文化創造館
8月25日(月)搬出・倉庫へ収納 於)秋田市文化創造館、秋田県内の倉庫
■ 主な会場
秋田市文化創造館(秋田県秋田市千秋明徳町3-36)
秋田県内の倉庫 ほか
■ 応募資格・条件
(1)本公募事業の趣旨に合致する企画であること。
(2)自立的に研究を遂行できること。
(3)日本語による連絡調整が可能なこと。
(4)心身ともに健康であること。
(5)公序良俗に反しないこと。
(6)油谷満夫さん及びその収集物に対して敬意をもって接し、油谷さんの許可なく毀損、廃棄、損壊、破壊や持ち去りをしないこと。
(7)秋田市文化創造館の施設利用に係る規約を遵守すること。
(8)研究奨励金を受給できる日本国内の有効な銀行口座を所有していること。
※大学やその他の研究機関に所属する研究者や学生以外の応募も歓迎します。
※個人、グループいずれによる応募も可能とします。グループの場合は、構成員のうち主催者との連絡窓口となる1名が上記(2)及び(7)の条件を満たしていれば応募可とします。
■ 研究活動の支援内容
(1)活動場所の提供
・期間中に、秋田市文化創造館2F「スタジオA1」の一角を活動場所として無償で提供します。
・開館時間は9時~21時(火曜休館)。
・Wifi有、プリンター及びスキャナを準備予定。
(2)研究紀要・研究発表会を通じた研究過程や成果の発表機会の提供
・2026年3月末日までに研究紀要を発行します。
・期間中に、研究過程や成果についての発表会を開催します。
(3)油谷さんの収集物を用いた研究実践の機会提供
・油谷さんの倉庫の視察機会を設けます。
・油谷さんの収集物を直接的に用いた研究に取り組んでいただけます。
(4)研究奨励金の支給
・1件の研究企画に対し、研究奨励金1万円(税込)を支給します。
■ 応募方法
フォームに必要事項を記入し、ご応募ください。
https://forms.gle/hxnayjhYzXvjVEd5A
■ 応募締切
2025年6月13日(金)23:59必着
■ 応募にあたっての注意事項
(1)応募者・団体の名称、研究企画のタイトルや概要、研究活動の様子(写真、動画)については、ウェブサイトや研究紀要などにより公開することがあります。
(2)研究発表会での発表もしくは、研究活動終了後に報告書の提出をお願いします(両方参加も可)。発表会の内容や報告書については、ウェブサイトや研究紀要などにより公開します。
(3)応募のあった研究企画について、今後も継続的に取り組むことが計画・予定される場合、民具ラボから協働のご提案をさせていただく場合があります。
(4)応募に際して提出いただいた個人情報は、本研究企画公募事業に関連した連絡調整にのみ用います(但し、応募者本人から同意を得た場合を除く)。
■ 選考など
応募のあった企画は、応募資格・条件を満たしていない場合を除いて全て採用する計画です。ただし、応募件数が極めて多数で、会場の規模や実施期間などに鑑みて全ての受け入れが不可能であると判断した場合は、油谷さんと民具ラボメンバーで協議し、採用件数を絞る場合があります。
その場合は、6月20日(金)までに結果を通知させていただきます。
■ お問合わせ
NPO法人アーツセンターあきた
〒010-1632 秋田県秋田市新屋大川町12-3 アトリエももさだ内
TEL 018-888-8137
FAX 018-888-8147 E-mail research@artscenter-akita.jp