arts center akita

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《OLEO10》の大型パズル 2021年/82.8×70.5cm(製作:折出裕也)

奥のアクリル画は、左から《中庭の角》2021年、《赤い家》2018年、《オアシスにて》2018年、《二階からの景色》2016年

ジャズが奏でる形を描いた《OLEO10》
《ICE9》はSF小説に着想を得た壮大な物語

黒と赤のデザインが美しい《OLEO10》は、アメリカのジャズ・サックス奏者ソニー・ロリンズが1954年に発表したモダン・ジャズで、スタンダードナンバーとして知られる名曲「OLEO」を題材としたパズル。「OLEO」を聴いて描いたスケッチから形を引用し、《JIGSAW29》の凹凸の仕掛けを応用。分かりやすい構造で、遊びごたえのあるパズルとなるようデザインしたといいます。ジャズの曲調を感じさせる軽やかで不規則な形が、美しいコントラストを生み出します。

浅香自身が「自作のなかで最も難しい」と評するのが、白色のピースが氷を連想させる《ICE9》。見た目は複数の正方形を辺でつなげた多角形の「ポリオミノ」ですが、その見た目からは予想することが難しい答えとなるようデザインした難解パズルです。
モチーフとしたのは、アメリカの作家カート・ヴォネガットのSF小説の名作『猫のゆりかご』。世界を滅ぼすほどの力を持つ氷の結晶体“アイス・ナイン”は、あらゆる液体を凍らせ固体にしてしまう架空の物質です。これをモチーフに浅香が描くのは、生命をも絶滅させてしまう結晶体をめぐる壮大な物語です。

《ICE9》の大型パズル 2021年/82.8×58.8cm(製作:折出裕也)

《BIRD11》の大型パズル 2021年/82.8×82.8cm(製作:折出裕也)

路に落ちてた設計図《BIRD11》

ひとつのフレームのなかに平面的に配置していく敷き詰めパズルと呼ばれるパズルのなかでは珍しく、ピース同士が接しないようデザインしたのが《BIRD11》。道路に落ちていた鳥のフンから、イメージを展開させて制作した特異な形のパズルです。それぞれのフレームに対応するピースを見つける順番によって難易度が変わるため、難しさの感じ方が分かれるパズルでもあります。

この《BIRD11》の構造を応用し、ジグソーパズルのピースでありながら組まないジグソーパズルとしてデザインしたのが《JIGSAW16》です。条件の異なる2種類の凹凸を選別しながらフレームに収める必要があり、《BIRD11》からさらに複雑な構造となりました。

どの形が一番面白いのか、美しいのか
緻密な計算の下で感覚的にピースを選ぶ

ギャラリー最奥の白壁には、《JIGSAW16》の構想段階におけるパソコン上での早見表を全面に展開しました。想定する全てのピースを描いたなかから最終的に正方形に組む条件の下で、16個のピースを選んでいきます。色を付けた部分がフレームであり、このフレームに入るピースのなかからどのピースをはめるのが一番面白いのか、形のばらつきや見た目のかわいらしさなども考慮しながら浅香は感覚的に決定していきます。壁面左側にいくほどフレームに入るピースが多くなり、全面を引いて見ると美しいグラデーションとなるのが分かります。

2018年の《JIGSAW29》に始まった浅香のパズルは平面を分解するものでしたが、2019年以降は次第に立体を意識するようになります。その一端をご覧いただこうと、本展では構想段階の立体パズルに向けたスケッチも展示。円形プレートに刻み込んだ溝をリングが知恵の輪のように行き来する時、どの瞬間が一番面白いのか、どの瞬間が最も心動かされる形になるのかのアイデアスケッチです。その瞬間を中盤としてスタートとゴールを決めていく構想段階のひとこまにも、試行錯誤する過程がうかがえます。

スケッチを描き続けるなかで生まれる、面白い形、美しいデザイン。緻密な計算と感覚的なピース選び。パズルをアーカイブしながら、面白さと難解さ、美しさと緻密さが溶け合った浅香の世界をご覧いただける展覧会です。

《JIGSAW16》2021年/13.6×13.6cm

《JIGSAW16》構想段階におけるパソコン上での早見表 2021年

撮影:越後谷洋徳

Profile

浅香 遊 Asaka Yuu
1997年群馬県生まれ。2019年秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻卒業。2018年からパズル制作を始める。2018年世界パズルデザインコンペティション入賞、2019年卒業・修了研究作品展「カモステイク」学長賞受賞。「JIGSAW29」「JIGSAW19」は2021年に「沼パズル」(ハナヤマ)として商品化され、発売中。 UTTO-PUZZLE https://jigsaw29.thebase.in/

Information

卒業生シリーズVol.7「路に落ちてた設計図」

展覧会は終了しました
「路に落ちてた設計図」プレスリリース
「路に落ちてた設計図」チラシ(PDF)ダウンロード
「路に落ちてた設計図」作品リスト(PDF)ダウンロード
▼CM https://youtu.be/hvJJppzJrHw
▼アーカイブ映像 https://youtu.be/mkISRx295zM

■会期:2021年10月9日(土)〜10月31日(日) 会期中無休
■会場:秋田公立美術大学サテライトセンター(秋田市中通2-8-1 フォンテAKITA6F)
■時間:10:00〜18:50
■入場:無料
■大型パズル製作:折出裕也
■グラフィックデザイン:越後谷洋徳
■映像:撮影・編集/白田佐輔、音楽/國府田拓郎
■主催:秋田公立美術大学
■企画・制作:NPO法人アーツセンターあきた
■お問い合わせ:
秋田公立美術大学サテライトセンター(NPO法人アーツセンターあきた)
TEL.018-893-6128  E-mail info@artscenter-akita.jp
※混雑の状況により入場を制限させていただく場合があります。
※新型コロナウイルス感染症感染拡大状況によっては会期や内容を変更する場合があります。

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