自然環境の体験・感覚を、人工のギャラリー空間におとしこむ試み
本展覧会は、2019年度「BIYONG POINT企画公募」採択企画として、サウンドスケープの思想を軸とした表現活動を行っている宮本一行と、周辺環境に対して新たな体験を創出する屋外インスタレーション作品を制作する船山哲郎によるコラボレーション企画です。
インスタレーション作品の周辺環境に内包される音風景を顕在化するための実践《Performance on Installation》をこれまで共同制作してきた宮本と船山。本展においては、自然環境の身体感覚を彼らそれぞれの視点で読み解き、無機質なギャラリー空間に落とし込む実戦を行います。鑑賞者の視覚・聴覚・触覚に語りかける作品です。
ぜひギャラリーでお楽しみください。
●アーティストステイトメント
本展「Outer Edge/知覚の外縁」は、視覚・聴覚・触覚からなる3つの感覚を組み合わせることによって、知覚の外縁に触れることを試みる展覧会です。BIYONG POINT内に特定の自然環境を再構築することを通じて、我々が空間を体験する上で認識している様々な感覚の関係性を読み解きます。今回は、秋田県五城目町に位置する「ネコバリ岩」の周辺環境を対象としました。
「ネコバリ岩」は五城目町南端を流れる馬場目川上流部にある、高さ6mを超える巨岩です。川縁にこの巨岩があることによって、水の流れや音の流れといった周辺環境には大きな変化が現れています。インスタレーションと呼ばれるアート作品は、視覚的な経験に限定されているように見えて、周辺の音環境や、会場自体の空間体験が内包されています。空間の鑑賞体験における周辺環境―既にその場に存在している「音」や「床」―への意識は潜在的なものです。ただし、鑑賞者が空間に広がる音やその場に立っている身体感覚に意識を傾けることによって、より豊かな鑑賞体験に繋がると考えています。
(宮本一行+船山哲郎)
Profile
宮本一行 Kazuyuki Miyamoto
1987年千葉県生まれ。2012年武蔵野美術大学大学院造形研究科デザイン専攻(修士)修了。
身の回りに潜む音や光などの根源的な現象に着目したインスタレーション・アートやサウンドパフォーマンスを発表。また、身体的な行為を用いて周辺環境との対話を試みる独自の作曲技法を実践している。そのほか、建築家・美術家・音楽家との共同プロジェクトに多数取り組んでいる。
Profile
船山哲郎 Tetsuro Funayama
1992年秋田県生まれ。札幌市立大学デザイン研究科博士後期課程空間デザイン分野修了。建築の分野に軸足を置きながら、インスタレーションやパフォーマンス、写真、映像など、広く「空間」に関わる制作・研究活動を行う。また、地域の景観や、それに関わる文化のリサーチを常に行いながら、人間の知覚と環境の関係性に着目した実験的な空間表現の試行を続けている。
https://www.tets-funayama.com/Information
宮本一行+船山哲郎「Outer Edge / 知覚の外縁」
●会期:2021年2月13日(土)〜5月9日(日) 9:00〜18:00 会期中無休
●会場:秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(ビヨンポイント)
(秋田市八橋南1-1-3 CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)
●入場無料
●主催:秋田公立美術大学、NPO法人アーツセンターあきた
●協力:CNA秋田ケーブルテレビ
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、開館時間が短縮となる場合があります。
●グラフィックデザイン:野口勝央(野口デザイン事務所)