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【民具ラボ】21日間の分類整理を振り返る

8月3日~8月25日にかけて開催した、民具ラボによる分類整理活動。3週間にわたる活動の記録をスタッフの日報を糸口に振返ります。

8月3日(日)~8月24日(月)にかけて実施した第3回分類整理活動。秋田市文化創造館に油谷さんが集めた未分類・未整理の民具等を持ち込んで、ボランティアとともに分類と整理にあたった21日間(8月4日~24日)の記録を、スタッフの三富と岩根がまとめた日報から振返ります。

スタッフが日々の様子をメモした日報

8月4日(月)☀

書籍が多く、天日干しがしたい。ガチャガチャのケースとストローを用いて油谷さんが作った飾りを発見。それを見た藤さん曰く「自分がつくっているものとほぼ同じ」。やはり油谷さんはアーティスト。
そして、アトリエももさだ(注:秋田公立美術大学キャンパス内の施設)の敷地図(昭和初期)を発見!!油谷さんご満悦。

●スタッフ:三富、岩根、多賀糸、國政、藤
●ボランティア:3人
●来場者:47人

8月5日(火)☀☁

中学校美術部の20人が見学に。民具ラボ研究員の報告書を書いてもらう。良い!
大東亜戦争で戦死した祖父の記録を資料の中に見つけたという来場者あり。

●スタッフ:岩根、多賀糸
●ボランティア:1人
●来場者:51人
●カッパンケン:5人

8月6日(水)☁☂

午前中は吊バトンに物を吊るす作業など。巨大な鯉のぼりが見つかったので、それも展示した。東北芸工大の学生さんがボランティアに参加。8月7日にオープンする明徳館ビルでの展示のため、一部の物を持ち出し。展示作業中、ビルに勤務する警備員さん、通りすがりの人が興味深そうに見ていた(声をかけてくださった人も)。
明日の朝は明徳館で残り作業をして10時には出る予定(三富)

●スタッフ:岩根、三富、國政、藤、多賀糸
●ボランティア:3人
●来場者:約40人
●カッパンケン:2人

※3日目にして、集合写真を撮り忘れるという痛恨のミス!

8月7日(水)☂☁

午前中にレイアウト変更。段ボールと天板を組み合わせてテーブルづくりを。吊バトンにも追加のつり込み作業を國政さん、多賀糸さんが進めた。
読売新聞の方が取材で来訪されたが、大雨の取材のために緊急呼び戻しがあり中座。東京文化財研究所の方も来訪。それに備えて油谷さんがおススメの一品を持ち込み。研究所の方が興味をもって話を聞いてくださるので、油谷さんもお話がはずむ。

●スタッフ:三富、多賀糸、國政、服部、藤
●ボランティア:3人
●来場者:10人
●ゲスト・取材:東京文化財研究所2人、読売新聞1人

8月8日(金)☂☀

油谷さん14:30会場入り。再び資料を追加搬入。増えつづける資料・・・
東文研の方が油谷さんから聞き取りながら、カードをどんどん作成していく。
多賀糸さんに採番作業をはじめていただいた。明日も採番作業の継続をお願いしたい。10日から撮影着手を予定。

夕方には「油谷さんと話す会」。10人が参加し、少し年表を埋める作業が進んだ。〇〇さんからボランティア参加の申し出あり。当日登録フォームに記入していただければOKとお伝えしています。

《8日→9日引継ぎ事項》

□ 多賀糸さん朝から参加可とのこと。
□ 服部さんは朝顔を出して、午前の新幹線で秋田発予定。國政さんは終日不在。
□ 飛び入りボランティアがあるかも→当日登録フォーム
□ 物に番号をふり、荷札をつける作業を優先
□ 青い台車に油谷さんの荷物預かり中。創造館から台車返却要請あるかも?
□ 油谷さんはフラッと顔を出すかもしれない。少し疲れがたまっている様子。
□ 三富は17時に明徳館クローズ作業。カッティングシートの貼付け残務。その後手芸部の活動のために来館予定。
明日もいっぱい分類整理しましょう!!

●スタッフ:三富(午後)、岩根(まちのえき設営)、多賀糸、國政、服部、藤
●ボランティア:1人
●来場者:22人
●ゲスト:東京文化財研究所 1人

8月9日(土)☁☀

今日は朝から来場者多く、祖父母と孫、親子が多い印象です。夕方に〇〇さんが来場し、マッチ箱で秋田の市街地のマップをつくっていきました。ぜひ油谷コレクション×〇〇さんのコラボ作品を!

トークイベント 富川岳「シシになる。」のゲスト(富川岳さん・桜井祐さん・石倉敏明さん)が見学に来られました。「油谷帖」の出版・再販をぜひ!と仰っていました。

《9日→10日引継ぎ事項》

□ 多賀糸さん11日(月・祝)9:30-11:30で参加予定。
□ 番号付与作業は6分の1ほど未付与のものあり(271まで付与)
□ 藤さんが棚?をつくると言っていたが、来ないままクローズしたので、明日(10日)に作業予定かもしれません。
□ 11日にカッパンケンメンバーが作業しにくるかも。AUでの活版のイベントに参加者として参加するそう。
□ 平石かなたさんが作業のお手伝いにきます。

●スタッフ:岩根、多賀糸、服部(~11:00)
●ボランティア:0人
●来場者:77人

8月10日(日)☁

分類が甘いため、エリア内に散らばった同じ種類のものを整理しなおす作業に着手。
そのため、採番もやり直しが必要になります・・・スイマセン。
國政さんと相談し、
1. 分類を終える
2. 撮影する
3. 採番し荷札をつける
4. 箱に入れる/箱の側面に入れたものの番号を書く
の流れで、今後の作業を進める予定。
※8月17日に伊藤さんの撮影あり。あまり梱包しすぎないよう。

当初の番号の振り方がかなりおおざっぱなので、もう少し細かくやる方向で(過去2回と同様)。藤さんは廃材で棚を制作。

《10日→11日引継ぎ事項》

□ 採番のやり方を直しながら、撮影をはじめています。No.34まで終えました(途中欠番あり)。次のNo.35は、入口から入って左側の壁沿いの大きな目覚まし時計。
【撮影手順】
①物を撮影スポットに移動
②No.カードを撮影番号にあわせる
③撮影する(基本1枚)横位置で
④採番管理表にチェック&メモ
□ 採番の注意点
・番号は定年に書く(誤認を防ぐため)
・荷札の番号の書き方は統一する
・1番号1荷札で(現行重複多数)。分類は適度に細かく、これまでの分類の状況を参照してください。
□ カメラのバッテリーはカッパンケンブースで充電中

●スタッフ:三富、藤、國政
●ボランティア:2人
●来場者:43人
●ゲスト・取材:丹治様(油谷さんインタビューを3時間も!)

8月11日(月・祝)☁☂

本日は三連休の最終日で朝から家族連れの来場者多数。飛び入りのボランティアさんも多数で、写真撮影が一気に200点を超えるまですすんだ。カッパンケンの活動も少しずつ。
油谷さんからお話を伺うことで、佐々家の資料が点在していることが判明。
藤さんの棚に多賀糸さんが資料を展示。國政さんはHONDAの看板を修理。

油谷さんから商品開発の提案。
ふすまの下地に使われている古文書をお菓子の箱に貼り付けて、リメイクしたら売れる。インバウンド向けにも良さそう。

《11日→13日 引継ぎ事項》

撮影の作業を継続してください。ここから1日max100点いけると楽です。
□ 現在撮影完了:205まで
□ 撮影手順
①物を白バックの前におく
②ナンバリングの番号を変える
③採番管理表にチェック&メモ
④札を物につける
※白バックはものの近くに移動させて撮った方が楽です。
□ 國政さんは次は、8月15日~8月16日の参加
□ 多賀糸さんは8月21日~

●スタッフ:三富、國政、多賀糸
●ボランティア:5人
●来場者:47人

8月13日(水)☀

本日はお盆休みで来場者少なく、落ち着いた1日でした。ひたすら撮影作業をしていました。

《13日→14日 引継ぎ事項》
□ 14日は油谷さん、ボランティアの〇〇さんも午前のみ参加
□ 撮影はNo.240まで終了

●スタッフ:岩根
●ボランティア:2人
●来場者:18人

8月14日(木)☀

朝9時過ぎに会場に入ると、天井の丸窓から光がさし込んで正面の壁に影をつくって美しい。
お盆休みの家族連れなどがポツリポツリと来場。

※油谷さん語録
「人生とは弓のようなもの。過去に向かって弦を引かないと、前には進めない。」

油谷さんは10時~18時に滞在。今日は古文書などを読み込んで「勉強になった」とのこと。
撮影はNo.388まですすんだ。アーケードゲームが使えることが判明した。

《14日→15日 引継ぎ事項》

□ 撮影はNo.389から。
□ 8月22日までに全て撮影完了を目指す。
□ これからのボランティア作業
 ・撮影の下準備=カテゴリー毎にまとめる
 ・白バック(大)のシワ伸ばし(大物撮影用)
 ・撮影補助
 ・荷札作成(No.399まで作成済み)

●スタッフ:三富、斉藤
●ボランティア:3人
●来場者:25人

8月15日(金)☀

午前はカッパンケンの搬出。にぎやかでした。
あっという間に搬出を終えて退館。
その後は14時過ぎまで撮影作業。本日は502まですすみました。
14時からは歴博の川村先生他がご来館。各地の民俗学などの専門家やアーテイストの方々に、油谷さんの物を見ていただくことができました。皆さん口々に「今まで自分たちが収集できなかったものがある」「自分がいかに博物館の概念で物を見ていたかに気づいた」と感嘆。油谷さんも誇らしげでした。

《15日→16日 引継ぎ事項》
□ スタッフは斉藤さん+岩根さんのみ。ボランティアは事前予約なしですが、飛び込みがあるかも。
□ 作業のお願い
・撮影継続:荷札が521までしか作成できていないので、適宜追加を。
・撮影を終えた物に「分類カード」がおかれていたら、カードに札の番号を記入してください。
□ 15時頃には昨日のグループと創造館に戻ります。

●スタッフ:三富、斉藤、國政(午後)、服部(午後)
●ボランティア:0人
●来場者:35人
●ゲスト:国立歴史民俗博物館の方ほか 11人

8月16日(土)☀

朝から来場者多く、知り合いに聞いてきたという人が数名いました。

●スタッフ:三富、岩根、斉藤、服部、國政
●ボランティア:0人
●来場者:49人

8月17日(日)☀

本日AMは、カメラマン伊藤さんによる記録撮影。

●スタッフ:三富、岩根、服部、國政
●ボランティア:2人
●来場者:69人

8月18日(月)☀

「秋田市戦没者芳名録」があると友人に聞いて来場された女性がいました。今日で3人目。本日来場された女性は、おじさんの名前を見つけて「おじさんに会えた」と涙していきました。そこに居合わせた秋田公立美術大学1年生の男の子も油谷さんのコレクションに興味をもったようで、今度話す会に行きますと言っていました。
その後、ハラッパ(学童保育ハラッパafter school)の子どもたちが来てくれたり、別のイベントに参加した人たちが、その流れで見てくださったり。平日ですが、とても濃い1日でした。

●スタッフ:岩根
●ボランティア:1人
●来場者:50人

8月20日(水)☂

11時より読売新聞の撮影があり、少し恥ずかしそうにポーズをとる油谷さん。終了後はうれしそうにお話しされていました。9月7日の全国版に掲載予定。楽しみです。本日会場内の写真撮影が終了!675点。なかなかの物量ですね。搬出も頑張りましょう。

《20日→21日引継ぎ事項》

□ 撮影は675まで終了。残り明徳館ビルとまちのえき。
□ ボランティアは〇〇さん、〇〇さんが来る予定。
□ 書いてもらったワークシートを見えるように吊るすなどできればと思い、できないままです。
□ お茶は男子更衣室の冷蔵庫に入れています。

●スタッフ:岩根
●ボランティア:1人
●来場者:36人

8月21日(木)☀

〇〇さんがタバコの販促用ライター(600個ほど)を持参し、油谷さんに寄贈。分類して並べてくださったボランティアの方曰く、タバコが社会的に敬遠されるようになると、商品のロゴは目立たなくデザインがシンプルになっているのでは、とのこと。
これまで記録した写真を一覧にまとめてみました。重複1件あり(534と624の椅子)。エントランスの建具、小さいサイズのレコードなどの未撮影分を対応。

ボランティアの方から「ライターのように、誰かから物が寄贈されたら、油谷さんは全てもらうのか?」と質問あり。クローズ間際に高校生~20代前半の若い来場者多数。

《21日→22日引継ぎ事項》
□ 21日から箱づめ作業を少しずつ始めてもらっています。
①だいたい同じカテゴリーのものを集めて箱に入れる(重くなりすぎないように注意)
②入れた物の番号を箱の側面に書く(2面に書けるとベター)

●スタッフ:三富、多賀糸(14:30~)
●ボランティア:4人
●来場者:22人

※この日もどうやら写真を撮り忘れた様子。

8月22日(金)☀

コウケントーの治療器を使用していた方からお話を聞くことができ、現在も治療で使われている比較的新しいものだと判明!Amazonで購入も可!自宅で使うものでもあるようです。

今日は採番ごとにまとめて一部段ボールへ収納。詰め具合がわからず、一旦段ボールに入っていますが、もう少し詰めても良いかと思います。展示を観る方もいらっしゃるので、袋詰めや番号ごとにまとめたりを優先して作業。

《22日→23日引継ぎ事項》
□ 油谷さんがいくつかご自宅に資料を持ち帰り(わかるものは写真にチェックいれました)
ちょこちょこと持ち帰っている様子。
□ 9月に撮影するものは、まとめてよけています。
□ 多賀糸さん、23日、24日は来れないのだそう・・・

●スタッフ:岩根、多賀糸
●ボランティア:2人
●来場者:20人

8月22日(金)☀[場外編]

三富と藤ほか2人は、男鹿市内の油谷さんの倉庫に赴き、秋田市文化創造館で分類整理した物を収納する場所を確保するための作業に着手。本で埋まった空間に、棚を簡易的につくってスペースをつくり、そこに物を納めるのが三富案でしたが、現地を見た藤さんが一言「これは、無理だよ」。

それでも何とかやり切りました。棚づくりのために、秋田プライウッド株式会社様から木材のご提供をいただきました。

●スタッフ:三富、藤、安村、上田平

8月23日(土)☀

朝、明徳館ビルのオープン作業に行った際、警備員の方から子どもの頃の思い出話を色々と伺った。美郷町の出身で、小学4年まで徒歩5分ほどの分校に通い、それ以降は4kmほど離れた本校へ。家は建て替えて、その時に箱橇など色々と処分したそう。「シンポジウムの映像、結構面白いよ」と熱心に見て下さっている様子。

来場された方から、桶のタガを直せるところがないかとお尋ね。法事用の手桶だそうで、代々使ってきたものなので捨ててプラスチック品に代用するのは忍びないとのこと。杉桶樽組合を紹介。

この方の話も、警備の方のは無も、物を残し使い続けることについて考えさせられる。1Fで開催されているねこフェスのお客さんが少しずつご来場。午後は客足が多く、100人突破!

《23日→24日引継ぎ事項》

□ 戦没者名簿を油谷さん持ち帰り
□ 包装紙も何種か持ち帰っている様子
□ 藤さんは棚をばらし&ベニヤの回収に明日来場予定

●スタッフ:三富、藤
●ボランティア:0人
●来場者:102人

8月24日(日)☀

総出で梱包・搬出作業

●スタッフ:三富、岩根、藤、ブラネン
●ボランティア:1人

Information

第3回分類整理活動など

収集家の油谷満夫さんが集めた民具等のコレクションを、研究者・表現者・ボランティアらが協働して分類整理や記録、活用に取り組む活動。民具とアートのアーカイブについて、実験や観察、対話を通して調査・検討する研究者や表現者、ボランティアによるネットワーク型のプロジェクト「民具とアートとアーカイブの研究所(民具ラボ)」の一環として、秋田市文化創造館を主な会場として実施。

●期間:2025年8月3日(日)~8月25日(月)
●会場:秋田市文化創造館2FスタジオA1(秋田市千秋明徳町3-16)
●主催:NPO法人アーツセンターあきた
●助成:公益財団法人 野村財団

https://www.instagram.com/aburaya.aca/

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