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相関図を解説する軸原ヨウスケ(左)と中村裕太(右)

ところでこの企画は、新たな芸術領域の創造を試みる実験的な展覧会企画公募、2018年度「BIYONG POINT企画公募」採択企画(主催:秋田公立美術大学、NPO法人アーツセンターあきた)であり、『アウト・オブ・民藝』の軸原と中村に、香川から秋田に移住した宇野澤昌樹が加わった3人により実施されたものである。3人とも民藝に関する専門家ではなく、普段はデザインや美術などの領域で活動しながらも、民藝的なものにも惹かれている愛好家ーー、言わばこの領域についてはアウト・オブ・専門家とも言える存在だ。

冒頭でも書いた通り、定義された「民藝」の領域ではなく、その「周辺」を射程に入れる際には、ある意味で正史や正解というものが存在していないから、専門家ではない者の手による仕事も有効だ。全体としては資料類から見出せるファクトベースのリサーチ成果展という体裁をとってこそいるが、どのような資料のどの部分に着目し、他の事物との関係性を見出し、文脈を紡ぎ出すのかという点においては、それなりに主観の入った表現に仕上げていく手腕も問われる。

そうなった時に、過ちを恐れがちな専門家ではなく、むしろ編集・デザインなどのセンスある愛好家的な立場だからこそできる思い切ったアプローチや、特定のトピックに対する偏愛が生み出すコンテンツへの説得力があると言えるのではないだろうか。

これは他の分野ーー。例えば、私がふだん関わることが多い、完成した作品そのものや美術史的な価値だけでなく、そのプロセスや社会的価値を評価することも多い芸術祭・アートプロジェクトの分野でも同様のことが言える。その分野の専門家や研究者・批評家でないとできない仕事がある一方で、在野の担い手や愛好家だからこそできる仕事もあるはずだ。

オープニングトークでは、『アウト・オブ・民藝』の出版を手がけた誠光社の堀部篤史と軸原・中村により企画の経緯や概念が語られ、そこに宇野澤も加わり、秋田におけるリサーチの様子などを解説。場所をギャラリーに移して展示空間の説明も行われた。通称「なかよしトーク」と自認して進められた、なごやかな対話の様子からは、この企画が愛好家的な視点を大事にしていて、いい意味で部活的に展開してきていること。だからこそ、のびのびと物事をとらえ、表現することができている様子を感じ取ることができた。

そういったわけで、個人的には秋田における『アウト・オブ・民藝』の風景を思い描くことができたこと以上に、どのような立場から、どのようにアプローチするのかという実験それ自体の可能性を見出すことができた点が有意義な展示企画であった。

橋本誠(アートプロデューサー/一般社団法人ノマドプロダクション 代表理事)

Profile

橋本誠(アートプロデューサー/一般社団法人ノマドプロダクション 代表理事)
1981年東京都生まれ。横浜国立大学卒業。2009〜2012年、東京文化発信プロジェクト室(現・アーツカウンシル東京)プログラムオフィサーとして「東京アートポイント計画」の立ち上げなどを担当後、一般社団法人ノマドプロダクションを設立。様々なプロジェクトのプロデュースや企画制作を手がけている。主な企画に都市との対話(BankART Studio NYK/2007)、KOTOBUKIクリエイティブアクション(横浜・寿町エリア/2008〜)、生活と表現(東京/2015〜)など。 共著に『キュレーターになる!』(フィルムアート/2009)、『アートプラットフォーム』(美学出版/2010)、『これからのアートマネジメント』(フィルムアート/2011)、『現代アートの本当の学び方』(フィルムアート/2014)など。

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