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これ、何に使う道具? 記憶と想像が飛び交った「コレ何?道具譚!」

秋田市所有の昔なつかしい道具等を用いて開催したトークイベント「コレ何?道具譚!」。ヒートアップした当日の様子をレポートします。

10月4日(日)、羽州街道まつりで賑わう秋田市の旧松倉家住宅で、トークイベント「コレ何?道具譚!」を開催しました。気持ちのよい秋晴れに恵まれたこの日。会場に持ち込まれたのは、秋田市が所蔵する「秋田市油谷これくしょん」の中から選び出した9点の資料です。

一見しただけでは何に使うのかわからない道具を囲み、「これはいったい何?」「どうやって使うの?」「昔、こんなのあったよね」と、参加者みんなで記憶をたどり、想像を膨らませながら語り合いました。進行役を務めたのは、秋田公立美術大学の柚木恵介先生。

「あった、あった!」懐かしい道具が次々登場

最初に登場したのは、赤い小さな箱。

何に使うものだろうと眺めていると、実際に使っていたという参加者から「豆炭あんか!」との声が上がりました。中に火をおこした豆炭を入れ、冬場に布団の中を温める道具です。湯たんぽよりも長く温かさが続く一方、「温かすぎて火傷したこともあった」という思い出も。道具の使い方だけでなく、使っていた人ならではの実感が語られます。

続いて登場したプラスチック製の細長い板には、参加者の多くが即座に反応。

「ミニスキー!」

かつて駄菓子屋やスポーツ用品店などで売られ、校庭にできた雪の斜面などを滑って遊んだ道具だそうです。「ミニスキーを履いて学校に行ったら、危ないって怒られた」というエピソードも飛び出しました。スキー場ではなく、街なかで雪と遊ぶための道具だったようです。
雪国・秋田ならではの冬の風景が、参加者の言葉から浮かび上がってきます。

わからないからこそ、想像が広がる

3つ目は、さまざまな端切れを縫い合わせた布製の道具。
「前掛け?」「ベスト?」「防弾チョッキみたい!」

見た目から自由な推理が飛び交います。やがて、何かを背負うときに背中を保護するための「背あて」ではないか、という意見が出てきました。
「二宮金次郎みたいに、薪を背負うときに使ったのでは?」
正解がわからないからこそ、形や素材を観察し、かつての暮らしを想像する時間が生まれます。

次に登場したのは、小さなタイプライターのような機械。
数字がたくさん並んでいて、どうやら計算機らしい。でも、どう操作するのか、誰にもわかりません。

そこへ現れたのが、90歳の男性。
「昔、県南の役場で使っていた!」
なんと、その場で使い方を実演してくださいました。桁数の多さにも、なるほど納得です。

さらに、機械に記された「タイガー」の文字を発見すると、「炊飯器のタイガーと同じ会社なのだろうか?」と新たな疑問が。ひとつ謎が解けると、また別の謎が生まれます。

記憶が交差し、議論はますます白熱!

このあたりから、参加者の皆さんの熱量も一気に高まってきました。

続いて登場したのは、ペンチのような金属製の道具。
「昔、駅員さんが切符を切るのに使っていたものでは?」
という意見が多数を占める一方、
「いや、昔憧れのまなざしで見ていた切符切りには、こんなバネはついていなかったはず!」
と、異論も飛び出します。

記憶を頼りに、ああでもない、こうでもないと議論が続きます。実際に厚紙を持ち出して、穴が開くかもテストしてみました。

さらに登場したのは、ザルのような円形の道具。
「何かを干すもの?」「竹ではなく、藁でできているような……」

形や素材から用途を推測していきます。資料の管理者からは、どうやら養蚕に使われていた道具らしいという情報が寄せられました。

かつての暮らしや仕事を支えていた道具も、その営みが身近でなくなると、何に使われていたのかわからなくなっていきます。

「昔、あそこにあった気がする」街の記憶もよみがえる

最後に紹介したのは、道具ではなく一枚のポスター。
そこには「秋田市保戸野ローラースケート場」の文字が。
日付は書かれているものの、肝心の年代がありません。

「秋田市にローラースケート場があったの?」

そんな疑問に、参加者からは「今の市役所の脇にあった気がする」。「祖母の家にバスで向かう時に、いつも横を通っていた」、「昔はあのあたりも田んぼだった」といった声が上がりました。

一枚のポスターをきっかけに、今とは違う秋田の街並みが語られていきます。

道具がひらく、記憶の扉

この日、特に印象的だったのは、年配の参加者の皆さんが資料を眺めながら、口々に「なつかしいねー」と繰り返していたこと。

誰かにとっては見たこともない謎の道具が、別の誰かにとっては、子どもの頃の遊びや、冬の寒さ、かつての仕事を思い出させるものになる。そして、その記憶を誰かが語ることで、知らなかった人にも道具の背景にある暮らしの風景が伝わっていきます。

もちろん、すべての道具の正体が明らかになったわけではありません。記憶が食い違ったり、思いがけない推理が飛び出したりすることもありました。けれども、正解を知ることだけが、この会の目的ではありません。写真検索で多くのことが一瞬でわかってしまう時代ですが、あえてそれを使わずに、ものをよく観察し、使い方を想像し、誰かの記憶に耳を傾ける。そんなやりとりのなかで、普段は語られることのない暮らしの記憶が、少しずつ姿を現していきました。

かつて誰かが使っていた道具には、まだまだたくさんの物語が眠っているのかもしれません。

Information

トークイベント「コレ何?道具譚!」

秋田市所有の油谷これくしょんをはじめとするなつかしい資料を活用したトークイベント。
何の道具?どうやって使うの?など、昔の道具について、集まった参加者と記憶や思い出を語ったり、想像を膨らませたりします。

■日時:2026年10月4日(日)12:30~13:30
■会場:旧松倉家住宅
■講師:柚木恵介(秋田公立美術大学 ものづくりデザイン専攻 准教授)
    ゲスト あきた芸者 おとは
■主催:秋田市
■運営:株式会社せん
※NPO法人アーツセンターあきたは、講師の紹介等にご協力しました。
 

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アーツセンターあきた

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