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AKIBI ARTs MARKET

「AKIBI ARTs MARKET(アキビ・アーツ・マーケット)」は、秋田公立美術大学の学生、大学院生、研究生の作品を鑑賞・購入・所有することを通して、アートやデザインをより身近に感じてもらうことを目的として開催。アーツセンターあきたでは、秋田公立美術大学サテライトセンターのスタッフが、ギャラリーを会場に期間限定のマーケットを企画・運営しています。

Outline


委託者秋田公立美術大学
受託者NPO法人アーツセンターあきた
事業期間2018年〜

アーツセンターあきたの役割

秋田公立美術大学サテライトセンターが企画・運営し、学生への周知、説明会開催、公募、広報物の制作・発送、プレスリリース、SNSでの発信など広報全般を担うほか、プロジェクトのコーディネーターとして出展作品の預かりから搬入、設営、搬出作業等をサポートする展示販売事業。より多くの方に作品を鑑賞・購入していただけるよう、スタッフは販売経験の少ない学生をサポートするほか来場者に対応します。

担当スタッフ

担当スタッフ(2018〜2021)


 AKIBI ARTs MARKET 2023

学生作品が並ぶ期間限定のマーケット

秋田公立美術大学の学生作品を展示販売する「AKIBI ARTs MARKET」は、アーツセンターあきたの企画により2018年度に開始。学生、大学院生、研究生の作品を鑑賞・購入・所有していただくことを通して、アートやデザインをより身近に感じてもらうことを目的とした秋田公立美術大学の展示販売事業です。学年や専攻、表現手段に関わらず、学生自らが価格設定した作品をギャラリーに展示。来場者は学生作品を間近で鑑賞し、その場で購入することができます。売り上げは直接学生に支払われ、今後の活動資金になる仕組みです。
※「AKIBI ARTs MARKET」に関する記事はこちらからご覧いただけます。

初回となった2018年度のAKIBI ARTs MARKETは、アートフェア東京(東京国際フォーラム)、3331アートフェア(3331アーツ千代田)などが賑わいを見せる時期に合わせて開催。初めての試みだったギャラリーでのマーケットに卒展作品を含めた約160点が並び、来場者でにぎわいました

「AKIBI ARTs MARKET」の特徴は、学生と直に対話をしながらその学生の作品を間近に見て購入していただけること。来場者は作品のコンセプトや制作過程を聞きながら、作品を鑑賞、購入することができます。
コロナ禍での休止もありましたが、参加学生は年々増加。学生にとっては自分の作品を語り、披露し、販売する貴重な経験ともなります。会場には例年、イラストや絵画、ポストカードなどの平面からぬいぐるみやオブジェなどの立体、ファブリック、楽器など幅広いジャンルの作品が並びます。

佐々木大空は巨大な玉ねぎのような形が目を引く《おとのかぶりもの》や、ラジオから発せられる複数のノイズを使って異なった周波数のノイズを重ねる《radio made radio》など音の出る/出せる装置を展示販売
揺れ動く振り子の軌道によって形作られた加藤正樹《Pendulum》(学長賞受賞)をはじめ、卒展・専攻展に出品された作品が数多く並んだAKIBI ARTs MARKET 2020
AKIBI ARTs MARKET 2021も卒展・専攻展作品を含めた1〜4年生の作品が並びました

ジャマイカの音楽と、佐渡島での
フィールドワークから生まれた作品

アーティスト

柴田風也 Fuya Shibata

《キングストンの犬》は、在学中に初めて訪れたジャマイカでの体験から制作したものです。ジャマイカの首都キングストンで訪れた音楽イベントの雑踏の中、野良犬が誰にも構われず、落ちている鶏肉を食べながらとぼとぼと歩いている風景を描きました。

レコードを選んで買うように絵画を選んで欲しいと木箱に入れて販売した《キングストンの犬》

帰国後、ジャマイカの音楽が島国特有のものからなるという仮説を立てて、佐渡島を訪れました。佐渡島では秋頃に島の各地で祭りが行われているという点にジャマイカと近いものを感じ、フィールドワークを行いました。藁草履を履いて神輿を山の上まで運ぶ祭り、軽トラで太鼓を運び各地で叩く移動式の祭りなど、ほとんど観光化されていない祭りに出会いました。《佐渡島》はその体験から着想を得て作りました。
この頃から、依頼されてCDジャケットやイベントフライヤーのデザインをするようになりました。自分の作ったものに自分で値段をつけることに慣れようとこれらの作品の販売をしました。今現在《佐渡島》は、秋田市在住の方に保管してもらっています。
卒業して5年経った今も興味の中心には音楽がいます。ジャマイカのサウンドシステム文化に影響を受けていろんなスピーカーを片っ端から集めていた時期を経て、身近な不用品とスピーカーを組み合わせたものを《HOT BOX》と称して遊んでいます。ジャマイカの日常生活の中に常に音楽がいる風景に未だに憧れてるのかもしれません。

柴田風也《佐渡島》は、佐渡島でのフィールドワークで出会った祭りの印象を描いたもの。AKIBI ARTs MARKETでは、動き出すような色と形で壁一面を埋め尽くしました

作品出品が、自身の制作活動を見直すきっかけに

SIXINCH.ジャパン 設計部

正保千春 Chiharu Shobo

私は大学在学中はものづくりデザイン専攻に所属し、陶芸・漆芸・シルクスクリーン印刷等の各種技法を用いた技法・領域横断的な作品制作を行っていました。
卒業時(2020年)にAKIBI ARTs MARKETに出展する機会を頂き、《うつわカスタマイズ》という卒業制作を展示・販売しました。
この作品は、無釉の白磁を素地として「車」「魚」「十字架」など、ある種の趣向や属性を想起させるグラフィックを漆で印刷した作品です。
漆の印刷は粘度を独自に調整した色漆をシルクスクリーンで印刷するなど、在学中に学んだ技法を複合的に活用して制作を行いました。

在学中にも作品を公開する機会は幾度かありましたが、作家として作品を出展・販売する経験は無く、貴重な機会となりました。
会期中は一般の方からの率直な意見を頂くことができ、自分の作品のコンセプト強度や伝え方、作家としてのスタンスを考える機会になりました。
現在は国内の家具メーカーに就職し、商業施設や公共空間向けの家具の設計・生産に携わっています。個人的な制作活動からは遠ざかってしまいましたが、出品を通して得た体験はものづくりに携わる人間として今も活きていると感じます。

正保千春《うつわカスタマイズ》

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

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