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2023年度 NEOびじゅつじゅんびしつ 「焚き火をしたい」

こどもたちの「やりたいこと」を後押しする「NEOびじゅつじゅんびしつ」(秋田公立美術大学主催)。2023年度は5人の挑戦を応援しました。「焚き火で料理をしたい」と挑んだYさんの詳細をレポートします。

「NEOびじゅつじゅんびしつ」(通称NEOび)は、アーティスト・柚木恵介さんによるプログラムです。柚木さんはこれまで神奈川県鎌倉市と長野県上田市を舞台に、こどもたちが自ら多様な個性と関わりながらモノやコトをつくり出す活動を展開してきました。

NEOびでは、こどもたちが自分1人の力ではもう一歩踏み出せない「やりたいこと」を、大人が「ふいご隊」(応援スタッフ)となって背中を押します。
「ふいご」とは火をつけたり火力を強めたりする時に風を送る道具のこと。ふいご隊はこどもたちのやる気の火種に風を送り込んで、燃え盛る火になるよう真剣に応援します。隊長は柚木さんです。

2020〜2022年度に小学生を対象としてグループで実施していたNEOびですが、本年度は少し対象の年齢を上げ、挑戦者自身だけで自分の「やりたいこと」の実現を目指しました。こどもたち自らが考え、相談や工夫をしながら壁を乗り越えていく、そのクリエイティビティを後押しします。

「NEOびじゅつじゅんびしつ」関連記事一覧

概要についてはまとめたレポートもご覧ください。

挑戦者の1人、Yさんのやりたいことは「焚き火で料理がしたい」。
無事に火をおこし、おいしい料理はできあがるのでしょうか?
Yさんの詳細をレポートします!

メニューはなあに?作戦会議で決めよう!

個別相談会では「料理が好き」「川沿いで焚き火をしたい」とやりたいことを語っていたYさん。作戦会議では、具体的にどんな場所でどういうものが作りたいかを話し合いました。Yさんは普段から YouTubeや本で、焚き火や焚き火で作る料理について情報収集をしており、既にいくつか作りたいメニューは決まっているようでした。

焚き火は、石を積んでかまどを作ってその上に網を置くことし、大きな石は現地で集めます。当日までにYさんはメニューを決めて必要なものを準備し、ふいご隊は焚き火ができる場所を探すことになりました。

火おこしに試行錯誤

そして、当日。
秋田市では川沿いで焚き火ができる場所が見つからなかったため、今回は大森山公園グリーン広場で焚き火をすることになりました。車で送り届けてくれた保護者と別れ、Yさんとふいご隊の合わせて5人で焚き火料理に挑戦します。

焚き火はYさんが「やりたいこと」なので、ふいご隊はYさんの指示を受けて動きます。
メニューは「焼き芋」「焼きマシュマロ」「プリン」「チョコバナナ」「ポップコーン」の5種類です。

まずは火おこしから始めます。
今回は炭ではなく、薪で挑戦。薪を小さく割いたり、薪の組み方を変えたり工夫をしますが、なかなか火がつきません。道具が入っていた厚紙をちぎって火をつけ、薪に火を移す方法に切り替えます。そのままだとすぐに火が消えてしまうので風を送るためにあおごうと思ったものの、うちわがありません。持ってきた道具を見返し、新品でビニールに入ったままだった網を代用しました。

30分くらいかけ、なんとか着火に成功しました!

いよいよ調理開始!

火がついたので、時間がかかりそうな焼き芋から準備します。
さつまいもを濡らし、キッチンペーパーを巻いてからアルミホイルで包み、かまどの網の上に並べます。

その間にマシュマロを串に刺して、火にあぶって焼きマシュマロを作りました。焼きたてのマシュマロを頬張り、ひと休み。熱々、とろーりのマシュマロはビスケットに挟んで食べても絶品です。

次にプリンを作るために材料を混ぜてメスティン(箱型の調理器具)に入れ、お湯を張ったフライパンで湯煎にかけておきます。

バナナの皮は半分剥いて、板チョコをバナナに差し込んで網の上へ。ふいご隊の想像とは全く違うチョコバナナの作り方です。

限られた時間の中でたくさんのことを同時進行しながら、手際良く進めていきます。

湯煎していたプリンが固まってきたので冷やしながら、最後のポップコーン制作へ取り掛かります。しかし、ここで問題が発生。家庭用のポップコーンキットは取っ手が短く、熱くて火の上で振ることができません…。

そこはものづくりのプロ、柚木隊長の出番です。「あるものでなんとかするんだよ」と、焼きマシュマロを作った柄が伸びる串にアルミホイルを巻きつけ、取っ手につけるアイデアを提案しました。そのおかげで無事、ポップコーンも成功です。

料理5品が無事に出来上がりました!
いよいよフィナーレです。
Yさんが持ってきた焚き火の色を変える不思議な粉を焚き火にかけると、炎がいろいろな色に変化し、みんなで幻想的なひとときを過ごしました。

実食!焚き火の料理のお味はいかが?

できあがった焼き芋、チョコバナナ、プリンをYさんがお皿に取り分けます。芝生に移動し、Yさんとふいご隊のみんなで実食します。

料理は大成功です!
みんなに料理を振る舞ってくれた時のYさんの姿は、とても誇らしげで、出来栄えに大満足している様子でした。迎えに来たお母さんにも笑顔で今日の様子を伝えていました。

やりたいことがある挑戦者を待っています!

NEOびじゅつじゅんびしつは美術大学のプロジェクトですが、ものを作ったり、絵を描くこと以外の挑戦も大歓迎です。「ふいご隊」はこどもたちと学び合い、一緒に寄り添い、「やりたいこと」を成し遂げるために全力でサポートします。

やってみたいとずっと思っていることはありませんか?
2024年の募集は6月ごろ開始予定です。
あなたの挑戦を待っています!

■2023年度NEOびじゅつじゅんびしつ 挑戦者レポート一覧

▶︎「焚き火で料理をしたい」
▶︎「ウクレレが上手くなりたい」
▶︎「大きなキャンバスに絵を描きたい」
▶︎「プログラミングで自分の作った車を動かしたい」
▶︎「山に登りたい」

Information

クリエイトブラボー NEOびじゅつじゅんびしつ

2023年度の募集は終了しました

■事業名:クリエイトブラボー NEOびじゅつじゅんびしつ
■対象:秋田の小中学校に通う11-15才
■募集内容:自分が「やってみたいこと」
■担当教員:柚木恵介 (秋田公立美術大学ものづくりデザイン准教授)
■主  催:秋田公立美術大学
■企画運営:NPO法人アーツセンターあきた
■お問い合わせ:NPO法人アーツセンターあきた (担当:武藤、小野)
[TEL]018-888-8137 (受付時間平日9:00-17:00)
[E-mail]createbravo@artscenter-akita.jp
[WEB]www.artscenter-akita.jp

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Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

武藤沙智子

秋田県生まれ。大学卒業後、航空会社系旅行会社で営業・企画・販売推進などの業務に従事。47都道府県を巡る旅好き。
奈良、宮城、大阪、千葉、埼玉と移り住み、2019年に秋田市の地域おこし協力隊 移住定住コーディネーターへの応募をきっかけに帰秋。退任後は民間企業を経て、2022年から現職。あきた発酵伝道師一期生。現在は発酵食品、伝統食、伝統工芸に興味を持っています。

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