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市街地の使いみち、地元の人たちと探ります 「かつての本屋が、高校生の居場所に変わる」(第3回)

能代市から依頼を受けて始まった、秋田公立美術大学の教員・助手らによる中心市街地の空きスペースの再活用に関する実証研究事業。スペースの清掃と使い方の検討を経て、いよいよスペースが生まれ変わります。

空きスペースが生まれ変わる

中心市街地の空洞化は地方都市の大きな問題の一つ。そこには空き家や空き店舗など、まだ使用可能なものも。そしてまた、地域の活動などに空き家や空き店舗を提供したいとの想いを持つ所有者もいらっしゃいます。こうした物理的資源と文化的資源をどのように活かすことができるのか、能代の高校生たちとともに、秋田公立美術大学とKUMIKI PROJECTの湊さん、地元企業の関係者、行政が連携して検討を進めています。

▼ 第1回 CLEAN UP KOBUNDO レポート
▼ 第2回 THINKING KOBUNDO レポート

第3回目は、いよいよ旧鴻文堂が高校生たちの手によって生まれ変わります。

自ら考えてつくるからこそ、愛着が生まれてくる

1月11日(土)。雪が舞い散る中、ストーブで温まった旧鴻文堂で、秋田プライウッド株式会社から提供いただいた木材などを使って、床張りやベンチの制作のワークショップを開催しました。

スペースに合わせて資材をカットし、断熱材を敷き、その上から木材を設置する作業を繰り返します。
作業を重ねるごとに、息もあって、黙々と床張り作業を進める高校生たち。灰色のコンクリートの床に、木製の床が張り終わると、一気に空間が明るくなりました。

さらに、木製のピースを組み合わせ、麻紐で固定する簡易ベンチも制作。長さや高さの異なるベンチがあっという間にできあがり、どんどんと新しいスペースが形作られていきます。

最後に、もともとお店にあったカウンターを奥に設置すると、自然とその一角に人が集まります。参加した大人たちからも、「バーをやりたいね」「プロジェクターを設置したい」などと意見が出され、夢が膨らみます。

高校生を中心に、地元の人たちが自らの手で、使い方を考え、片付けからスペースづくりを進めている今回のプロジェクト。DIYならではの、スペースへの愛着と期待感が芽生えている様子が伺えました。

2月には、さらにテーブル制作のワークショップを開催し、実際にスペースを一定期間開放して、どのように使い、運営することができるか実証実験を行います。
次回のレポートをお楽しみに。

Information

能代市街なか資源再活用プログラム(第3回)

能代市の中心市街地に増える空き店舗・空き家・空きスペースなどの地域資源の今後の活用の可能性を探ることを目的に、実証実験を通した研究活動を、行政や地域の企業等と連携し実践する。

■主 催:能代市
秋田公立美術大学(小杉栄次郎、井上宗則、萩原千尋、船山哲郎)
■協 力:NPO法人アーツセンターあきた
■参加者:能代高等学校・能代工業高等学校・能代松陽高等学校の生徒有志、
瀬川銘木株式会社、株式会社コシヤマ
■現地協力:KUMIKI PROJECT(湊哲一)
■資材提供:秋田プライウッド株式会社

Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた 事務局長

三富章恵

静岡県生まれ。名古屋大学大学院国際開発研究科修了。2006年より、独立行政法人国際交流基金に勤務し、東京およびマニラ(フィリピン)において青少年交流や芸術文化交流、日本語教育の普及事業等に従事。
東日本大震災で被災経験をもつ青少年や児童養護施設に暮らす高校生のリーダーシップ研修や奨学事業を行う一般財団法人教育支援グローバル基金での勤務を経て、2018年4月より現職。

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