arts center akita

「旅と表現」を現代美術の視点でとらえる 「ARTS&ROUTES-あわいをたどる旅-」展、開幕!

秋田県立近代美術館(横手市、秋田ふるさと村内)で11月28日(土)、「ARTS & ROUTES -あわいをたどる旅-」展が開幕しました! 江戸時代の紀行家・菅江真澄の旅と記録をプロジェクトの起点として、「旅と表現」を現代美術の視点でとらえた展覧会。近世・近代、そして現代における美術のあわいをたどります!

菅江真澄の旅と記録を起点に、
近世・近代、そして現代の美術のあわいをたどる

「旅と表現」をテーマに2018年からそれぞれのプロジェクトを進行させてきた展覧会「ARTS & ROUTES -あわいをたどる旅-」が11月28日(土)、秋田県立近代美術館(横手市赤坂、秋田ふるさと村内)においてついに開幕しました! ARTS & ROUTES展実行委員会(秋田県立近代美術館・AAB秋田朝日放送)と秋田公立美術大学の主催。

本展は、江戸時代後期に活動した紀行家で博物学者の菅江真澄が旅のなかで残した言葉や図絵に宿る創造性に着目。様々な媒体により表現される芸術自体が多様な領域の”あわい”にあるものということを改めて意識した上で、「旅と表現」をひとつの主題とするものです。

秋田公立美術大学はこれまで、フィールドワークやリサーチを軸としたプロジェクト型のアート活動を展開し、新しい芸術領域の創造を探求してきました。「ARTS & ROUTES -あわいをたどる旅-」は真澄をたどるプロジェクトを起点とした現代のアーティストたちの作品に加え、美術館や博物館の収蔵作品・資料なども交えて構成。出来事や時間などかたちをもたないものを、過去から現在へと至る多様な表現の混交によって展覧会へと描き出します。

オープン前日の11月27日には内覧会を開催。企画監修の服部浩之(インディペンデントキュレーター)をはじめ、リサーチアソシエイトの石倉敏明(人類学者)・唐澤太輔(哲学者)や、秋田人形道祖神プロジェクト(小松和彦、宮原葉月)、旅する地域考、作家の岩井成昭、長坂有希、迎英里子、藤浩志によるギャラリートークが行われました。

菅江真澄を起点とした現代作家による表現に加え、真澄の図絵と近代の作家作品が異なる時間軸で併走する構成も見どころ。11月27日に行われた内覧会にて。 撮影:草彅 裕

菅江真澄の表現を軸とした多様なアートの旅路

企画監修の服部浩之は展覧会タイトルである「ARTS & ROUTES」について、「ARTSとROUTES、多様なアートの旅路というのが本展のテーマ」と解説。菅江真澄を展覧会の軸としたことについて、「真澄に関する研究は歴史や民俗学においてはたくさん残されていますが、一方で、その活動は現代のアートにも繋がるところがある」と話します。

「真澄は三河国を出て旅をし、秋田に長く滞在して人と出会い、学び、あるいは教え、交流するなかでさまざまな記録を残しました。現代アートでは地域に滞在しながら作品をつくる滞在制作(アーティスト・イン・レジデンス)が展開されることが多いのですが、真澄の活動は現代の滞在制作のようであり、彼の活動はある種、創造的な記録ととらえることができます。現代のアーティストの表現が今の時代を独自の視点で切り取る創造的・批評的な記録であるならば、真澄と現代を対局とするのではなく、200年以上の時を超え繋げることができるのではないでしょうか」

200年余りにわたる異なる時間軸

本展では現代のアーティストによる作品を中心としながらも、秋田県立博物館所蔵の真澄の図絵や秋田県立近代美術館所蔵の近代の作家作品が併走する構成となっています。『菅江真澄遊覧記』の様々な写本、真澄の言葉、真澄に迫った作家の作品、そして様々な作家が繰り返し描いた秋田の暮らしや風景をテーマごとに時代や文脈を超えて併置することで、記録と表現の〈あわい〉に迫ることを試みています。

本展の企画監修を務める服部浩之(インディペンデントキュレーター) 撮影:草彅 裕

「真澄が歩いた場所を、違う時代に歩いた作家たちがたくさんいました。真澄の図絵から繋がるように、近世、近代、そして現代の美術が、まったく違うようでいて時には交わりながら、異なる時間軸をたどることのできる展覧会でもあります」と服部。真澄を軸とした異なる時間軸をたどる体験によって、会場では新たな何かを発見できるかもしれません。

展覧会「ARTS & ROUTES -あわいをたどる旅-」は、3月7日(日)まで開催(途中、年末休館やメンテナンス休館あり)。イベント情報の詳細は、あらためてお知らせします!

▼展覧会開催までの制作の軌跡(過程)は広報紙『JOURNAL(ジャーナル)』に記録。公式ウェブサイトではバックナンバーを公開中です。
▼プレスリリースhttps://www.artscenter-akita.jp/archives/15755
▼これまでの関連記事は#ARTSROUTES

Information

展覧会「ARTS & ROUTES -あわいをたどる旅-」

https://www.artscenter-akita.jp/artsroutes/

会期:2020年11月28日(土)〜2021年3月7日(日) 9:30~17:00
(年末休館=12月29日〜31日、メンテナンス休館=1月13日〜22日)
■会場:秋田県立近代美術館(秋田県横手市赤坂字富ケ沢62-46 秋田ふるさと村内)
■TEL:0182-33-8855
■観覧料:一般1,000円(800円)/高校生・大学生500円(400円)
※中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体および前売の料金
※学生料金は学生証提示
※障害者手帳提示の方は半額(介添1名半額)

・主催|ARTS & ROUTES 展実行委員会(秋田県立近代美術館・AAB秋田朝日放送)・秋田公立美術大学
・出展作家・プロジェクト|岩井成昭・迎英里子・長坂有希・藤浩志・菅江真澄プロジェクト(石倉敏明・唐澤太輔)・秋田人形道祖神プロジェクト(小松和彦・宮原葉月)
・企画監修|服部浩之
・企画運営|NPO法人アーツセンターあきた(岩根裕子・石山律・藤本悠里子・高橋ともみ)
・グラフィックデザイン|吉田勝信・梅木駿佑
・ウェブコーディング|北村洸
・設営統括|船山哲郎
・後援|横手市・横手市教育委員会・秋田魁新報社・河北新報社・朝日新聞秋田総局・毎日新聞秋田支局・読売新聞秋田支局・産経新聞秋田支局・日本経済新聞社秋田支局・横手経済新聞・CNA秋田ケーブルテレビ・エフエム秋田・横手かまくらFM・エフエムゆーとぴあ・FM はなび・秋田県朝日会・東日本旅客鉄道株式会社秋田支社

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

高橋ともみ

秋田県生まれ。博物館・新聞社・制作会社等に勤務後、フリーランス。取材・編集・執筆をしながら秋田でのんびり暮らす。2016年秋田県立美術館学芸員、2018年からアーツセンターあきたで秋田公立美術大学関連の展覧会企画、編集・広報を担当。ももさだ界隈で引き取った猫と暮らしています。

一覧へ戻る