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宮本一行+船山哲郎「Outer Edge/知覚の外縁」開催 秋田公立美術大学ギャラリー BIYONG POINT

秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(秋田市八橋南)において、2021年2月13日(土)〜5月9日(日)、宮本一行+船山哲郎「Outer Edge/知覚の外縁」を開催します。

自然環境の体験・感覚を、人工のギャラリー空間におとしこむ試み

本展覧会は、2019年度「BIYONG POINT企画公募」採択企画として、サウンドスケープの思想を軸とした表現活動を行っている宮本一行と、周辺環境に対して新たな体験を創出する屋外インスタレーション作品を制作する船山哲郎によるコラボレーション企画です。

インスタレーション作品の周辺環境に内包される音風景を顕在化するための実践《Performance on Installation》をこれまで共同制作してきた宮本と船山。本展においては、自然環境の身体感覚を彼らそれぞれの視点で読み解き、無機質なギャラリー空間に落とし込む実戦を行います。鑑賞者の視覚・聴覚・触覚に語りかける作品です。

ぜひギャラリーでお楽しみください。

●アーティストステイトメント

本展「Outer Edge/知覚の外縁」は、視覚・聴覚・触覚からなる3つの感覚を組み合わせることによって、知覚の外縁に触れることを試みる展覧会です。BIYONG POINT内に特定の自然環境を再構築することを通じて、我々が空間を体験する上で認識している様々な感覚の関係性を読み解きます。今回は、秋田県五城目町に位置する「ネコバリ岩」の周辺環境を対象としました。
「ネコバリ岩」は五城目町南端を流れる馬場目川上流部にある、高さ6mを超える巨岩です。川縁にこの巨岩があることによって、水の流れや音の流れといった周辺環境には大きな変化が現れています。インスタレーションと呼ばれるアート作品は、視覚的な経験に限定されているように見えて、周辺の音環境や、会場自体の空間体験が内包されています。空間の鑑賞体験における周辺環境―既にその場に存在している「音」や「床」―への意識は潜在的なものです。ただし、鑑賞者が空間に広がる音やその場に立っている身体感覚に意識を傾けることによって、より豊かな鑑賞体験に繋がると考えています。
(宮本一行+船山哲郎)

ネコバリ岩

Profile

宮本 一行 Kazuyuki Miyamoto

1987年千葉県生まれ。武蔵野美術大学造形研究科修士課程デザイン専攻映像コース修了。 サウンドスケープの思想を軸に、表現する場の環境を拡張させる映像音響芸術の実践研究を展開している。平時では聴き流されてしまう環境音を抽出し、顕在化させることで、音環境の中に潜在する特性を鑑賞者に提示している。特に、近年では、対象とする環境との対話を試みるサウンド・パフォーマンスに取り組んでいる。代表的な活動に、会場である日本酒貯蔵庫の特徴的な音響を引き出して再構成した個展「接触の形跡」(2020)、ある空間や時間の空白の中で一時的に新しい秩序を生成することを試みた企画展「VOID」(2019)、日本海の荒波が生み出すリズムを聴き取り再構築した映像作品《The First Rythm》(2019)など、環境に潜在する要素に着目した芸術表現を実践している。 https://www.kazuyuki-miyamoto.com/

Profile

船山 哲郎 Tetsuro Funayama

1992年秋田県生まれ。札幌市立大学デザイン研究科博士後期課程空間デザイン分野修了。 建築の分野に軸足を置きながら、周辺環境に対して新たな体験を創出するための屋外インスタレーションの制作を主として行い、東北・北海道の過疎地域を中心に活動を展開してきた。また、映像メディアの持つ空間的特性に着目し、自らの制作した空間作品の記録映像の撮影・編集を通じて、空間を切り取る映像表現手法を模索している。近年は、現代音楽家の宮本と共同発表した、インスタレーション作品の周辺環境に内包される音風景を顕在化するための映像シリーズ《Performance on Installation》(2018-)や、日本の伝統文化の一つである茶の湯における作法の身体性と茶室の空間特性を手がかりに、コロナ禍においても実践可能な対面の茶会である《新しい茶の湯のためのスタディ》を公共空間で実践するなど、人間の知覚に着目した実験的な空間表現の試行を続けている。 https://www.tets-funayama.com/

Information

宮本一行+船山哲郎「Outer Edge / 知覚の外縁」

●会期:2021年2月13日(土)〜5月9日(日) 9:00〜18:00 会期中無休
●会場:秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(ビヨンポイント)
(秋田市八橋南1-1-3 CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)
●入場無料
●主催:秋田公立美術大学、NPO法人アーツセンターあきた
●協力:CNA秋田ケーブルテレビ
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、開館時間が短縮となる場合があります。
●グラフィックデザイン:野口勝央(野口デザイン事務所)

チラシダウンロード
BIYONG POINT Facebookページ

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた 事務局長

三富 章恵

静岡県生まれ。名古屋大学大学院国際開発研究科修了。2006年より、独立行政法人国際交流基金に勤務し、東京およびマニラ(フィリピン)において青少年交流や芸術文化交流、日本語教育の普及事業等に従事。
東日本大震災で被災経験をもつ青少年や児童養護施設に暮らす高校生のリーダーシップ研修や奨学事業を行う一般財団法人教育支援グローバル基金での勤務を経て、2018年4月より現職。

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