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第1回 こどもアートLab
「どうじにドット オンライン」開催!
秋田公立美術大学が主催する「こどもアートLab」は、こどもたちの自由な発想を引き出す創造のプラットフォームとして、主に秋田公立美術大学サテライトセンターを会場に昨年から開催されています。「たくさんの新しい発見と、あふれる発想に出会いたい」という思いから、教員や卒業生、秋田県内外で面白い活動をしている人をLabリーダーに迎えて展開中です。
▼こどもアートLab2020 プレスリリース
▼こどもアートLab2020 関連記事はこちら
レポート① オンラインで一緒に描いて遊んだよ!「どうじにドット オンライン」
レポート② 「NEOびじゅつじゅんびしつ」クリエイティブな冒険で夢にチャレンジ!
レポート③ 映像制作ワークショップ「からだでアニメーションをうごかそう」
レポート④ 「こどもミュージックLab」耳を澄まして、音を探してセッションしよう♪
2年目となる今年度の第1回目は、「こどもアートLab」初めての試みとしてオンラインワークショップを開催しました。Labリーダーは、秋田公立美術大学の卒業生でもある野呂祐人さん(造形表現)と、工藤恵美さん(コミュニケーション学)によるワークショップユニット「コココ」です。離れている人とも一緒にドット絵を描くことができたり、それを付け足したり、コピーしたり、合体させたりもできるワークショップです。
「どうじにドット オンライン」の開催場所は、参加者それぞれの自宅です。参加は小学3年生から6年生まで、パソコン操作が必要となるため保護者同伴。そして、事前に用意していただくものとして提示されたのが、
・音声通話ができるパソコン(タブレットは不可)
・Gmailアカウント
この2つでした。ワークショップではGoogleスプレッドシートとGoogleMeet(マイク機能のみ)を使用するので、Labリーダーやスタッフ、他の参加者の顔も知らないままに進行します。ちょっと不安な気持ちと、初めてのオンラインワークショップにドキドキ。
午前の部の参加者は、ねこさん、ちーさん、はるとさん、みおさんの4人。Labリーダーのふたりが進行して、スタッフが見守ります。制作には、野呂さんも参加します。そして謎の人物、早送りおにいさんなる人物も登場。いよいよ始まりました
ドットで好きなものを描いて、自己紹介
工藤さんの進行でGoogleMeetを使って声だけで挨拶したあとは、参加者それぞれのPCからオンラインで同じスプレッドシートを開きました。野呂さんによる基本操作とドット絵の練習を経て、それぞれが自分の好きなものをドットで描きます。まだおぼつかない操作で色を選んでつなげたり、形をあれこれ考えてみたり。皆さん、スプレッドシートはほぼ初めての様子。
描いたのは、ねこさんはマグロのお寿司、ちーさんは四つ葉のクローバー、はるとさんはお魚、みおさんは猫。野呂さんは鉛筆ですね。お互い顔が見えないので、声とドット絵で自己紹介。よろしくお願いしまーす。
自己紹介のあとは、大切な操作となるコピーについて練習します。自己紹介で描いたドット絵をもとに、色を付けたマスを他の場所にコピーしていきます。そして今度は、自分が描いた絵と、他の参加者が描いた絵をくっつけたり、重ねたり。まだ会ったこともない参加者同士の共同作業が始まりました。
あれ?寿司ネタや魚を、クローバーをくわえた猫が狙っているようです。コピーの技を身につければ、世界がどんどん広がっていきますね!
早送りおにいさん、登場!
コピーしたり、組み合わせる練習をしたスプレッドシートは、とても賑やかになりました。そして振り返りのために登場したのが、冒頭にちらっと登場しただけで影を潜めていた早送りおにいさん。どうやら、参加者の操作を録画していたようです。
さて、動画を再生してみます。寿司ネタが増殖したり、魚がクローバーをくわえていったり、猫が表情を変えたり。そんな様子を早送りで振り返ることができました。コピーの技を覚えただけで、こんなに色や形が変化して、さまざまなな展開ができるようになるとは・・・。
▼ドット絵を組み合わせる共同作業の様子を早送りでお送りします
ミッション!
早送りおにいさんを、あたためてあげよう
自分で色を使ってドット絵が描けること。それをもとに、他の場所にコピーできること。そして参加者同士で組み合わせたりもできること…。スプレッドシートを使ったこのワークショップでできることを、みんな把握できたようです。休憩のあとは、Labリーダーの野呂さんと工藤さんからミッションが!
「早送りおにいさんをあたためよう」
共有しているスプレッドシートに、寒そうなおにいさんが登場しました。もう秋ですよ、そんな格好では風邪をひいちゃいます。みんなであたためてあげよう!
寒そうな早送りおにいさんをあたためてあげるにはどうしたらいいかな? 参加者それぞれのひそひそ声が聞こえてきます。
「マスクを付けてあげたら?」
「服を着せてあげよう!」
「太陽を描いて、あたためてあげよう!」
「そのまま走れば、あたたまるよ」
参加者それぞれが思い付いても、ドット絵で表さなければおにいさんはあたたかくなりません。試行錯誤する様子が画面を通して伝わってきます。
そしてまたしても早送りおにいさん本人が登場。自分の体をあたためてくれた過程を録画して、早送りで見せてくれました。どんどんあたたまって、むしろ暑そう! みんな工夫してあたためてくれて、ありがとう!
▼早送りおにいさんをあたためる共同作業を早送りでお送りします
自分の絵がアレンジされていく面白さ
ミッションを終えて、みんなから感想を聞きました。もちろんスプレッドシートと声で気持ちを共有します。
「絵は描けるけれど、ドット絵にするのは難しかった」
「自分の絵がアレンジされていくのが面白かった」
「みんなの描く様子を実況してもらえて楽しかった」
「自分が描いた絵の色を他の人が変えてくれて嬉しかった」
「自分が思って描いた絵とは違うように作られていって面白かった」
ほぼ初めてのスプレッドシート操作なのに、その特徴をよく理解して、作ったり作り換えられたりすることを楽しんでいただけたようです。
Labリーダーの野呂さんと工藤さんのユニットが展開するワークショップは、共同作業における創造性とコミュニケーションがテーマです。相手の顔が見えないなかで、PCの操作を通して一緒に絵を描いた今回のワークショップについて、野呂さんに振り返っていただきました。
最初は他の人が描いた絵に触れることにみんな慎重でしたが、他の人の絵のコピーや改変が少しずつ始まっていきました。慎重だった分、お互いが描いたものに触発されながら、ドット絵を発展させていく面白さがあったと思います。
ここ半年、新型コロナウイルス感染症の影響でコミュニケーションのオンライン化が進んでいますが、ビデオ通話をして、対面のコミュニケーションに近づけようとする力が強く働いていると思います。でもインターネットでのコミュニケーションの面白さって、相手のことを知らなくても一緒に何かを作れたり、知らない人から思いがけないアイデアをもらったりすることだと思います。子どもがインターネットのツールに触れるとき、危険性やリテラシーだけじゃなく、この面白さも一緒に体験できたらいいなと思い、お互いに描き換えられる状況で絵を描く遊びを考えました。
子どもたちが将来、本来の用途でスプレッドシートを使った時に、ニヤッとしてくれたら嬉しいです。
オンラインの面白さと、共同で描く面白さ。
「こどもアートLab」初めてのオンラインワークショップで、描き換えながらどんどんアレンジされていく楽しさを感じていただけたでしょうか。
参加者の皆さん、見守ってくれた保護者の皆さん、どうもありがとうございました!
▼コココ https://co-koko.tumblr.com/