学生制作の難解なパズルをカナダのYouTuberが注目!
カナダ在住のユーチューバー クリス・ラムゼイ氏が、秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻4年の浅香遊が考案したパズル作品「Jigsaw Puzzle 29」に挑戦する動画を3月6日に公開し、公開後約2週間で再生回数が450万回を超えて注目を集めています。
マジックやパズルに関する動画を投稿し、200万人以上のチャンネル登録者を有するラムゼイ氏。浅香の「Jigsaw Puzzle 29」を解く過程を「Solving The HARDEST JIGSAW PUZZLE!! – LEVEL 10!(最も難しいジグソーパズルを解いてみる―レベル 10)」と題し、約27分間の動画として公開しました。
「This is definitely not a traditional puzzle(一般的なパズルと全然違う)」、「Super creative puzzle(とてもクリエイティブなパズルだ)」と評し、1時間49分かけてパズルを解決。3月20日時点で動画の再生回数は450万回を超え、世界中から6,000件を超えるコメントが寄せられています。
浅香が考案したパズルは、アーツセンターあきたが3月上旬に開催したAKIBI ARTs MARKETでも人気を集めました。自らの作品が海外で注目を浴びていることについて、「自分のパズルに対して、世界中の人が共通した驚き方をしてくれた。日本でも海外でも、多くの人が『新しい』と思ってくれるのはうれしい」という浅香。卒業後も秋田に残り、新たなパズルの制作を続ける予定です。
Profile
(2019.3.20プレスリリース)
無意識の固定観念に挑む仕掛けが面白い、メカニカルパズル
−−−−浅香さんのパズルは、海外でも驚きと意外性をもって受け止められています。制作において、テーマとしているのはどんなことでしょうか。
浅香 自分のものづくりの傾向としては、モチーフをパロディ化するのが好きです。ひとつのモチーフに対して、大喜利のように自分でいろんなアイデアを出していくことを続けています。
大学3年後期の授業課題で、初めてジグソーパズルを作りました。それからは、誰もが無意識のうちに決め込んでしまった固定観念に挑むメカニカルパズルを制作。人の無意識には形に対して暗黙の了解やルールがあって、それを仕掛けとして取り入れることで、驚きや意外性のあるパズルにすることをテーマにしています。
パズルの世界大会で入賞!
−−−−2018年8月には、アメリカ・カリフォルニア州のサンディエゴで開催された「Nob Yoshigahara Puzzle Design Competition2018」(世界パズルデザインコンペティション)に「Jigsaw Puzzle 29」を出品して入賞。その後、カナダ在住のユーチューバーがこのパズルを解く過程を動画投稿したことで注目を浴びています。
浅香 動画を見ると、この形をこうしたらこうなって、こう間違えて、という流れが自分が意図した通りで。「こう間違えていくんじゃないかな」と思って意地悪に仕掛けた通りに間違って、解いてくれていました。面白いのは、パズルに対して世界中の人が共通した驚き方をしてくれたこと。日本でも海外でも、多くの人が『新しいパズルだ』と思ってくれたのはうれしいことでした。
−−−−秋田公立美術大学卒業・修了研究作品展2019「カモステイク」には、パズル5作品を「PLAY TIME プレイタイム」として出品し、学長賞を受賞しました。
浅香 いわゆる「王道」ではない自分が受賞したことには戸惑いもありました。先生方に極力アドバイスをもらわず、自分自身の指針に従って作業を続けてきたことを評価してもらったのではないかと思います。放っておいてもらえたビジュアルアーツ専攻の環境が自分に合っていたのかもしれません。
逆転の発想から作り出す
−−−−浅香さんは、どんな方法でパズルを作っているのでしょうか。
浅香 自分は、ただ単純に「きれいなもの」を作ろうとすると、物足りなさを感じてしまう性格です。アイデアが出てきたら、それに合わせて作品形態を選んでいく。もともとある設定に対しては、設定自体を変えていく。そんな逆転の発想から作り出していくのが自分の方法なのだと思います。
−−−−今後はどのように活動していく予定ですか?
浅香 パズルを作り始めてから卒業まで、これまで5種類のパズルを制作しました。現在は量産に向けて調整中です。新しいパズルはすでに2つ考案していて、これらも製品化に向けて動き始めているところです。