現在アーツセンターあきたでは、指定管理を務める秋田市文化創造館のコーディネーターを募集中です。8月11日には、秋田市文化創造館における仕事内容や職場の雰囲気について、現場のスタッフとともにざっくばらんにお話する座談会・採用説明会をオンラインで開催。その様子をレポートします。
今回は、文化創造館の管理チームでチーフを務める鳴海さんと、事業チームに勤務する齊藤さんを迎えて、説明会を進行しました。鳴海さんは、美術館や観光業界での勤務を経て、秋田市文化創造館の開館2年目に参画。総務・経理業務や、貸館、施設の維持管理に関する業務を担うチームを統括しています。齊藤さんは、秋田公立美術大学を卒業後、NPO法人アーツセンターあきたに加わり、美術大学の社会連携事業や秋田市文化創造館の運営管理計画策定業務に従事した後、2021年3月の秋田市文化創造館の開館から、主に市民の活動を支援する事業を中心に担当しています。
6つの質問で探る、コーディネーターの仕事
座談会では、「どんな仕事を日々しているの?」「必要なスキルは?」「やりがいを感じること」「大変だったこと」「社内はどんな雰囲気?」「文化創造館に向いているのはどんな人?」という6つの質問を糸口に、文化創造館のコーディネーターとしての仕事内容や必要なスキルなどについて深掘りしていきました。2人とも、事前にカンペを用意する用意周到さ!
■どんな仕事を日々しているの?
鳴海さんは、貸館業務の受付や対応、書類手続き、会計業務、創造館の設置者である秋田市や委託業者らとの連絡調整や各種施設の維持管理に日々あたっていると説明いただきました。一方、事業チームに所属する齊藤さんは、「カタルバー」や「チャレンジマーケット」「そうだん会」といった、市民の活動を後押しする事業の企画や運営を担当しています。事業の担当と一口にいっても、企画から、参加者からの相談に対応したり、広報(広報物のデザインも齊藤さんが担当)、当日の会場準備やイベント運営等、さまざまなタスクを遂行しています。
■必要なスキルは?
鳴海さんからは、「聞き取る力」と「合理的な判断力」の2点があがりました。
用途が固定されていない文化創造館には、多様な利用の相談が日々寄せられます。利用者が何をしたいと考えているのか、相手の言葉や意図を丁寧に聞き取ることや、公共施設であるということ踏まえて、利用者の考えや視点にあわせて合理的に判断できることが必要だと説明いただきました。
齊藤さんからは、「段取りを組む力」との指摘。事業を期日までに円滑に進めていくため、目的達成のために、きちんと逆算してタスクとスケジュールを構築して、その通りに遂行していくことが重要です。また、段取りを組むにあたっても、調整する先が多岐にわたっているのも文化創造館の特徴。施設が用途別に設計された個室で構成されておらず、オープンであるが故に、さまざまな干渉のリスクがあることを事前に察知し、丁寧に且つ効率的に調整していくことが、管理、事業のどちらの業務においても重要なスキルだと感じます。
■やりがいを感じること
齊藤さんは、担当事業の「カタルバー」や「そうだん会」などに参加していた人たちが、それらを契機に意欲的になっていったり、新しいチャレンジをはじめたりすることにやりがいを感じているそう。最初の頃は不安げな様子で文化創造館に来ていた人たちが、自ら企画して事業をはじめたりと段々と意欲的になっていく姿は、とても頼もしく感じます。
鳴海さんからは、既存のルールに縛られずに、「できない」と思っていたことができるようになったり、新しい価値を生み出していけることがやりがいと紹介いただきました。施設利用に際しては、無理難題が持ちかけられることも少なくありません。そういった数々の難題に対しても、文化創造館のコーディネーターは、「どうやったら実現できるか」と前向きに、創造力を働かせて解決策を見出そうと試行錯誤しています。
■大変だと思うこと
一方で、大変だと思うことについて、齊藤さんからは多様な価値観をもった人材が集まる職場だけに、意見の調整を図ることが難しいとの指摘がありました。鳴海さんは、什器の移動や屋外の清掃、散水、除雪等、体力勝負の場面があることをあげました。3階建ての建物内の各所に散らばる倉庫とスタジオを行き来したり、7,000㎡弱の敷地内を巡回点検することもルーティン業務で、1日の館内での平均歩数は12,000歩になるそう。
■職場内はどんな雰囲気?
2人からは明るい職場、よく議論をする、との意見が。
文化創造館を訪れたことのある人からは、コーディネーターが働く総合案内は静かで入りにくい、という声を聞くことも度々ありますが、膝を突き合わせて真剣に議論を交わしていることもあれば、世間話に花を咲かせるときも、デスクワークに集中しているときなど、さまざまです。
■文化創造館に向いているのはどんな人?
齊藤さんからは、自分の中にある「こうあるべき」を疑い、時に更新できること。鳴海さんからは、臨機応変さを持ちながら自分で考えて行動できること、さらに面白がれること、をあげていただきました。
開館4年目と比較的新しい施設で、他に類をみない運営にチャレンジしている文化創造館。指定管理をつとめるアーツセンターあきたのバリューの中には「これまでの常識よりも、いまの感覚を大切に、『超える』を目指す」という言葉がありますが、正解や前例がない中で、さまざまな状況を見極めながら判断することができる人が向いていると言えます。また、状況判断においては、条例や施設の利用規約、来館者や利用者の安全、文化創造館のミッションである創造を支援するという点など、複数の要素を多角的に捉え、バランスを取りながら判断することが重要です。
書類提出は9月8日(日)まで
文化創造館に興味をもっていただいた方がいらっしゃいましたら、是非ご応募をお待ちしております。
書類の提出期限は9月8日(日)必着です。
詳細は、募集要項をご確認ください。
▼募集要項「秋田市文化創造館 コーディネーター」
登壇者プロフィール
鳴海 智子 Tomoko Narumi
青森県生まれ。交通、旅行会社での勤務を経て、2012年十和田市現代美術館(指定管理者ナンジョウアンドアソシエイツグループエヌ・アンド・エー株式会社)に勤務。コンシェルジュを経て、マーケティング兼管理運営に従事。2019年に十和田市が設立した地域DMO 一般社団法人十和田奥入瀬観光機構に入職。マーケティング、宣伝情報発信、観光開発、指定管理事業、旅行部門の設立・運営に従事。2022年より現職。
齊藤 夏帆 Kaho Saito
秋田県生まれ。秋田公立美術大学景観デザイン専攻卒業。2018年にアーツセンターあきたに参画し、2021年3月より現職。時々、グラフィックレコーダーとしても活動してます。暖かい季節が好きです。
三富 章恵 Yukie Mitomi
静岡県生まれ。名古屋大学大学院国際開発研究科修了。2006年より、独立行政法人国際交流基金に勤務し、東京およびマニラ(フィリピン)において青少年交流や芸術文化交流、日本語教育の普及事業等に従事。東日本大震災で被災経験をもつ青少年や児童養護施設に暮らす高校生のリーダーシップ研修や奨学事業を行う一般財団法人教育支援グローバル基金での勤務を経て、2018年4月より現職
Information
アーツセンターあきたオンライン採用説明会
●配信日時:2024年8月11日(日)13:30~14:30
●収録場所:秋田市文化創造館
●登壇者:鳴海智子、齊藤夏帆、三富章恵
https://www.artscenter-akita.jp/archives/51908