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かつて鉱山の町として栄えた土地に残存する“出来事の痕跡”から成る展覧会「MINE EXPOSURES / 鉱山の露光」

レクチャーの形式を用いた「語り」のパフォーマンスを行うアーティスト・佐藤朋子。本展では、鉱山の町として栄えた秋田県の県北エリアをめぐったリサーチをもとに、フィクションとドキュメントを行き来する物語を映像作品として展示します。8月30日(金)〜11月4日。

「MINE EXPOSURES / 鉱山の露光」佐藤朋子

秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(ビヨンポイント)で8月30日(金)から、アーティスト・佐藤朋子による個展「MINE EXPOSURES / 鉱山の露光」が始まります。

2018年度「BIYONG POINT企画公募」に採択された本展は、秋田県の鹿角市や小坂町など県北エリアを中心にリサーチを重ね、鉱山の町に残る“出来事の痕跡”をもとにシナリオを創作。康楽館を会場に弁士との二人語りの実演を行ったフィクション(創作)とドキュメント(事実の記録)を行き来する映像作品とリサーチ資料で展示空間を構成します。

活動写真弁士 片岡一郎氏とのパフォーマンス(写真:鄭伽倻)

<アーティストステートメント>
閉山した鉱山の廃坑道から、50年間以上にわたって放置された無声映画のフィルムが見つかった。現在、このフィルムの発見を契機に、鉱山と映画に関する資料館の建設が計画されている。本展覧会では、関連資料や解説映像を展示し、資料館の全貌を明らかにしていく。解説映像では、活動写真弁士・片岡一郎による語りを通して、実際に無声映画を上映しながら、レクチャー・パフォーマンスを上演する。実在の無声映画に向けられる活動弁士の「語り」と、鉱山に残存する出来事の痕跡や、伝説に関する「語り」の2つのアプローチから、異国・異界からの来訪者が共存していた鉱山を、物語ることで立ち現す。(佐藤 朋子)

小坂鉱山跡

Profile

佐藤 朋子 Tomoko Sato

1990年長野県生まれ、神奈川県在住。2018年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。レクチャーの形式を用いた「語り」の実践に取り組む。史実の調査過程から浮かび上がる事象を複眼的につなぎ合わせ、フィクションとドキュメントを行き来する物語を構想する。日本が辿ったいびつな近代化への道のりや、大文字の歴史からこぼれ落ちてしまった歴史の複数性への関心、各地に残された伝説や痕跡などへの興味を糸口にして作品を制作している。[主な展示・活動歴]2019/「ふたりの円谷」上演, SHIBAURA HOUSE, 東京、「103系統のケンタウロス」上映, 渋谷ユーロライブ, 東京、「103系統のケンタウロス」展示, Gallery Saitou Fine Arts, 神奈川 2018/「瓦礫と塔」上演, 浅草公会堂, 東京、「しろきつね、隠された歌」上演, BankART Studio NYK, 神奈川 http://tomokosato.org/
狐の伝説「信太妻」をレクチャーパフォーマンスで語り直した「しろきつね、隠された歌」(2018)
鑑賞者が横浜市営バス(103系統)に乗車して旧根岸競馬場第一等観覧席を訪れるオーディオツアー型の作品「103系統のケンタウロス」(2019) 写真:澤本望

Information

佐藤朋子「MINE EXPOSURES / 鉱山の露光」

チラシダウンロード(PDF)

■会 期 2019年8月30日(金)〜11月4日(月祝)9:00〜18:00
■観覧料 無料
■閉館日 9月14日(土)、15日(日)
■会 場
秋田公立美術大学ギャラリーBIYONG POINT(秋田市八橋南1-1-3 CNA秋田ケーブルテレビ社屋内)
BIYONG POINT
■主 催 秋田公立美術大学、NPO法人アーツセンターあきた
■協 力 CNA秋田ケーブルテレビ、東京藝術大学大学院映像研究科、RAM Association、和田信太郎
■出演・映像資料協力 片岡一郎(活動写真弁士)
■助 成 秋田県芸術文化振興基金助成事業

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

高橋ともみ

秋田県生まれ。博物館・新聞社・制作会社等に勤務後、フリーランス。取材・編集・執筆をしながら秋田でのんびり暮らす。2016年秋田県立美術館学芸員、2018年からアーツセンターあきたで秋田公立美術大学関連の展覧会企画、編集・広報を担当。ももさだ界隈で引き取った猫と暮らしています。

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