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秋田公立美術大学サテライトセンター「素描Lab」

アーツセンターあきたが施設を運営管理している秋田公立美術大学サテライトセンターでは、中高生を対象に、自由にデッサンを学ぶ会員制の共同アトリエ「素描Lab」を実施しています。サテライトセンターのスタッフは日々の自習サポートや合評会によって、会員のデッサン力向上を支援しています。

Outline


委託者秋田公立美術大学
受託者NPO法人アーツセンターあきた
事業期間2018年〜

アーツセンターあきたの役割

アーツセンターあきたが運営管理する秋田公立美術大学サテライトセンターではデッサンルームを開放し、初心者から経験者まで自由にデッサンを学べる会員制の共同アトリエ「素描Lab」を企画、運営しています。サテライトセンターのスタッフは、デッサンのヒントや取り組み方、習得スケジュールの提案など会員の日々の自習サポートに加え、月1回の合評会を企画し、講師との連絡調整や準備などをおこなっています。

担当スタッフ


「好き!」と「困った!」に対応する
自習スタイルの共同アトリエ

秋田公立美術大学サテライトセンターの「素描Lab」は、中高生を対象に、デッサン初心者から経験者まで自由にデッサンを学ぶことにできる会員制の共同アトリエです。
デッサンルームには、美術に関心のある中高生や秋田公立美術大学に関わりのある人たちが集います。レジデンス・アーティストとして美大の在学生や卒業生が制作することもあるほか、ギャラリーでは授業成果展や在学生・卒業生の展覧会なども開催しており、いろいろな刺激を受けることのできる場所です。
デッサンルームを開放しておこなう「素描Lab」は、自習スタイルが特徴です。自分で考え、自分のペースでデッサンを学んでいただくことでひとりひとりの「好き!」を尊重し、「困った!」ときには経験豊富なスタッフがアドバイスします。スタッフはモチーフ選びやデッサンのヒント、スケジュール、目標の立て方などの相談にも応じます。
「素描Lab」に関する記事はこちらからご覧いただけます。

特別講師による合評会(アドバイスデー)

素描Labでは毎月1回、秋田公立美術大学の教員や助手、スタッフを特別講師とした合評会(アドバイスデー)を開催しています。これまでに描きためたデッサンや絵などを持ち寄り、講師や他の会員と話し合います。作品を見て話をすることで得た気づきや新たな発見をもとにステップアップを目指します。サテライトセンターのスタッフは、合評会の企画・運営を担っています。

この日の合評会は、「VOCA展2024」でVOCA賞を受賞した大東忍さん(秋田公立美術大学大学院助手)が講師。デッサンについてだけでなく、受験生時代のことや現在の作品スタイルに至った経緯や解説などを聞き、実際に作品を鑑賞しました

素描Labは、基礎を学ぶだけでなく
「どう表現するか」を考えるきっかけになりました

作家

佐々木きらら Kirara Sasaki

私が「素描Lab」に通ったのは、高校3年の1年間です。画塾を辞めることになって、でも絵を描きたくて、通学途中に立ち寄ることのできるサテライトセンターであればと、ここに通うことにしました。デッサンルームに貼ってある参考作品の横に自分のデッサンを並べてみて、改善点を見つけたり、アドバイスをもらったり。夕方5時ぐらいから7時前まで、高校生活のなかでいいリズムで通うことができました。

月1回の合評会では藤浩志先生がワークショップのようなことをしてくれました。木炭を使ったり、鉛筆で一番黒く描くことを競ったり、環境音を聴きながら絵を描いたり、「この瓶の中いっぱいにボールを入れた絵を描いて」と言われたり。描き続けるだけでなく、違うアプローチの仕方があるのだと知ることができました。
ある日、美大生が制作をしている時に「きみはもうデッサンではなく、どう表現するかだよ」と藤先生が言っていて、「そうなのか」と。基礎を学んだあとどう表現していくのかを考えるきっかけにもなりました。

私は光をテーマに絵を描いていますが、これからも光に執着し続けていくような気がしています。絵の具以外の要素を使うことでより幅広い表現をして、絵画の可能性を広げたい。光を使うことによって、平面の可能性を広げたいなと。平面には、もっとできることがあるんじゃないかと思うんです。

振り返って思うのは、あのタイミングで、デッサンを続けてきちんと基礎を固めていけたのはよかったということ。基礎を固めれば固めるほど、やれることは増えていきます。そこから「どう表現するか」を考えていくことになるから、基礎力を鍛えられる時期って限られていると思うんです。創作活動をしていくには、やれる時にしっかりやるのが大事なんだといま振り返ってみて思います。

これまで見たことのない物事を作り出すために、
未来の風景に魅力的な変容を作り出すために

秋田公立美術大学教授

藤浩志 Hiroshi Fuji

 これからの時代に向けて、新しい活動、魅力的な活動、まだ見たことのない物事(物・事・所・仕組み・時間)など、さまざまな「つくる人」が溢れるまちになればいいなぁ・・・と思っています。

 これまで見たことのない物事を作り出すためには「観察する力」「イメージする力」「表現する力」が必要です。そしてその力を作り出すためには柔軟な「感性・感じる力」が重要となってきます。感性を使いながら、感じる力を養いながら、「観察・イメージ・表現」を繰り返し、まだ見たことのないものを形にしてゆきます。
 「観察する力」とは「見えないものを見る力」です。つまり「イメージする力」と直結しています。物事の見えている部分だけではなく、物事の裏側、構造、全体、生態系、細部、組成、表情、歴史、過去、未来の状態をイメージする力が必要です。そしてそのイメージした物事を言葉で、絵で、形で、プログラムで、さまざまな表現手法を使って具体的に他者に伝わるなんらかの形として具現化する必要があります。それが「表現する力」です。
 「観察・イメージ・表現」を行うときには常に感性を使います。形にしたものを再度客観的に観察し、そこから違和感を導き出し、そこに手を入れ修正する。その繰り返しの行為が、より物事の本質に迫ってゆくプロセスとなります。
 美術大学の入試などにも使われる素描、デッサンは、この3つの基本的な技術とその核をなす「感性・感じる力」を養う上でとても重要な方法であると考えられています。

 美術大学は美術を教えるところではありません。今まだこの世の中にはない様々な知的財産、コンテンツ、商品、建築、流通、企業など未来の風景を作る上で欠かせない企画力、発想力、表現力などを学ぶところです。そのために今の時代を構成している様々な因子を観察し、次の状態をイメージし、それを形にし、提案し、流通させるという流れがあります。過去において、多くの美術大学の出身者は企業や組織に所属し、また個人としても、商品開発の現場で、新規事業の立ち上げ、ゲームやデジタルメディアなどの創成に関わり、それぞれの時代の日常生活やその様式、風景、状況を変容させてきました。そして現在があります。

 この「素描Lab」は、未来の秋田の風景に魅力的な変容を作り出すための人材育成のために開かれた場となることを期待しています。

素描Lab合評会にて
秋田公立美術大学サテライトセンター(フォンテAKITA6F)

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

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